- 2025/12/05 掲載
【誰でもデータ職人】Excel・Slackが“チャットだけ”でプロ級「分析ツール」に激変(3/3)
【AI分析実践編】営業部門、総務・人事部門編
これまで見てきた最新AIツールは、実際の業務現場でどう生かされるのか。日本の大手企業では、非技術部門の一般社員が週労働時間の1/6から1/4程度(少なく見積もって6~10時間)をExcel関連作業に費やしていると推察される。AIはこの状況をどう変えるのだろうか。■営業部門
営業部門では、顧客リスト管理や売上集計作業で大幅な効率化が可能になるはず。また、AIで案件データを分析し受注確度の高い案件を自動リストアップすることで、新人営業でも優先ターゲットを簡単に把握できるようになることも期待できる。
「前月比で成約率が上がっている業界は?」と問いかければ、AIが瞬時にパターンを発見し、次の営業戦略の糸口を示してくれる。
■総務・人事部門
総務・人事部門では、勤怠管理や人員配置表の更新で生産性アップが見込まれる。AIによる異常検知機能が残業時間の異常値を即座に警告。「今月の残業時間が多い部署トップ3は?」といった質問にも、グラフ付きで即答する。
採用面接の日程調整も、関係者のカレンダーをAIが自動で確認し、最適な時間帯を提案する仕組みも実現可能だ。
【AI分析実践編】経理・財務部門、企画・マーケ部門編
■経理・財務部門経理・財務部門では、特に月次決算など多忙期にAIが力を発揮する。経費精算の異常な勘定項目を自動で警告し、不正や入力ミスの早期発見に貢献することが期待される。
各部門から集めたデータの統合作業も、「全部門の今月の経費をまとめて」と指示するだけで完了する。予算と実績の差異分析も、AIが自動で要因を特定し、改善提案まで行うことも可能となる。
■企画・マーケティング部門
企画・マーケティング部門では、アンケート集計に多くの時間がかかる。AIにより、顧客の声を短時間で整理し、ポジティブ・ネガティブ分類から改善点の抽出まで自動化することで、大幅な時間短縮が可能になる。
SNSコメントの感情分析も瞬時に実行し、「最も不満が多い製品機能は?」という質問に対しても、具体的な改善案とともに回答を提示させることもできる。
これらは特別なスキルを必要としない。VLOOKUPやピボットテーブルに苦戦している新入社員でも、日本語で質問するだけで高度な分析結果を得ることが可能だ。中堅以上の社員なら、数時間かかっていた作業を1時間以下に短縮することもできるはずだ。
AI活用する際に気を付けるべきこと
しかし、AIによるデータ分析の急速な普及には、看過できないリスクも潜む。最も懸念されるのは、AIの誤検知や誤分析による意思決定ミスだ。生成AIは強力だが、誤った情報や偏向したコンテンツ、いわゆる「ハルシネーション」を生成する可能性がある。特にLLMの応答は非決定論的であり、同じプロンプトとコンテキストでも異なる結果が返ってくることがある。営業戦略や財務判断など、重要な意思決定にAIの分析結果を過信することは、企業に大きな損失をもたらしかねない。
また、運用面での課題も無視できない。AI分析ツールの導入には相応のコストがかかるほか、従業員のスキル不足も障壁となる。さらにデータのプライバシーとセキュリティも深刻な問題だ。KPMGの調査では、生成AIを使用する従業員の24%が企業の機密情報をパブリックAIツールに入力していることが判明している。
これらの課題を理解し、適切なガバナンスと教育体制を整えることが、AI時代のデータ分析成功の鍵となるだろう。
AI・生成AIのおすすめコンテンツ
AI・生成AIの関連コンテンツ
PR
PR
PR