- 2025/11/27 掲載
「AIに仕事を奪われる」は序の口?ガートナー推奨「自律型ビジネス」時代の生き残り策(2/3)
未来のエンプラアプリを構成する「5つの原則」
ウォン氏によると、インテリジェント・アプリケーションは次の5つの“原則”により構成されることになるという。- 適応型エクスペリエンス
- 自律型オペレーション
- 組み込み型インテリジェンス
- コネクテッド・データ
- コンポーザブル・アーキテクチャー
ここからは、各原則について詳しく見ていこう。
■1.適応型エクスペリエンス
「企業では同じ目的を持つスタッフでも、『企画』『実行』などの役割に応じて仕事の中身が変わります。適応型エクスペリエンスを通じて、あらゆるスタッフに対する最適なタイミングでの最適な情報の、最適な形での提供が実現します」(ウォン氏)
企業アプリケーションの狙いの1つがユーザーへの情報提供であり、従来、どのアプリケーションを利用するかはユーザー側の判断に委ねられてきた。インテリジェント・アプリケーションは、ユーザーのニーズや働き方、ワークフローに合せてUXを個別に調整し、そこでのコミュニケーション・ロスを抜本的に解消する。
その実現に必要となる機能が、ユーザーの「すべてのデバイスの同期」「働き方に合せる」「ニーズと意図を把握する」「代わりに行動する」「行動に反応する」の5つである。
■2.自律型オペレーション
業務効率化は企業の永遠の命題であり、現状でもプロセスマイニングなどによるオペレーション自動化が企業の間で精力的に進められている。そことの一番の違いとしてウォン氏が挙げるのが、「ユーザーのアプリケーションの使用履歴などに基づき捕捉されるメタデータ活用」だ。
「これを基にAIが未知のヒューマンループをあぶり出し、既知のワークフローとのオーケストレーションを行います。結果、ヒューマンループも包含した全社プロセスの継続的な効率改善が可能になります」(ウォン氏)
必要となる機能が、「プロセスマイニング」「プロセスオーケストレーション」「プロセス最適化」「組み込みデータ」「組み込み型インテリジェンス」の5つである。
コネクテッド・データであらゆるデータを一元化
■3.組み込み型インテリジェンス現状の各種アナリティクスは分析の狙いや対象、用いるデータ、分析手法の決定などで人が介在するケースが大半だ。判断には属人的な知見も少なからず必要とされ、それが全社的な分析高度化の“壁”となってきた。対して組み込み型インテリジェンスでは、エンタプライズ・アプリケーションと高度なアナリティクスの融合を通じて当該プロセスを自動化し、データ活用を大きく後押しする。
実現のためには、どんなアナリティクスがビジネスで必要とされ、どのデータを、どう使うべきかなどまでアプリケーション側で判断させる必要がある。ウォン氏によると、用いる技術は、半構造化や非構造化データを含めたあらゆるデータの価値判断を行うための「機械学習」、ドキュメントや画像、グラフなど、あらゆる形式のデータに対応し、座標データを用いてデータ抽出が可能なベクトルDBに代表される「セマンテック・エンジン」、直後に紹介する「コネクテッド・データ」の3つである。
■4.コネクテッド・データ
企業では日々、多様なデータが生成/蓄積されている。ただし、その活用にあたって課題となるのが、いわゆるサイロによる管理であり、都度、抽出や加工が必要なことが迅速、柔軟な活用を困難にさせている。
「対してコネクテッド・データでは物理的なトランザクション・データとメタデータの統合により従来、企業の内外にサイロ化していたデータが一元化され、その利用/管理/ガバナンスが自動化・最適化されます」(ウォン氏)
上述の適応型エクスペリエンス、自律型オーケストレーション、組み込み型インテリジェンスの実現にもコネクテッド・データは欠かせず、その実装手段が、いわゆるデータファブリックなのだという。
データファブリックに必要とされる技術は「データ統合」「データ/AIオーケストレーション」「レコメンデーションエンジン」「ナレッジ・グラフ」「拡張データ・カタログ」など極めて多岐にわたる。そのすべてを一度に整備する必要はなく、コンポーザブルなテクノロジー部品により順次、そろえていくのが基本的なアプローチとなる。 【次ページ】日本企業が「置いていかれない」ための“3つのシナリオ”
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