• 2026/01/10 掲載

「何度言っても動かない部下」が劇的に変わる。デキる上司が使う“効果絶大”な会話術

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正しいことを伝えているのに部下が動かない、話を聞いてもらえない──。そんな経験はないだろうか。日本一の予備校講師と呼ばれた教育コンテンツ・プロデューサーの犬塚壮志氏によると、実は説明がうまい人は「べき論」を使わないという。相手に問いを投げかけ、自ら気づかせるアプローチを取るのだ。そんな、人間の性質を熟知している彼らの会話テクニックとはどういうものなのか。『「説明」がうまい人がいつも頭においていること』を上梓した犬塚氏が、部下との面談からパートナーとの会話まで、あらゆる場面で使える実践的な方法を解説する。
執筆:教育コンテンツ・プロデューサー 犬塚 壮志

教育コンテンツ・プロデューサー 犬塚 壮志

教育コンテンツ・プロデューサー/士教育 代表取締役。福岡県久留米市出身。東京大学大学院学際情報学府修了。業界最難関といわれている駿台予備学校の採用試験に当時最年少の25歳で合格。駿台時代に開発したオリジナル講座は3000人以上を動員する超人気講座となり、季節講習会の化学受講者数は予備校業界で日本一となる(映像講義除く)。2017年、駿台を退職し、予備校講師時代の経験を活かしたプレゼンテーション指導や、企業研修・人材育成プログラム・講座の開発、教材作成サポート、講師養成を請け負うサービスを開始。大企業から中小企業まで登壇オファーが殺到。受講アンケートでは満足度95%超。主な著書に、累計5万部を突破した『頭のいい説明は型で決まる』(PHP研究所)、電子含め5万部を突破した『説明組み立て図鑑』(SBクリエイティブ)などがある。

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説明がうまい人たちはどんな会話テクニックを使っているのか
(Photo/Shutterstock.com)

「正論」というナイフで部下のプライドがズタズタに…

 絶対に正しいと信じていることを伝えたのに、なぜか相手に不機嫌な顔をされたり、話を聞いてもらえなかったりした経験はないでしょうか?

 たとえば、リーダーが、最近少し成果が伸び悩んでいる部下と面談をしている場面です。「なぜうまくいっていないのか」を説明しようとしています。

・説明がうまくない人
リーダー:「君の最近のパフォーマンスについてだけど、もう少し計画的に仕事を進めるべきだ。日々のタスク管理が曖昧だから締め切り間際に慌てることになる。社会人として、自己管理は基本だろう。そうしないと、いつまでも成果は出ないよ」

部下:「(心の声)……言っていることは、わかる。わかるけど……なんだかやる気が削がれるな……」

 マネジャーが言っていることは、一点の曇りもない「正論」です。書籍にも書いてあるような、普遍的な真理かもしれません。彼は、「自分が考える正しさ=相手にとっても正しいこと」と信じて疑わず、それを親切心から教えてあげているつもりです。

 しかし、その正論という名のナイフは、部下のプライドを傷つけ、相手の心のシャッターをガラガラと下ろさせてしまうのです。

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【画像付き記事全文はこちら】
親切心のつもりでも、「正論」というナイフは部下のプライドを傷つけてしまう…
(Photo/Shutterstock.com)

 では、説明がうまい人は、同じ場面でどう話すでしょうか。

・説明がうまい人
リーダー:「最近、少し忙しそうだね。毎日遅くまで頑張ってくれているのは、本当に感謝してるよ。……ところで、もし差し支えなければ、1つ聞いてもいいかな。君自身は、今の仕事の進め方について、どう感じてる? もっとこうだったらスムーズに進むのに、とか、何か思うところはある?」

部下:「実は、最近タスクが増えて、何から手をつければいいか、少し混乱してまして」

リーダー:「なるほど、そうだったんだね。教えてくれてありがとう。じゃあ、もし仮に、今のやり方を続けたとして、半年後、君はどうなっていると思う?」

 いかがでしょうか。後者は、「~べきだ」という「べき論」を一切使っていません。

 むしろ、説明らしい説明はしていません。その代わりに、相手に「問い」を投げかけ、相手自身に考えさせ、気づかせるアプローチを取っています。

 説明がうまい人は、知っているのです。人は正論だけでは動かない。相手が納得することを最優先する。なぜなら、納得したときに人は初めて自ら動き出すからです。

説明がうまい人は「~すべきだ」をこう変換する

 「正論」が響かないのは、それが「他人から押しつけられた正しさ」だからです。

 私たちは、例えそれが正しいことだと頭でわかっていても、他人から「~すべきだ」と言われると、無意識に反発を覚えてしまいます。説明がうまい人は、この人間の性質を熟知しています。だからこそ、自分が伝えたい「正論」を、相手が自分ごととして考え始める「問い」へと巧みに変換するのです。

【ビジネスシーンでの変換例】
Before:べき論
「むだな会議が多いので、アジェンダを事前に共有すべきです」
After:問い
「もし、今日のこの会議の時間が半分で終わったら、皆さんは残りの時間でどんな仕事を進めたいですか?」

【プライベートでの変換例:子どもに】
Before:べき論
「ゲームばかりしてないで、宿題をしなさい!」
After:問い
「○○(子どもの名前)は、将来どんな大人になりたいんだっけ?……そっか、ゲームクリエイターか!カッコいいね。じゃあ、世界一面白いゲームを作るためには、算数と国語、どっちの力がより必要になると思う?」

【プライベートでの変換例:パートナーに】
Before:べき論
「健康のために、もっと野菜を食べるべきだよ」
After:問い
「もし、10年後も20年後も、一緒に元気に旅行に行きたいと考えたとき、今から2人が一緒に始められる、何か楽しい習慣ってあるかな?」

 「べき論」は、相手を「受け身」にします。しかし、「問い」は、相手を「考える当事者」に変えます。説明がうまい人は、答えを教えるのではなく、相手が自ら答えを見つけられるような「問い」という形で手渡しているのです。 【次ページ】効果は絶大、「論理」を「感情」に変換するテクニック
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