- 2026/07/23 07:10 掲載
“人間向け”インターネットは不要に? AIエージェントが変える「UX新常識」の衝撃(2/2)
知っておくべき3つの設計モード「UX・HAX・AX」
インターネットが2層に分かれていくなら、デジタルサービスの設計は単一のモードでは済まない。スチュワート氏は3つのモードを提示する。UXはGUIを通じて人間が直接操作する従来型の設計だ。体験・発見・感情的な選択が価値を持つ場面では今後も不可欠だが、ヒューマンレイヤーに限定されるモードでもある。
HAX(ヒューマン・エージェント・エクスペリエンス)は人間とエージェントが主導権を動的に切り替えながら作業を進めるハイブリッドモードだ。たとえば、人間がデータをレビューする裏でエージェントがレポートを作成する。あるいは、人間が個別判断を要するイレギュラー対応に集中する一方で、エージェントがシステムの更新作業を処理するといった具合だ。
スチュワート氏は、近い将来のエンタープライズ業務の多くがHAXを中心に回るようになると見ている。
AXはエージェントが主役の完全エージェントモードだ。人間は検証・例外処理・ガバナンス監督にのみ関与し、インターフェースはGUIから、エージェントを中心としたAPI連携へと移行する。現在の多くの組織はUXしか持っていない。
AXを機能させる「4つのゲート」
AXの設計はスチュワート氏の言う「4つのゲート」を通過できるかどうかで評価できる。最初のゲートは「アクセス」だ。エージェントがエンドポイントを見つけられなければ何も始まらない。ユーザーが操作するすべてのワークフローに対応するAPIまたはWebhookを用意し、MCP、REST、GraphQL、gRPCなどの標準プロトコルをサポートする。
次は「意図(インテント)」だ。エージェントが達成したい目的をシステムが正確に解釈し、曖昧さや推測を排除して実際の処理フローへと結びつける必要がある。既存の人間向けシステムに自然言語処理を後付けして対応しようとするのではなく、システム同士が確実に目的を伝達し合える構造化されたルートを整備することが求められる。
「信頼」のゲートでは、各エージェントが実行可能な操作を厳格に制限するルール作りが必要となる。無条件のアクセスを許さず、すべての要求を必ず認証した上で、高リスクな操作には制限を設け、万が一に備えて追跡可能な改ざんできない記録を維持しなければならない。
最後の「フィードバック」では、エージェントがタスクの成否を判断できる明確なステータスコードと、原因や対処法をプログラムが読み取れる形にしたエラーレスポンスが求められる。
UXとは全然違う?「AXの測定指標」の中身
AXが機能しているかを測るパフォーマンス指標も従来のUXとは異なる。タスク完了率(人の介入なしにワークフローが完了した割合)、意図達成までの応答速度、エラーの明瞭さ、エスカレーション頻度、エージェントタスク1件当たりのコストが主な指標となる。
これらが改善されているかどうかが、来るべきエージェント時代への適合度を測る試金石となる。
自動化によるトラフィックが過半数となった今、企業に求められるのは自動化に抗うことではなく、人間とエージェントの「共存」を設計することである。「最大のユーザー」が求めているのは、美しいGUIではなく、構造と意図、そして信頼である。
エージェントのための設計を突き詰めることは、結果としてすべてのユーザーにとって価値あるデジタル体験を創造することに繋がるはずだ。
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