- 2025/08/24 掲載
村上春樹さんも応用「あえてキリの悪いところで止める」と作業がはかどる現象の正体
言語学者(法言語学、心理言語学)。明治大学教授。1991年、東洋大学文学部英米文学科卒業。1999年、シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics、言語学博士)。2000年、立命館大学法学部助教授、2005年、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、2008年同博士課程単位取得退学。2008年、明治大学法学部准教授。2010年、明治大学法学部教授。司法分野におけるコミュニケーションに関して、社会言語学、心理言語学、脳科学などのさまざまな学術分野の知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。また、研究以外の活動も積極的に行っており、企業の顧問や芸能事務所の監修、ワイドショーのレギュラー・コメンテーターなども務める。著書に『特定の人としかうまく付き合えないのは、結局、あなたの心が冷めているからだ』(クロスメディア・パブリッシング・共著)、『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)など多数。
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ストックホルム大学が示した“先延ばしグセ”改善策3つ
■“先延ばしグセ”を改善する3つの科学的な方法とは?やる気が出ない背景に、「明日やればいい」といった何かと先送りにしてしまう“先延ばしグセ”があります。
“先延ばしグセ”は世界中でさまざまな研究がなされ、研究対象として議論も盛んに行われています。“先延ばしグセ”を解決する方法はあるのかということですが、スウェーデンのストックホルム大学のローゼンタールとカールブリングは、研究の結果、“先延ばしグセ”の改善策を次のようにまとめています。
- すぐに得られる喜びや報酬があること
- ほかの行動の選択肢を減らすこと
- 失敗への不安をとり除くこと
■「報酬を用意する」「環境を整える」「不安をとり除く」
たとえば、「明日中に資料を完成させなければいけない」という課題があった場合、ダラダラとしはじめてしまう前に、1. 2. 3. をとり入れてみます。
1.「すぐに得られる喜びや報酬があること」は、「資料を完成させたご褒美として、晩ご飯においしいお酒を飲む」と報酬を設定することです。これは脳の報酬系を働かせて、やる気を入れる方法とも置き換えられます。
2.「ほかの行動の選択肢を減らすこと」は、「資料作成にとりかかる」という状況のみをつくり出すために、ワーキングスペースに移動する、あるいはスマホの電源を切るなど集中せざるを得ない環境をつくり出すことです。
3.「失敗への不安をとり除くこと」は、「上司に怒られたらイヤだな」といった不安によって後回しになっているなら、それを緩和する方法を事前に用意する──次項で紹介するリアプレイザルを行うなどです。
つまり、“先延ばしグセ”の改善策は、「そうしたくなる」あるいは「そうせざるを得ない」という状況や環境をいかにしてつくり出すことができるかがポイントというわけです。
「明日やればいい」と思ってしまったら、ぜひ1. 2. 3. を思い出してみてください。
【次ページ】村上春樹さんが「アイデアを広げる」ために応用する現象
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