• 2026/03/02 掲載

年350万が閉店…中国の飲食店が今ヤバい、勝者はスシローと「回転焼肉」の意外な理由(2/2)

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客席回転率「驚異の11回」、話題の「回転焼肉」は何が凄い?

 山東省青島市を拠点にする回転焼肉店「烤拉拉」(カオラーラー)は、朝10時の開店時にはすでに行列ができており、ピーク時には5時間待ちになることもある。

 驚くべきは、座席の回転率が6回から7回に達することだ。上海店ではオープン当時、11.83回という記録も作っている。一般的な焼肉店では3回から4回が普通で、この数字は驚異的だ。

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人気の回転焼肉店「カオラーラー」。回転コンベアで流れてくる食材を取って、自分のロースターで焼いて食べる
(出典:カオラーラー公式サイトより引用)
 この秘密兵器が回転コンベアだ。回転寿司で使われている循環式コンベアで、カオラーラーでは焼肉の素材が回転し、好きなものを取って自分専用のロースターで焼くスタイルになっている。

 カオラーラーが成功した理由は、顧客ターゲットを「1人客」に明確に定めたことにある。

 店舗のレイアウトは、座席の7割がカウンター式の1人席。1人客は食事に集中し、食べ終わったらすぐに帰るため、1人席の回転率はテーブル席の1.8倍ほどになるという。テーブル席は3人客であっても4人席を占有してしまいムダが出るため、1人客を中心にすると、このようなムダもなくなり、全体の座席回転率を向上させられるというわけだ。

 さらに、料金は食べ放題で79.9元(約1,800円)均一。そのため滞在時間が短くても、ある一定の客単価をキープできる。

火鍋も回る…日本と中国で異なる「回転コンベア」の狙い

 この「回転コンベアを導入し、1人客を主体にすることで座席回転率を上げる」手法は、2023年頃から回転火鍋店で盛んに用いられてきた。1000店舗を展開する「呷哺呷哺」(シャブシャブ)が代表的なチェーンだ。こちらもカウンター席の割合を半分以上、駅近店では7割程度に高めることで、1人客を獲得している。

 面白いのは、回転寿司と同じ回転コンベアの仕組みを使いながら、狙いは日本と中国で異なっていることだ。

 回転寿司の歴史は古く、1958年の元禄寿司にまで遡る。それまでの寿司店は、板前が客の前に立ち、握った寿司をカウンター越しに出し、板前が調理と配膳、接客を兼ねていた。このため、中規模程度の寿司店でも複数人の板前が必要になる。当時寿司店を経営していた白石義明氏は、人手不足で板前が見つからないことから、見学をしたビール工場の風景に触発されて回転寿司を考案、板前は調理に集中し、配膳は回転コンベアというスタイルを確立した。

 それまでの寿司店は、食べたいメニューを1つひとつ板前に注文して握ってもらうスタイルだったが、それゆえの心理的ハードルもあった。流れてくるものの中から好きなものを自分で取って食べるスタイルの回転寿司は、心理的にも価格的にも敷居が下がり、子ども連れのファミリー層を取り込み、寿司の大衆化に成功した。

 一方、中国では回転コンベアを「1人客の獲得」に応用した。中国の単身世帯は2024年で20%弱だが、コロナ禍での微減を除いて上昇基調にある。上海や深センといった大都市では40%近くになり、日本などの先進国と同じ水準になっている。

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中国の単身者世帯の割合。コロナ禍でやや減少したが、増加傾向にあることは変わらない。深センや上海などの大都市では40%近くに達し、日本と変わらなくなっている
(データ出典:中国国家統計局)

 中国の飲食業は、こうした1人客の獲得に出遅れた観があった。10年前まで1人客市場はファストフードが独占している状況で、そこに麺などの中華ファストフードが追従した。さらに、コンビニも1人客をターゲットに即食食品を増やし、イートインコーナーを設置していった。さらにフードデリバリーが登場し、1人客市場は次第に激戦区になっていった。

 このような1人食の弱点は、「食事の満足感」が演出しづらいことだ。どうしても手軽にさっと食事が済ませられる簡素な食事になりがちだ。そこに本格的な食事が楽しめ、なおかつ座ったらすぐに食べて、食べ終わったらすぐに帰れる回転火鍋と回転焼肉が人気になっている。

大手も注目で激戦区に…それでも寿司は日系が勝てるワケ

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火鍋大手「海底撈」も回転火鍋「挙高高」のチェーン展開を始めている。また、マーラータン大手「楊国福」も回転火鍋店のテスト出店を初めている
(出典:挙高高公式サイトより引用)
 この2つに共通するのは、調理技術が不要という点だ。食材を並べてコンベアに流すだけで飲食店が成立する。新規参入もしやすいことから、今後も回転する飲食店は増えていくと見られている。

 一方、回転寿司の場合は、調理はロボットに任せられるものの、食材の調達、保管、下処理には高い技術が要求される。そのため、日系寿司店が強い状況が続くのではないかと思われる。

 この動きは大手飲食店も注目している。火鍋最大手の「海底撈」(ハイディーラオ)も回転火鍋サブブランド「挙高高」(ジューガオガオ)をスタートさせ、マーラータンで有名な「楊国福」(ヤングオフー)も回転火鍋店のテスト出店を始めている。

「回る外食」日本でも広まるか?

 この回転コンベアを、1人食をターゲットにするための武器にするというのは日本でも始まっている。近年、明らかに増加しているのが大手回転寿司チェーンの1人客だ。

 タブレット注文、キャッシュレス会計で、店舗スタッフとほとんど接触しなくて済む。席につけばすぐに食べ始めることができて、終わったらすぐに帰れるというタイパとコスパを両立できるランチ、ディナーとして楽しまれている。大手回転寿司チェーンでも、1皿に異なるネタが組み合わせてある相盛りを提供するなど、1人客の取り込みを強化している。

 日本では、以前から丼もの、定食屋という1人客に対応した飲食店が充実しているため、すでに飲食業は1人客の取り込みに対応できているものの、回転火鍋、回転焼肉が日本に上陸してくることもあるかもしれない。

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