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- 2025/10/02 掲載
なぜ「石丸現象」に“扇動”されるのか? 「デマゴーグ」から読み解く本質
連載:集団狂気の論理【第1回】
専門は論理学・科学哲学。青山学院大学・お茶の水女子大学・上智大学・多摩大学・東京医療保健大学・東京女子大学・東京大学・日本大学・放送大学・山梨医科大学・立教大学にて兼任講師を歴任。ウエスタンミシガン大学数学科および哲学科卒業後、ミシガン大学大学院哲学研究科修了。
著書は『理性の限界』『知性の限界』『感性の限界』『フォン・ノイマンの哲学』『ゲーデルの哲学』(以上、講談社現代新書)、『20世紀論争史』『自己分析論』『反オカルト論』『新書100冊』(以上、光文社新書)、『愛の論理学』(角川新書)、『東大生の論理』(ちくま新書)、『小林秀雄の哲学』(朝日新書)、『実践・哲学ディベート』(NHK出版新書)、『哲学ディベート』(NHKブックス)、『ノイマン・ゲーデル・チューリング』(筑摩選書)、『科学哲学のすすめ』(丸善)、『天才の光と影』(PHP研究所)、『ロジカルコミュニケーション』(フォレスト出版)など多数。
東京都知事選挙における「石丸現象」
2024年7月7日に執行された東京都知事選挙には、過去最多の56人が立候補した。ただし、その大多数を占めるのは、いわゆる「泡沫候補」と呼ばれる立候補者であり、実際には、組織票に支えられる小池百合子・現職知事と蓮舫・元参議院議員との「2強対決」と目されていた。2人とも形式的には「無所属」だが、小池氏は自民党・公明党・国民民主党・都民ファーストの会、蓮舫氏は立憲民主党・日本共産党・社会民主党から「自主的な支援」を受けている。
3選を目指す小池氏サイドは、自民党“裏金”政治の「逆風」を避けるためか、可能な限り「与野党対決」の構図を回避しようとした。あくまで2期8年間の都政の実績を強調し、公務を優先させる「静かな選挙」戦略を取った。目新しいのは「AIゆりこ」をSNSに挙げて、政策を語らせたことくらいである。
逆に、蓮舫氏サイドは、「反自民政治」・「非小池都政」を前面に掲げる「攻撃的な選挙」戦略を取った。立憲民主党や日本共産党の議員らが入れ代わり立ち代わり応援演説を行う方針は、過去の選挙戦略を踏襲している。しかし、その攻撃性は空回りして、選挙戦中盤からは「立憲共産党」などと揶揄されるようになり、「自滅」の道をたどった。
選挙の結果は、現職の小池氏が約292万票(約43%)を得て圧勝した。そこで驚くべきことに、蓮舫氏を抑えて、まったく政党や組織の支援を受けなかった石丸 伸二氏が約166万票(約19%)を得て次点に躍り出たのである。
なぜこれほどまでの「石丸現象」が生じたのか?
なぜ多くの都民が「石丸現象」に“扇動”されてしまったのだろうか? 【次ページ】多くの都民が「石丸現象」に“扇動”された理由
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