• 2026/05/18 掲載

TikTokを観察して年商83億円、誰でも再現できる“トレンド察知術”の正体

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TikTokを観察するだけで、次のトレンドが読める──そんな手法を武器に年商83億円を達成した企業がある。「センス頼り」に見えるが、実は誰でも使える再現性のある調査術だ。ここではSNSだけでなく、思わぬところに潜んでいるユーザーの「本音の拾い方」を、調査の常識を覆す事例とともに紹介していく。あなたが今やっている調査やヒアリング、実は全部ズレているかもしれない…。
執筆:アプリマーケティング研究所 鶴谷 智洋

アプリマーケティング研究所 鶴谷 智洋

マーケティングやデジタルプロダクトの成功事例を紹介する、フォロワー6.5万人を誇る人気note「アプリマーケティング研究所」の運営者。10年以上で数百件の企業を取材し、その成功事例を図解を交えて発信している。

  執筆:行動経済学コンサルタント 橋本 之克

行動経済学コンサルタント 橋本 之克

「行動経済学のビジネス活用ノウハウ」「30 年以上のマーケティングとブランディングの経験」をもとに、独自のコンサルティングや講演を行っている。大手広告会社を経て、1995 年に日本総合研究所に入社。自治体や企業向けのコンサルティングに携わる。1998 年より広告会社ADK にて、多様な商品サービスの顧客獲得戦略を構築し、2018 年に独立。通算800 案件以上の戦略に携わる。『世界は行動経済学でできている』(アスコム)ほか、著書多数。昭和女子大学 現代ビジネス研究所 研究員/文教大学 非常勤講師

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ユーザーの「本音の拾い方」を、調査の常識を覆す事例とともに紹介する
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)
※本記事は『デジタルマーケティング成功事例100』を再構成したものです。

「ユーザーの本音を知るためのデータ」ってどれ?

 ユーザーの本音を知ることは大事です。ですが、それ以前に知るべきデータが得られるよう、調査をロジカルに設計しておくことも重要です。個々の事例を見ていく前に、調査の基本的なプロセスと、陥りやすい注意点をさらっておきましょう。

プロセス1:知りたいことを明確にする
 ここでは、調査内容を明確にします。たとえば以下の項目です。

  • 市場規模(どこに、どれくらいユーザーがいるか)
  • ニーズ/価値基準(何を求めているのか)
  • 利用意向(今後の利用可能性はどうか)
  • 競合(代わりにどの商品を使っているか)
  • 未利用の理由(認知不足か、理解不足か、不満や不安があるか)

 注意すべきは「手に入りやすい調査データ」と「必要なデータ」は時に異なることです。手に入りやすい既存のユーザーのニーズや評価は、これから獲得すべき未来のユーザーと同じとは限らないことに留意しましょう。

プロセス2:対象者を決める
 ここでは、どんな人に調査するのかを明確にします。たとえば以下の項目です。

  • 性別・年齢
  • 居住地
  • 職業
  • 年収
  • 既存のユーザーか未利用のユーザーか

 ここでの落とし穴は、「熱心なファンのデータだから有用」とは限らないことです。多くの一般的なユーザーのデータを集めたいのか、熱心なファン獲得のためのデータを集めたいのか、狙いを明確にする必要があります。

 狙いを明確にして成功した事例が、おやつの定期便「スナックミー」です。

■ 熱心なファンの本音を活用した例
  • おやつの定期便「スナックミー」
    人数が多いが利用回数は少ない「評論家」の声に引っ張られず、「熱心なユーザー」の本音を聞くことで、サービスを改善しました。

 誰がユーザーで、誰が「評論家」なのか。線引きして声を聞くことは、さまざまな商品の調査においても有効でしょう。

プロセス3:方法を決める
 ここでは、どの方法で調査を実施するのかを決めます。

  • インタビュー調査(対面やWeb、電話で面談)
  • アンケート調査(多人数の回答を集めてデータを分析)
  • デスクリサーチ(メディアなどで公開されている情報を分析)
  • 観察調査(対象者の行動や動作、実態などを観察)
  • データ解析(大量の購買履歴やWebのログなどを解析)

 ここで留意しておくべきは、回答者の答えが、実際の行動と異なることは珍しくないこと。この矛盾があることをふまえて、本音を聞き出したのが「ラクサス」の事例です。

■ 建前を廃して本音を聞き出した例
  • ブランドバッグのレンタルサービス「ラクサス」
    回答者に直接レンタルするか聞くと、回答者自身は否定しました。しかし「知人や友人は借りると思うか?」と質問すると、レンタルしたい回答者の本音が出ました(詳細は後述)。

 調査の現場では、ユーザーが見栄を張ってしまう可能性も考慮しておきましょう。

画像
【画像付き記事全文はこちら】
ユーザーが見栄を張り、実際の行動と異なる可能性も考慮しておこう
(画像:本文をもとにAI(Gemini/Nano Banana)を使用して生成)

 また、調査実施者が誤った答えに誘導してしまうことにも注意しましょう。間違いやすい質問の仕方には、以下の2つがあります。

 1つ目は「ダブル・バーレル」です。これは、2つ以上のことを同時に尋ねる質問のことです。たとえば「子育て支援に充てるのなら、消費税を引き上げるべきか?」といった質問文です。1つの質問に「消費税を子育て支援に充てるべきか」と「消費税を引き上げるべきか」の2つを含んでいるため、回答者は混乱します。

 2つ目は「誘導質問」です。質問文の前置きや前の質問に質問者の考えを書くことで、回答者が同意しているかのように導くものです。たとえば「消費税は予定通り引き上げるべきだが、財政再建に重点を置くべきだ」という選択肢は、消費税の引き上げを暗に承認するよう誘導しています。

調査で得た「定性データ」にチャンスは潜んでいる

 調査から得られるデータは、大きく2分されます。客観的な数値を表す「定量データ」と、利用者の感想や気持ちなどを表す「定性データ」です。

表:定量データと定性データ
定量データ
数値で表せる量的な情報
定性データ
数値で表せない質的な情報
(例)
  • 商品の売上高
  • サイトへの来訪者数
  • アンケートの回答数
(例)
  • どこが気に入ったか
  • 使いやすいか
  • なぜこの店で買うか

 定量データは数値の大小などからおおまかな傾向の把握に役立てるもの、定性データは1つひとつの内容を吟味すべきものです。このうち、良い定性データを得る切り口はさまざまにあります。

■ 良い定性データを得る切り口の例
  • AI家計簿アプリ「ワンバンク」
    ユーザーの「不合理な行動」に着目し、手つかずの市場を切り開きました。

  • 配信アプリ「ミラティブ」
    ユーザーの「想定外の利用方法」に着目し、ヒット機能を生み出しました。

  • オンラインのたまり場アプリ「パラレル」
    リリース前は不要と言われた機能でしたが、作って出してみた後の実際の評価から、実はニーズがあると気づきました。

 ここまで述べたように、調査にはいくつかの基本ルールがあります。これを踏まえた上で、より良いデータを得るための工夫を、いくつかの事例から学んでいきましょう。 【次ページ】【事例1】TikTokの観察・分析で「もうすぐ流行る」は察知できる
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