- 2026/05/20 掲載
オタフクはなぜ100年続く?実は日本の9割が同族経営、経産省が示す“お家騒動”回避術(2/2)
手遅れになる前に…「お家騒動」を回避する“2つの鉄則”
事業承継の遅れや見通しの不透明さは、企業の成長を阻害する要因になりかねません。そこで新指針では、承継を「経営(誰が社長になるか)」と「所有(誰が株主になるか)」の2つの問題に分けて整理し、具体的な実践例を示しています。■経営の承継で重要な「適度な距離感」
経営の承継においては、取引先や従業員に安心感を与えるために、早いうちから事業承継計画を立てて内外に示すことが求められます。
後継者の選定プロセスや基準を明確化することも重要です。ファミリー外の優秀な従業員も、候補の選択肢に含めることが有効な場合があります。新指針では、あえて他業種で経験を積ませて自社の特徴を再認識させるケースや、ホールディングス傘下の企業で社外人材を経営者候補として登用するケースも紹介しています。
さらに、承継完了後の先代の役割をルール化しておくことも欠かせません。次世代に影響がある事柄には口を出さない、あるいは65歳で社長を退任して経営から離れるなど、適度な距離感を保つルールをあらかじめ定めることで、世代間の摩擦を防ぐことができます。
■所有の承継で重要な「株式の集約」
一方、所有の承継においては、株式をどれくらい分散させるかが問題となります。
適度な分散は監視機能を果たす半面、分散しすぎれば経営の不安定化を招くリスクが大きくなります。そのため、「経営に関与しないファミリー株主の死去時には、役員・従業員が買い取る」といったルールを規定し、株式の流出を防ぐといった手法が例として示されています。
加えて、株式を保有する「意義」の共有も不可欠です。当事者意識を高めるための従業員持株会の活用や、役員以上のみに議決権株式を持たせるといった工夫を通じて、単なる財産ではなく「経営権」としての株式の意義を教育することが、安定した承継につながると考えられます。
あの「オタフクソース」が100年続く秘訣
ソフトなルールの事例として、新指針の参考資料では、お好みソースで有名なオタフクホールディングスの創業家である佐々木家の家族憲章を紹介しています。二.8家族から1人ずつ後継者(社員・株主)を選出
三.給与は「基本給(平等)+役職級(公平)」
四.退職金は「基本額(平等)+貢献給(公平)」
五.65歳で現役を退き、顧問、相談役に就任
六.年4回のファミリー会を開催
七.多数決で決議しない(全員が納得するまで議論)
八.グループ企業の取締役会の半数以上を、佐々木家出身者以外とする
九.後継者は世間が決める(基準は「何を変えたか」「何を始めたか」「誰を育てたか」)
このような株式保有や入社に関するルール制定こそが、100年以上続くファミリービジネスの要となっているのです。
経済産業省がファミリービジネス向けのガイダンスを策定した背景には、日本の屋台骨を支える中堅・中小企業の持続的な成長に対する期待があります。経営者の不測の事態や世代交代のタイミングは、いつ訪れるかわかりません。
「家族だから言わなくてもわかる」という曖昧さを排し、明文化されたルールに基づいてガバナンスを構築することは一族の資産を守るだけでなく、従業員や取引先といったステークホルダーとの信頼関係を強め、結果として企業の競争力を高めることにつながるかもしれません。
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