- 2025/07/13 掲載
人は1日3万5000回も「決断」している。現代人が知るべき「意思決定」の複雑性とは(2/3)
複雑性に応じて分類した5つの意思決定フレームワーク
1.明白・単純な問題(Obvious/Simple)【特徴】
- 単純で何度も繰り返される因果関係が存在する
- 既知の解決方法やベストプラクティスが存在する
- 手順に従って行動することが求められる
- 観察・分類・決定で解決できる
【具体例】
工場の生産ラインでの品質管理。生産ラインで不良品が発生した場合、既定のチェックリストや手順に従って問題を特定し、解決する。不良品が特定の機械の故障によるものであれば、その機械のマニュアルに従って修理することができる。
2.複合的な問題(Complicated)
【特徴】
- 因果関係が複雑であるが、専門知識を持って分析すれば理解できる
- 複数の正解や最適解が存在する場合がある
- 観察・分析・決定で解決を試みる
【具体例】
企業のITインフラの導入。新しいシステムの設計、適切なハードウェアとソフトウェアの選定、既存システムとの統合、セキュリティ対策の実施など、専門家の知識と詳細な分析が必要となる。
たとえば、クラウドのデータ管理システムの導入に際しては、システムの安全性、アクセスの効率性、コストの最適化など多岐にわたる要素を考慮し、最適な解決策を導き出す必要がある。
3.複雑な問題(Complex)
【特徴】
- 因果関係が明確でない、あるいは不安定で変化するため、予測が困難
- 新たな方法や創造的なアプローチが必要
- 問題の探究・実験・試行錯誤を通じて解決策を見つけていく必要がある
【具体例】
組織文化の変革。組織文化は多くの要因が絡み合うため、その変革には試行錯誤が不可欠となる。問題を深く探究し課題を設定したら、リーダーシップのスタイルを変える、稟議制度を変える、新たなコミュニケーション・ツールを導入する、意識改革のための研修を行う等、さまざまな取り組みを試し、その効果を観察しながら適応していく必要がある。
4.混沌とした問題(Chaotic)
【特徴】
- 因果関係が認識できず、予測不能
- 緊急対応が求められ、即時行動が必要
- 迅速な行動・学習・対応が求められる
【具体例】
自然災害による緊急対応。地震や洪水などの災害が発生した場合、まずは人命救助や安全確保のために即座の行動が必須となる。具体的には、避難指示の発令、救助隊の派遣、被災者の一時避難所の設置など、迅速かつ決断力のある対応が求められる。その後、状況が安定してきた段階で、より詳細な分析や計画を立て、秩序の回復が図られる。
5.無秩序な状態(Disorder)
【特徴】
- 1. ~4. のどの分類に属するかさえ不明確な状態
- 状況を理解し、まずは適切な分類に整理することが必要
【具体例】【次ページ】「この新規事業でいくら儲かるの?」という質問は…危うい
未曾有の感染症拡大に対する対応。拡大の規模・スピードも不明なため、行政や同業他社の対応も見極めながら自社の対応を検討していくしかない。現場ビジネスにどの程度の影響が現れるかも確かな予測ができず、効果的な打ち手を決定しきれない。顧客、従業員、社会全体の反応を見つつ、短期・中期・長期に分けて問題の性質を整理し、対応策を検討していく。
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