- 2025/11/07 掲載
閉幕から3週間……「万博」閉幕後の“リアル”、日本が「本当の成果」を得る5つの視点(2/3)
■“万博レガシー”活用の5つの視点
2.マスコットキャラクター・ミャクミャクなどの“無形資産”の活用
3.出展企業のビジネスチャンスの創出
4.(万博で築かれた)国内外ネットワーク
5.人々の意識変容
残された巨大な“有形資産”は生きるのか?
1.跡地や出展物などの“有形資産”の活用1の跡地活用については、大屋根リングの一部を保存し、公園・緑地として整備する計画が進んでいる。跡地全体としては、すでに隣接地で工事が進んでいる2030年開業予定の日本初のカジノを含む統合型リゾート(IR)と合わせ、国際的な観光拠点を目指すという。
万博会場の夢洲エリアは、近隣にはユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が立地しているが、現段階では交通の便もさほど良くなく「陸の孤島」に近い。実際、万博会期中も、交通網の混雑ぶりが問題となっていた。もちろん、新たな鉄道アクセスの検討がすでに進められている。
跡地の整備、交通網の整備には、当然のことながら多額の費用がかかる。費用対効果が厳しく問われることになるだろう。
一方で、ウォーターフロント開発、IR事業は国際的なトレンドだ。すでに、大阪では中之島エリアのウォーターフロント開発が進んでいる。アジア諸都市では、既存のマカオだけでなく、シンガポールやマニラでIR施設が活況を呈している。
国際競争も激しいのは事実だ、大阪が国際観光都市としてさらなる成長を遂げるチャンスとなる可能性も高いように思う。
爆発的人気「ミャクミャク」は「くまモン」になれるか?
2.マスコットキャラクター・ミャクミャクなどの“無形資産”の活用2については、「IP(知的財産)ビジネス」が注目を浴びている現在、チャンスは大きい。公式キャラクター「ミャクミャク」のグッズなど、公式ライセンス商品の売り上げは、8月末時点で約800億円に上っており、万博の収益を大きく支える結果となった。
また、日経トレンディが2025年11月3日に発表した「2025年ヒット商品ベスト30」では、「大阪・関西万博 with ミャクミャク」が第1位に選出されるなど、閉幕後も注目度・話題性の高さを維持しており、ブランド価値は今後さらに高まる可能性がある。
建設事業ほど莫大な投資を必要とせず、短期間で収益を上げることが可能な本領域では、短期的には万博レガシーの“金の成る木”となってくれるだろう。
長期的にはミャクミャクが熊本の「くまモン」のように、地域ブランド・地元の産品を後押しするような存在に成長すれば望ましいと筆者は考えている。
ただし、キャラクターは“放っておいてももうかる”という類のものではない。綿密なブランド管理と、マネタイズ(収益化)の戦略策定が重要となる。
日本で“ご当地キャラクター”は乱立している状況だが、成功しているのはごく一部だ。ミャクミャクは万博の追い風で「ごく一部」に入ることに成功している。これを継続させることができるかが重要な鍵となる。 【次ページ】外国人来訪は想定の半分、日本企業は何をつかんだのか?
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