- 会員限定
- 2024/10/17 掲載
「10万人に1人の難病」大解明、「認知症予防」にも関係する構造を九大 藤木氏に聞いた
連載:基礎科学者に聞く、研究の本質とイノベーション
公益財団法人 大隅基礎科学創成財団 は、ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典(理事長)が2017年、科学賞の賞金1億円を拠出し、日本の基礎科学振興を目的に設立した。
<財団の活動>
・現在の研究費のシステムでは支援がなされにくい独創的な研究や、すぐに役に立つことを謳えない地道な研究を進める基礎科学者の助成
・企業経営者・研究者、大学等研究者との勉強会・交流会の開催
・市民及び学生を対象とした基礎科学の普及啓発活動
本シリーズの特設ページ:https://www.ofsf.or.jp/SBC/2310.html
世界が評価した「10万人に1人の難病」解明
──(大隅基礎科学創成財団 理事 野間 彰氏)藤木さんは、生物の細胞内に存在するオルガネラの1つである「ペルオキシソーム」の研究で高い評価を受けました。研究の概要を教えていただけますか。藤木 幸夫氏(以下、藤木氏):ペルオキシソームは脂肪酸のβ(ベータ)酸化や活性酸素の除去といった細胞の代謝機能を担うオルガネラです。ただし、その形成・構築のプロセスはよく分かっていませんでした。当初は小胞体から作られる(出芽する)と考えられていましたが、検証の結果、それとは異なる仕組みで形成されていることを突き止めました。
──ペルオキシソーム欠損症とはどのような病気か教えてください。
藤木氏:細胞内にあるペルオキシソームに(形成障害)が発生して、機能障害を起こす遺伝性代謝疾患の総称です。発症確率は10万人に1人と言われていましたが、仕組みを解明した後、その確率は実はもっと高いのではないかとも言われるようになりました。
生活習慣の中で発症することはなく、遺伝子の変異によって発症します。重症なものでは、特徴的な顔つき・体つきや、筋力を含めた発達の遅れなどの症状が見られ、ほとんどは乳児期に亡くなってしまいます。
「認知症予防」や「アンチエイジング」にも貢献
──研究成果の社会的な意義や価値について、お聞かせください。 【次ページ】「認知症予防」や「アンチエイジング」にも貢献政府・官公庁・学校教育のおすすめコンテンツ
政府・官公庁・学校教育の関連コンテンツ
PR
PR
PR