- 2026/03/06 掲載
日本生命米国法人がOpenAIを提訴、ChatGPTの「非弁行為」で約16億円の損害賠償
ChatGPTが弁護士資格を持たずに法的助言を行った非弁行為
事の発端は、日本生命の長期障害保険の元受給者である女性と日本生命米国法人との間で起きた、給付打ち切りを巡るトラブルである。この訴訟は2024年1月に正式に和解が成立し、事案としてはすでに解決していた。しかし、和解内容に不満を持った女性が担当弁護士からのメールをChatGPTにアップロードし、相談を持ちかけた。これに対しChatGPTは女性の不信感を肯定し、和解合意を破棄して訴訟を再開するための法的分析や助言を提供した。
さらに、女性は自身の弁護士を解雇したうえで、ChatGPTを法的助手として利用し始めた。ChatGPTは解決済みのケースを再開させるための訴状や申立書などの法的文書を具体的に起草した。女性はChatGPTの支援を受けて、数十件に及ぶ文書を裁判所に提出した。結果として、日本生命側はすでに終わったはずの紛争対応に再び巻き込まれ、裁判への対応に多大な時間と費用を費やす事態となった。
日本生命側は、ChatGPTによる具体的な法的文書の作成や訴訟戦略の提示が、イリノイ州で禁止されている無資格での法律業務に該当すると指摘している。また、有効に成立していた和解契約に対する不当な干渉であり、司法手続の濫用によって業務を妨害されたと訴えている。一方、OpenAIは5日の声明で訴えにはいかなる根拠もないと反論している。なお、同社は2025年10月に利用規約を改定し、ChatGPTが個別具体的な法的助言を行えないように設計変更を実施していた。
対話型AIを通じた無許可の法律業務を巡って主要なAI企業が提訴されるのは異例の事態である。今回の訴訟は、AIが生成する回答が一般的な情報提供の範囲に留まるのか、それとも個別具体的な法的助言にあたるのかという法的な境界線を問うものとなる。
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