- 2025/08/05 掲載
なぜ娘は外国籍の子に傷つけられた? 保育現場はもう限界…裏にある「3つの構造問題」
娘を襲った3度の災難
「友だちにかまれてしまいました。申し訳ございません」。見れば娘の左腕にははっきりと歯型がついています。平謝りする先生に対し、「そうですか。まあ…」と曖昧な返事しかできなかった私がいました。その日、娘とお風呂に入っていると、かまれた傷あとを見せて娘が話し出しました。
「今日ね、Aくんにかまれちゃったんだ」
Aくんは、半年ほど前に中途入園した外国籍の男の子です。Aくんのことは、送り迎えの際にも目にしていましたし、娘の「Aくんね、英語が話せるんだ」(実際は英語ではありませんが、娘にとっては外国語=英語なのです)という会話からも知っていました。
今までお友だち同士のかんだ・かまれた問題とは無縁だった保育園のクラスに、突如発生した災難。
しかもそれが我が娘ということもあり、どのようにこの気持ちと向き合えばいいのか、もやもやしていました。そんな私にとって、娘が気軽にかまれたことを話してくれたことは、救いのように感じました。
ところが、それから3カ月以内にもう1度かまれ、そして3回目は顔を引っかかれてしまいました。
「この傷は…もしかしたら残ってしまうかも」、悲しそうな先生のつぶやきに、胸が締め付けられました。翌日、先生が個別面談を設けてくれました。
・Aくんは日本語が苦手なため、保育者らともうまくコミュニケーションがとれないこと。またそのためにAくん自身がストレスを感じており、お友だちへの加害行動につながっている模様
・保育園としては、Aくんにマンツーマンで保育士(先生)をつけて、同様の事件が起きないように監視してきたこと
・しかし、3回目についてはいわゆる「准保育士」(国家資格である保育士と違い、所定の研修を受けることで得られる民間認証資格のこと)がAくんに対応しており、かつ准保育士に対して娘との経緯を共有していなかったことから、事件が発生してしまったこと
正直に言えば、2回目の事件が起きたときには、「もし3度同じような事件が発生したら、保育園にクレームを入れよう」と思っていました。
しかし3度目が起き、そして先生から説明を聞いたとき、筆者は「これは防げないんじゃないのか? となれば4度目、5度目も発生し、もっと深刻な事態にエスカレートしてしまうのでは?」という不安でいっぱいになりました。
管理の目を強化するしか「対策はない」
私には、本音で話すことができる保育士の友人がいます。友人に今回のいきさつを話した上で、友人のところではどのような対策をしているか、聞いてみました。「うーん…結局、ほかの子に手を出さないように徹底してマークするしかないんだよね」と友人は言います。たしかに先生方の立場に立って考えれば、問題を起こす子どもに対する管理の目を強化する以外に対策は難しいだろうとも思います。
しかし一方で、「それは本当に実現可能で、対策として有効なの?」とも思ってしまいます。そこで、保育の制度や仕組みについてさらに調べたところ、あらゆる問題点が浮かび上がってきました。
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