- 2025/06/07 掲載
日本人の「静かな退職」が止まらない…半数もの人が心を閉ざす衝撃の実態(3/3)
3年も続いたコロナ禍によって、増えてしまった“考え方”
コロナ禍が3年も続いたことは、人との接し方、関わり方にも大きな影響をもたらしました。もともと自分からコミュニケーションを取ることが苦手だった人ほど、自分から声をかけ、自分から関わる機会を失っていきます。誰かと何かをする喜びや、雑談をする楽しさ、支え合う喜び、助けてくれるありがたさを実感する機会を失いました。むしろ、誰とも関わらないことの居心地の良さを実感できた。自分から人に関わらなくてもやっていける。むしろ楽だと思った方もおられるでしょう。
自分の苦手なことをあえてする必要はない。無理して人に関わる必要がない思う人、本当は人と関わりたいけれども、そうした経験がなくなり、ますます行動を起こせなくなっている人、昔のようにざっくばらんに声をかけて、飲みに誘いたいのにできないとためらってしまう人……。そんな人たちが増えてしまったのではないでしょうか。
半数あるいはそれ以上の人が「静かな退職」に該当していた
コロナ収束後に社員のタイプが明確に分かれてきたという話をよく聞きます。コロナ禍でストレスが減ったという人の中では、マイペース社員と線引き社員が増えている。マイペース社員とは文字通り、自分の仕事を自分のペースでやっている社員で、煩わしい指示も、余計なアドバイスもなくなり、むしろ迷いなく仕事を淡々とこなしている人たちです。中には誰にも邪魔されず、イキイキと仕事をしている人たちもいます。
さらに、線引き社員もいると言うのです。余計なことは言われないから、仕事なんてこれぐらいでよい、これ以上は自分の仕事ではない、いろいろなことに関わらないようにする。そう思って、自分にとって居心地の良い境界線を引こうとする人たちです。
一方で、周囲が見えなくなり、孤立感を覚えながらも、目の前の仕事と向き合っている人の中にも、2通りの社員が増えたと言います。
1つは、抱え込み社員。もともと多かったのですが、ますます誰にも何も相談できず、トラブルがあっても自分1人でどうにかしなければと抱え込んでしまう社員。
もう1つは、あきらめ社員。そうした中で、周囲に期待すること、より良くなることもあきらめてしまった社員。会社が何をしようが、上司が表面的に面談をしてくれても、結局は誰も自分の状況をわかってくれない、何かが変わるわけではないとあきらめて、目の前のことを淡々とこなす。心はもうこの会社、この仕事にはないのに、それでも辞められないので日々の仕事をこなす。そんな社員です。

先述のギャラップ社の調査では「エンゲージしていない(disengaged)」と回答した70.3%が「静かな退職」状態にあるとも考えられ、2023年11月にマイナビが行った「正社員のワークライフ・インテグレーション調査」では、48.2%の人が「静かな退職」に該当すると言います。半数近い、あるいはそれ以上の人が、仕事にも会社にも距離を置いて、そこに余計な感情を持ち込まないようにしている。心はすでに退職している。
コロナ禍は人と人との関わり方に影響を与えただけでなく、仕事や会社への関わり方にも影響を与えたのです。人と関わらず、本音を隠し、目の前の仕事にますます閉じこもることで、自分を余計なストレスから守ろうとする働き方という選択肢を手に入れてしまった。仕事、職場、会社から距離を取り、心は退職していく。あなたにもその気持ち、わかりますか。
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