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- 2024/07/29 掲載
ヤマダデンキも抜かれる? 西武池袋を手にした「ヨドバシカメラ」が業界敵なしの理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
ヨドバシの新業態「Yodobloom(ヨドブルーム)」とは?
ヨドブルームとは、ざっくり言えば、モノを売る店舗ではなく、最新鋭の体験型ショールームのようなものだ。具体的には、以下のようなサービスが無料で体験できるという画期的な場所であり、その話題性も高い。- (1)プロのエステティシャンが、美容家電やスキンケア商品を使った体験サービスを提供
- (2)美容師が、サロンブランドを中心としたラインナップからシャンプーやトリートメントの体験サービスを提供
- (3)プロのメイクアップアーティストが、サロンブランドやアジアブランドの化粧品を使ってメイクアップ体験を提供
無料で体験可能という形態をとっているのにはカラクリがある。ヨドブルームは、出展メーカーの発信、広告宣伝の起点としての場所という位置付けであり、ここで体験した消費者がネット上で商品について拡散してくれることなどを期待しているため、無料という形態をとっているわけだ。
これが、“リテールメディア”という業態の意味であり、ショップ側としてのヨドブルームは、広告効果ある場所の提供と引き換えにコスト負担なく、話題づくりと集客につなげるといった構造と解釈すればいいのだろう。そんなコスメ新業態を1階の顔としたことからは、「池袋西武が家電量販店化するわけではない」という意思表示が感じられる。
池袋西部は「大規模改装」で何がどう変わる?
ヨドブルームに限らず、池袋西武は現在大規模なリニューアル休業期間へと移行中であり、2024年7月で大規模なセールを実施しつつ、順次かなりのスペースがリニューアル休業に入る。大まかに言えば、もともとあった衣料品売り場を大幅に縮小し、「ラグジュアリー(高級ブランドショップ)」「コスメ」「デパ地下」の3部門を中心に再編成する、というものだ。
報道によれば、もともとの西武池袋の総売場面積約8万8000m²が、約4万8000m²に縮小するということであり、ヨドバシのスペース(=家電量販店スペースとは限らないが…)は約4万m²になるということのようだ。これは家電量販店の店舗としては、かつてないほどの大きな店であることは間違いない。ただ、西武池袋がもともと国内最大級の百貨店だったこともあって、ヨドバシに半分スペースを譲ったとしても、結構な広さが残る。
売場面積が4万8000m²に縮小、といってもイメージがわかないかもしれないが、都内の主要百貨店との比較で言うならば、高島屋新宿店よりちょっと小さく、日本橋高島屋とほぼ同等、銀座の三越や松屋よりはかなり大きめ、という広さと言えば、そんなに小さいスペースではないこともご理解いただけよう。
そのスペースに、「高級ブランド」「コスメ」「デパ地下」の3部門に絞った売場展開をするのなら、部門ごとの厚みは逆に既存百貨店を上回る可能性もある。なぜ、これら3部門の構成にしたのか、を考えてみると、新たなヨドバシ池袋商業施設のイメージが見えてくる。 【次ページ】ヨドバシ新業態は「よく考えられた」売場展開と言えるワケ
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