- 2026/06/28 掲載
変化が速すぎるAI時代でも裏切らない…武器になる「低周波帯のスキル」とは何か
サービスデザイナー。ユーザーの行動設計や体験設計を主軸に、新規事業の企画やグロース、新技術の導入などの伴走を行う。2009年Art&Mobile、2013年クリエイティブファームTHE GUILDを設立。現在はnoteや弁護士ドットコムのCXOを務めるほか、横須賀市のAI戦略アドバイザーなど、領域を超えた事業アドバイザリーを行う。執筆、講演などでも精力的に活動。
AI時代に磨くべき「低周波帯のスキル」とは?
「AI時代に何を学べばいいのか」と聞かれると、僕はよくこう答えます。「低周波帯のスキルを磨いてください」少し聞き慣れない表現かもしれません。これは、画像処理で使われるフーリエ変換という技術から借りた比喩です。
フーリエ変換とは、複雑な画像や音声を「周波数の成分」に分解する手法です。変化がゆるやかな成分を低周波、変化が激しい成分を高周波と呼びます。写真でいえば、低周波は人物の輪郭や全体の構図を形作り、高周波は髪の毛の細部や肌の質感を担います。つまり、物事の大きな構造を決めているのは、低周波のほうです。
この感覚を、そのままスキルの世界に当てはめてみましょう。高周波帯のスキルとは、変化が激しく、賞味期限の短いスキルです。
たとえば、特定のツールの使い方、プログラミング言語の最新仕様、ある業界でしか通用しない専門知識などがそれに当たります。エンジニアが特定の言語を何年もかけて習得しても、その言語自体が廃れてしまえば、積み上げた努力の多くはサンクコストになりかねません。
「プロンプト」も同じです。便利なプロンプト集を丸暗記するだけなら、AIが進化した瞬間に通用しなくなるリスクを常に抱えています。
高周波帯のスキルは、習得コストが高いわりに、変化のたびに陳腐化しやすい。そこに最大の難しさがあります。
一方、低周波帯のスキルは、「どんな時代でも、どんな場所でも効く知」のことです。
明日、農家になっても使える「構造化する力」
僕がよく使う基準はシンプルです。「明日突然、農家に転職しても役に立つか?」農場のレイアウトを効率的に設計する。収穫サイクルを最適化する。複雑な作業工程をシンプルに整理する。こうしたことは、すべて「構造化する力」の応用です。エンジニアが設計で使う思考と、本質的には変わりませんし、どんな仕事でも活用できるでしょう。
具体的には、次のような問いが低周波帯のスキルの核心にあります。
複雑になりすぎた仕組みを、どうシンプルにするか。
物事を抽象化し、再現可能なモデルにするにはどうするか。
不確実な状況でも、安定して成果を出すにはどうすればいいか。
こうした力は、職種も業種も時代も選びません。
だからこそ、AI時代に本当に問うべきなのは、「何を学ぶか」だけではなく、「どの周波数帯のスキルに投資するか」なのです。
高周波帯を追いかけ続けるより、低周波帯に時間とお金を投資して磨く。構造的に勝てる場所を、自分で設計できるようになる。僕はそれが、この時代のより本質的な戦略だと考えています。
【次ページ】プロンプト知識より、問いを立てる“正拳突き”が武器になる
AI・生成AIのおすすめコンテンツ
AI・生成AIの関連コンテンツ
PR
PR
PR