• 2025/08/02 掲載

「時間がない日本人」vs「ゆとりのドイツ人」、それでも生産性1.4倍の残酷格差の正体(2/3)

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なぜ日本人はいつも「時間が足りない」と感じているのか

 私なりに、日本人が「時間が足りない」と感じる理由を考えてみました。

 『データブック国際労働比較2024』の統計によると、日本人1人あたりの平均年間総実労働時間は1598時間だそうです。それに対してドイツ人は1349時間。249時間もの差があります。

 1日8時間労働で計算すると年間31日以上、日本人はドイツ人より働いています。数字だけ見ると、シンプルに日本人は働きすぎだといえます。

 労働時間が年間ひと月も多いのですから、ドイツ人より「時間がない」と感じるのは当然でしょう。

 また、これだけ短い時間で日本と同じ生産力を持っているため、ドイツの国民1人あたりの生産性は日本の約1.4倍にもなります。

 1人あたりの生産性が高い分、賃金も高くなります。日本の製造業における時間あたりの賃金(購買力平価換算)を100とした場合、ドイツの指標値は185.0。つまりドイツの製造業労働者がもらっている賃金は、日本の約1.85倍になります。

 ドイツ人は、日本人よりも少ない労働時間で、だいぶ高額な報酬をもらっているということです。この時間あたりの賃金の格差も、ドイツ人に比べて日本人がいつも時間が足りないと感じている理由の1つかもしれません。なぜなら、稼ぐためにより働こうと思ってしまい、さらに自分の時間が少なくなるからです。

明らかにドイツ人のほうが高い、考え方の“濃度”

 日本人は毎日が忙しく、同じようなルーティンを過ごしがちです。

 時間が有限であることを忘れて、何となく「明日も同じ時間を過ごせる」とか「忙しくなければ、いくらでも時間はある」という思考が、根づいているように感じます。

 時間に対する考え方の濃度は、明らかにドイツ人のほうが高いです。

 時間は絶対のもので、きちんと管理しない限りは、自由に保つことはできない。思いがけないラッキーで、時間が勝手に増えたりはしないと、はっきり理解しています。

 与えられた時間をどのように使うか? ということを、ドイツ人は育つ過程で親の習慣を見て身につけていきます。

 古くから哲学が発達している、ドイツ国民の特質といえるかもしれません。

 フリードリヒ・ニーチェやヘルダーリン、マルティン・ルターやマイスター・エックハルトなど、ドイツは世界史に残るレベルの哲学者を、多く生み出しています。

 正解のない難解なことを、考えたり議論したりするのが、もともと好きなのでしょう。「人間とは」「人生とは」「命とは」など、壮大な問いかけに取り組み、多くの学者たちが最適解を追求して、今のドイツ文化が築かれています。

 ドイツ人の時間の意識の高さは、歴史に積み重なってきた、ドイツ哲学の集約といえるでしょう。

 哲学は、人生に有益な考え方を、たくさん教えてくれます。

 その1つが、時間は有限であるという真理です。 【次ページ】「本当にしたいこと」ができないまま人生が終わってしまう
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