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- 2024/12/26 掲載
AIエージェントの事例5選、ウォルマート、NEC、NTTデータの“面白い活用法”を解説
連載:デジタル産業構造論
株式会社d-strategy,inc 代表取締役CEO、東京国際大学 データサイエンス研究所 特任准教授
日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、産業革新投資機構 JIC-ベンチャーグロースインベストメンツを経て現職。2024年4月より東京国際大学データサイエンス研究所の特任准教授としてサプライチェーン×データサイエンスの教育・研究に従事。加えて、株式会社d-strategy,inc代表取締役CEOとして下記の企業支援を実施(https://dstrategyinc.com/)。
(1)企業のDX・ソリューション戦略・新規事業支援
(2)スタートアップの経営・事業戦略・事業開発支援
(3)大企業・CVCのオープンイノベーション・スタートアップ連携支援
(4)コンサルティングファーム・ソリューション会社向け後方支援
専門は生成AIを用いた経営変革(Generative DX戦略)、デジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス・ロボットSIer、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。
近著に『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、経済産業省『デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会/グローバルサプライチェーンデータ共有・連携WG』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)、日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。
【問い合わせ:masahito.komiya@dstrategyinc.com】
AIエージェントとは
AIエージェントとは、人間が与えた目標を達成するために、自律的に外部ツールを選択・使用しながら動作するAIプログラムを指す。たとえば、近年、企業の問い合わせページに導入されはじめているAIエージェントが代表的な例に挙げられるだろう。問い合わせページに導入されるAIエージェントは、顧客との会話の中から顧客の抱える課題を特定し、それに合った商品提案を行い、会話のやり取りの記録を残してくれるなど、一連の問い合わせ業務のプロセスを自律的に完結してくれる。
これは、顧客の質問に対して“自然に回答する”という限定的な役割を担う「AIチャットボット」とは違う点だ。こうした“自律性”こそが、AIエージェントの特徴と言える。
このように、近年AIを使って自動化できるようになった業務の流れを、自律的に作動するプログラムに置き換える(≒AIエージェント化)ことで、効率化を図る取り組みが出てきているのだ。
OpenAIが提唱する「AIの5段階進化モデル」とは
OpenAIが提唱する「AIの5段階進化モデル」がある(下図)。この中で、AIエージェントは第3段階に位置付けられている。段階 | 詳細 |
1:Chatbots | 自然な会話・言語能力をもつAI |
2:Reasoners | 博士号レベルの教育を受けた人のように高度な問題解決ができるAI |
3:Agents | 独立または指示に基づいて行動をとることができるAI |
4:Innovators | 新しいアイデアを発明し、人類の知識に貢献できるAI |
5:Organizations | 組織全体の業務を独立して実施できるAI |
現時点におけるAI活用は、2段階目に差し掛かったと言われている。そして次の姿として、AI活用の在り方は「独立した行動、または指示に基づいて行動する段階」を目指すことになるが、これがまさにAIエージェントのコンセプトと言えるのだ。
ここからは、そんなAIエージェントが、具体的にどのような活用方法で広がっていくのかを解説していきたい。
活用例(1):所属する部署・部門の仕事を助けてくれる
今後、AIエージェントが、各部門の持つデータを学習したり、RAGによって参照することで、自律的に業務を支援してくれる存在になるかもしれない。たとえば、経理・法務部門の業務であれば、会計システムの財務データ、会計・法律知識や、過去の事象に対する対応結果などを学習したりRAGによって参照しながら、目標の達成に向けて自律的に判断しながらタスクを処理してくれるようになるかもしれない。他方、経営企画であれば、競合他社の財務データやIRデータ、財務データ・経営データ、過去の戦略意思決定とその結果などが対象データになるだろう。
このように、各部門の中にそれぞれAIエージェントが存在するような状況が出てくる可能性がある。そして段階的にはなるが、これらの個別業務ごとのエージェントを管理したり、それぞれの連携を支援する全体管理や監視するAIエージェントも中長期的には生まれてくる可能性があるだろう。
活用例(2):ERP・PLMなど…各システムの司令塔になる
今後、企業が利用しているシステムの情報を学習したAIエージェントが登場し、効率化を進める形になっていくかもしれない。たとえば、すでにSAPが提供するERPにAIエージェントが搭載されているが、このように、あらゆる業務システムにAIエージェントが搭載されていく可能性がある。そして、今までシステムごとに細分化・分断される傾向にあったデータを、システム間の連携・統合を進めてくれることに加えて、データフォーマットの変換なども行ってくれるAIエージェントが登場してくるはずだ。
そして、部門ごとに存在するAIエージェントと、システム単位に存在するAIエージェントの双方を組み合わせ、業務を効率化・組み換えをしていくような働き方が未来の姿となる。
ここからは、実際に存在するAIエージェントの事例を紹介していきたい。
企業事例(1):博報堂テクノロジーズの「ブレストAI」
AIエージェントの1つの方向性として、異なる役割を与えた「人格(AI格)」を複数用意し、それら複数の視点から1つのテーマを議論・検討をさせるという活用が考えられる。
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