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- 2025/10/17 掲載
デロイト望月氏が解説、「それ今必要ない作業」と言われがちな「残念な人」の盲点
デロイト トーマツ コンサルティング テクノロジー・メディア・通信(TMT)ユニット 兼 モニターデロイト ディレクター、神戸大学非常勤講師(新規事業開発)。1989年生まれ。飛び級で大阪大学大学院 経済学研究科 経営学・金融工学専攻修了 経営学修士(MBA)。2013年にデロイト トーマツ コンサルティングに入社。長期ビジョン構想、事業戦略策定、新規事業開発、企業再生、M&Aのほか、欧州・アジアにおけるグローバル戦略展開、グループ組織再編にも従事。ファーム内で数パーセントの人材に限られる最高評価(Exceptional)を4年連続で獲得、複数回の年次スキップを経てディレクター職に昇格。デロイト トーマツ グループを対象とした「ロジカルシンキング」研修講師を担当し、外部企業向けにも研修プログラムを提供。新卒・中途入社社員の採用や人材開発にも携わっている。著書に『目的ドリブンの思考法』『シン・ロジカルシンキング』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)。X(旧Twitter)アカウント @andymochizuki でコンサル式仕事術なども配信中。
前編はこちら(この記事は中編です)
いついかなるときも「まずは全体像から捉える」こと
入社したばかりの頃は、「早く成果を出して認められたい」と意気込んで、目の前の仕事にすぐ手をつけてしまうこともあるだろう。しかしそんなとき、こう指摘を受けたことはないだろうか──。「なんでこの作業をやってたの? これは今は必要のない作業だよ」「○○が検討から漏れているね、それがないと意味がないよ」限られた時間の中で成果を出すことへの焦りや、早く作業に手をつけたい気持ちがきっとそこにはあると思う。だけれど、場当たり的に仕事に飛びついていては、せっかくの努力もムダになってしまう。
旅行へ行くとき、目的地までの地図全体を見ずに、一部だけを断片的に見て出発したとしよう。すると、道の途中で自分がどこにいるのか・どこまで進んだのかがわからず、「ここから先の道はどう行けばいいんだっけ?」「ちゃんと目的地に向かってるのか?」と混乱してしまうに違いない。
対して、地図の全体を見てから出発をすると、進み方がまるで違ってくる。通るべき主要なルート、押さえるべきスポット、何かあった際の立ち寄り場所や迂回ルートも把握できる。たとえ途中で道を間違えたとしても、「ここは全体の中でこの辺りだから、この道に戻ればいいな」と修正も利く。
だからこそ大切なのは、「いついかなるときも、まずは全体像から捉える」ということだ。いきなり個別各論の“点”に飛びついてはいけない。
事業戦略策定のプロジェクトで報告を受けていたときのこと。会議が始まるなり、報告者が「競合企業を調べていたのですが」と切り出し、調査していた企業の情報を語り始めた。企業の概要、近年の業績、戦略の方針、技術の特徴…と、いつまでも話が途切れない。話の全体像が見えず、次のような疑問が頭に浮かび始める。
- この話はこの会議全体の中でどのような位置づけにあるのか?
- ほかにも話すべきトピックはないのか?
- 今話しているこの内容が最も重要なのか?
そうして、僕はこう切り出す。「個別の話は一旦脇に置こう。この場では何を会話する必要があるのか、まず全体を整理してみようか」。はじめにひと通り全体像を把握した上で、「じゃあ、競合情報を深掘りしよう」と、重要な箇所に入り込んでいく。
すぐさま中身の話をしないことに、最初はもどかしさを感じるかもしれない。しかし、そのもどかしさに打ち勝って全体像を把握することこそが、仕事を外さないための基本原則だ。
【次ページ】PCのデスクトップに無数のファイルが散らばっていたら…
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