- 2025/11/17 掲載
パナソニック・明治も希望退職…「辞めやすい」日本と「辞められない」米国の大逆転劇
バークリー音大提携校で2年間ジャズ/音楽理論を学ぶ。その後、通訳・翻訳者を経て24歳で大学入学。学部では国際関係、修士では英大学院で経済・政治・哲学を専攻。国内コンサルティング会社、シンガポールの日系通信社を経てLivit参画。興味分野は、メディアテクノロジーの進化と社会変化。2014〜15年頃テックメディアの立ち上げにあたり、ドローンの可能性を模索。ドローンレース・ドバイ世界大会に選手として出場。現在、音楽制作ソフト、3Dソフト、ゲームエンジンを活用した「リアルタイム・プロダクション」の実験的取り組みでVRコンテンツを制作、英語圏の視聴者向けに配信。YouTubeではVR動画単体で再生150万回以上を達成。最近購入したSony a7s3を活用した映像制作も実施中。
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転職大国に大異変──働き手の半数が「会社にしがみつく」理由
海外では転職、日本では終身雇用が当たり前。そんな認識は、もはや過去のものになりつつある。米国では、これまでに見られない「ジョブハギング(Job Hugging)」と呼ばれる、仕事に「しがみつく」トレンドが広がっているのだ。ジョブハギングとは、本来ならもっと早く退職や転職を考えていたはずの働き手が、安心感や安定を求めて現職に留まり続ける行動を指す。
米Monster社が2025年10月に実施した調査によると、米国の就業者のうち実に48%が「本来よりも長く現職に留まっている」と回答した。さらに、4分の3にあたる75%が「少なくとも今後2年間は現職に留まる予定」と答えている。
この数字は、米国労働市場における大きな変化を物語る。かつて米国といえば、キャリアアップのために積極的に転職を重ねる文化で知られていた。ところが現在は、野心よりも安定、変化よりも快適さを優先する傾向が強まりを見せる。調査では59%が「ジョブハギングは2024年より増えている」と感じ、63%が「2026年にはさらに増加する」と予測している。
働き手がこうした行動に走る背景には、経済的な不確実性がある。給与や福利厚生を理由に留まる人が27%、雇用の安定性を挙げる人が26%と、現職にしがみつく理由のトップ2を占めた。Monster社のキャリア専門家ヴィッキー・サレミ氏は、「働き手たちはかつてないほど強く仕事にしがみついている。だがそれは満足しているからではなく、慎重になっているからだ」と指摘する。
また、Resume Builderによる2025年9月発表の調査でも同様に、45%の労働者がジョブハガーだと自己定義。そのうち95%が労働市場の不確実性を理由にあげている。さらに同調査では77%のジョブハガーが「AIによる自動化」に懸念を示しているという。
一方、ジョブハギングにはリスクが伴う。米Monster社の調査対象者の94%が、現職に留まることの潜在的なデメリットを認識。たとえば、より高い給与を逃すリスク(26%)、変化のなさによる燃え尽き症候群(25%)、キャリアの進展が限られること(25%)がトップの懸念材料として挙げられている。安定と引き換えに、成長のチャンスを失いかねないというジレンマが、米国の働き手を悩ませている。 【次ページ】日本では「辞めるのが普通」の意識が浸透
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