• 2007/09/13 掲載

【鈴木健氏インタビュー】 ダメな会議をなくす方法―「会議下手」が会議の本を書いた理由(3/3)

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すべての共同作業は会議である

――本書で示された方法論を、サルガッソーという会社で鈴木さんがどう展開していくのかというのも気になるところですが、実際に会社のほうではどんなことを考えてらっしゃるんですか。

鈴木氏■
ひとつは、『究極の会議』でも紹介していますが、この本に準拠した「Sargasso XM」というツールですね。これはASPとしてやってるんで、誰でも簡単に、インストールも不要でブラウザさえあれば簡単に使えるというものです。

 もうひとつが「NOTA(ノータ)」というコラボレーションツールで、まあネットで使えるホワイトボードみたいなツールなんですけど、それで写真を貼ったりテキストを書いたりして、情報共有に使うというものです。実は、このふたつは別々に売ってたんですけど、この2007年9月から、ホワイトボード機能を「XM」のほうでもオープンベータとして使えるようにしています。これで、図を描かないとわからないようなことでも議事録に残すことができますし、会議とは別のところで情報共有しておいて、それを議事録に貼りつけるというようなこともできるようになりました。ブレストとかにはすごく便利でしょうね。


【コラム】ダメな会議をなくす方法―「会議下手」が会議の本を書いた理由
鈴木 健氏
――いま、スカイプとかメッセンジャーとかありますけど、そういう音声でやりとりをする機能をツールに組み込むといったことは考えてらっしゃらないんですか。

鈴木氏■
ああ、やりたいですね。はい、できるだけ早く(笑)。これはちょっと本にも書いたほうがよかったかなと思うんですけど、リモート会議というとだいたい、テレビ会議みたいにお互いの顔を見ながら会議することになりますよね。でも、お互いの顔を見てもあまり話は進まないような気がするんですよ。むしろ、下手にリアルに会いに出かけたりテレビ会議をするよりは、声だけのやりとりでもいいので、議事録をリアルタイムで共有しながら会議をしたほうが効率がいいと思います。僕も実際に、アメリカと日本とのあいだでのリモート会議を、スカイプを使って議事録ドリブンでやってますから。だから、コミュニケーション方法はいかにでも、議事録ドリブンでやっていさえすれば会議はうまくいくんですよ。


――リモート会議といえば、第4章ではネットでの会議も含めて、会議の未来、さらには文明の未来にまで話を広げて論じられていますね。将来的に会議はどんなものになっていくと思われますか。

鈴木氏■
これは文中でも紹介した『会議が絶対うまくいく法』(マイケル・ドイル著)という本にも書いてありますけど、極端にいうと、共同作業というのはすべて会議なんですよ。あ、ちなみに、この『会議が絶対うまくいく法』は本当にいい本で、ホワイトボードもまだなくて、模造紙を使えみたいな(笑)、そういう時代の本ですが、ファシリテーションという概念を普及させるきっかけとなった本ともいわれています。それはさておき、たとえば家を誰かと一緒に建てるのだって共同作業ですけど、そういう作業がいま、ネットへどんどん移行しているわけですね。するともう、あらゆるところで会議が行なわれていくことになるでしょう。それはもはや会議とは呼ばないのかもしれませんが、本質的なところは変わらない。だから、議事録ドリブン的なやりかたというのは、おそらくどんな共同作業をするときにも有効になっていくのではないかと思います。ひとまずこの本では、リアルな会議に焦点を絞ったわけですけれども、そこでの方法論が、ネット上でのコラボレーション一般にまで普及していけばいいですね。

(執筆・構成:近藤正高


●鈴木健:国際大学GLOCOM主任研究員。株式会社サルガッソー代表取締役。
ビジネスからアカデミックな分野まで幅広い活動を展開し、現在注目を集めている。電子貨幣PICSYなどの研究を行い、高い評価を得る一方で、株式会社サルガッソーでは、コラボレーション用のソフトウェアの開発と普及の活動を行っている。
共著書に「NAM生成」(太田出版)、「進化経済のフロンティア」(日本評論社)がある。
「究極の会議」発売記念サイト

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