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- 2025/05/21 掲載
「もう終わり」と言われたアマプラが大復活、衰退論をぶっ壊した“消費者心理”の変化
連載:米国の動向から読み解くビジネス羅針盤
米NBCニュースの東京総局、読売新聞の英字新聞部、日経国際ニュースセンターなどで金融・経済報道の基礎を学ぶ。現在、米国の経済を広く深く分析した記事を『週刊エコノミスト』などの紙媒体に発表する一方、『Japan In-Depth』や『ZUU Online』など多チャンネルで配信されるウェブメディアにも寄稿する。海外大物の長時間インタビューも手掛けており、金融・マクロ経済・エネルギー・企業分析などの記事執筆と翻訳が得意分野。国際政治をはじめ、子育て・教育・司法・犯罪など社会の分析も幅広く提供する。「時代の流れを一歩先取りする分析」を心掛ける。

日本でも値上げ……支配していた「衰退論」
米国内におけるアマプラの年会費は、2022年に119ドル(約1万7,700円)から139ドル(約2万700円)へ引き上げられた。この価格改定が影響し、米調査企業Consumer Intelligence Research Partners(CIRP)の調べによれば、2022年3月に1億7000万人だった会員数が、2023年3月には1億6700万人へと300万人減少したのだ。当時の米国では、年平均6.5%という高水準のインフレ率が続いており、一部の節約志向の消費者によるサブスクリプション離れが要因とみられる。加えて、会員数は飽和状態で、大きく伸びることはないとの悲観論が支配的であった。
一方、日本においても2023年に年額プランが4,900円から5,900円へと値上げされた。さらに2025年4月以降、Prime Videoで提供される映画やテレビ番組に広告が挿入される仕様となり、広告非表示を希望する利用者には月額390円の追加オプション料金が課された。これにより、月払いでは実質的に1,000円近くまで上昇している。
さて、米国に話を戻そう。CIRPによれば、2024年3月の米国内アマプラ会員数は2023年3月から1300万人増加し、1億8000万人となった。これは、米国の買い物客の約75%が何らかの形でアマプラを利用していることを意味する。さらに2025年3月には1600万人増えて、1億9600万人を突破し、2億人に迫っている。
一時は「衰退論」が支配的であった中、これほどまでに会員数を回復・拡大させた背景には、どのような要因があったのだろうか。

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