- 2025/08/02 掲載
「時間がない日本人」vs「ゆとりのドイツ人」、それでも生産性1.4倍の残酷格差の正体(3/3)
私は哲学の専門家ではありませんが、ニーチェの「永劫回帰」は、人々にこのような問いかけをしていると解釈してみたいと思います。
「今この瞬間、あなたがしていることが、永遠に、何度も何度も、まったく同じように繰り返されるとしたら、それを心から受け入れられますか?」つまり、つき合いで残業をしている時間、好きでもない人たちとなんとなく過ごしている時間、自分の実現したい夢を先延ばしにしている時間……こういった時間が永遠に繰り返されるとしたら、あなたはそれを望みますか?
永劫回帰とは、未来や過去に逃げず、「この瞬間をどう生きるか」に最大限の覚悟を持て、という挑戦状と解釈すると、もし「この瞬間を、何度繰り返してもいい!」と思えるなら、あなたはすでに「今を生き、今を楽しむ」ことができていることになります。逆に、そう思えないなら、自分の幸せな時間を過ごしていないということになります。
難しく考える必要はなく、ドイツ人の「今を楽しむ」「心から楽しむ時間」に集中するというドイツ人の生き方に適した概念です。
「本当にしたいこと」ができないまま人生が終わってしまう
会社員を長く続けている日本の社会人の多くは、「退職したら好きな趣味だけをして楽しみたい」とか「定年後はパートナーと旅行したいと思っています」と言います。ですが、本当にしたいことは、今すぐ実行に移しましょう。「たられば」を考えていると、本当にしたいことができないまま人生が終わってしまいます。
目の前にありもしない、歳を重ねた後の自分の時間に意識を向けるより、「今」を充実させることを意識したほうが、間違いなく幸せです。
定年退職した後、趣味を好きなだけ楽しんだり、パートナーと旅行に行ったりする体力と経済力が残っている保証は、どこにもありません。極端な話、生きているかどうかさえ確実ではないのです。
将来の時間に望みを託すのではなく、やりたいことは「今」やるのが正解。早く手を付けるほど、幸福を得られる保証は、たしかなものになります。
試しに、退職後に趣味やパートナーとの旅行を楽しんでいるお知り合いがいたら、聞いてみたらいいでしょう。今充実していますか? と。
充実していると答える人も、ほぼ間違いなく「もっと早くにやっておけばよかった」と、付け加えるのではないかと思います。
ドイツ人はみんな、休暇をたくさん取れるように、制度でも会社のルールでもサポートされています。日本のように長くてもお盆休みの9日間……とかは、考えられません。
休暇は最低でも2~3週間。スペイン、フランス、イタリア、オランダなど(ドイツ人は特にスペインやイタリアなど暖かいエリアが大好き)の隣接している国に、気軽に車を飛ばして、滞在を思いっきり楽しみます。アジア旅行に出向く人は、1カ月ぐらい滞在します。
遊びが好きな一方で、ぼんやりしている時間も、ドイツ人は大好きです。
旅行の滞在先のホテルで、プールサイドで寝そべり、読書したりドリンクを飲んだり、のんびり昼寝したり……。そんな何気ない日常の休暇の過ごし方で1週間を使いきったりすることも、ドイツ人の自由な時間の過ごし方です。日本人の感覚だと何もしなくてもったいない休暇だと思うかもしれませんが、彼らとしてはその時間を満喫しているのです。

ドイツ人ももちろん、普段の仕事のストレス解消のために、休暇を利用する目的もあります。しかし、あくまで人生の主体を、休暇中の自由な時間に置いています。
「いつか」に期待するのではなく、「今」やりたいことをやる。そんな時間の使い方をしているのです。
ここでは、ドイツ人のように長期間の休暇を取ろうと言っているのではなく、休暇期間に関係なく、その時を楽しんでみようというわけです。
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