- 2026/07/31 06:10 掲載
AIが進むほど「泥臭い人」が売れるワケ…最後に選ばれる営業パーソンの決定的条件
新連載:令和のガチ営業
セレブリックス取締役 執行役員 CMOとして、全社のマーケティング戦略を主導するとともに、新規事業開発を牽引。セレブリックス営業総合研究所の所長兼セールスエバンジェリストとして、法人営業・法人購買・AIを活用した営業手法など、セールスの最前線で実践的な研究活動や情報発信を行っている。2021年に、営業本のベストセラーとなった『Sales is 科学的に「成果をコントロールする」営業術』を出版し、その続編として2026年、渾身の最新作『Sales is 2:ファクトファインディング おもしろいほど成果が出る、究極の「問いの技術」』を出版。シリーズ累計発行部数は10万部を超える。現場に即したわかりやすい解説と実践的なノウハウで、多くの営業パーソンやマネジメント層から圧倒的な支持を集めている。
商談準備から提案まで、営業はここまでスマートになった
いま、営業を取り巻く環境は大きく変わっています。商談準備ではAIや各種ツールを使って企業情報を集め、仮説を立てることができます。
商談中の会話は録音され、文字起こしされ、要約され、CRM(顧客関係管理)やSFA(営業支援システム)に蓄積されます。
提案内容や進捗状況も可視化され、マネージャーは営業活動をデータで把握しやすくなりました。かつては、売れる営業の頭の中や個人ノートに閉じていた情報が、いまは組織の資産として共有されるようになっています。
こうした流れの中で注目されているのが、「セールスイネーブルメント」です。簡単に言えば、「継続的に売れる仕組みづくり」です。
人材が採用しにくく、退職も起こりやすい時代です。さらに、売るものは複雑になり、顧客の意思決定も簡単ではなくなっています。そのような環境で、営業を個人の力量だけに委ねてしまうと、売れる人と売れない人の差はますます広がっていきます。
だからこそ、誰が担当しても一定水準以上の営業活動ができるようにする。売れるプロセスを整え、再現性を高める。この考え方は、営業組織にとって非常に重要です。
実際、セレブリックス営業総合研究所が実施した調査でも、営業組織の関心事としてセールスイネーブルメントは高い注目を集めています。
なかでも2025年の営業課題のランキング(上図参照)では「セールスプロセスの標準化と再現性の担保」がもっとも票を集めました。この流れ自体は、間違いなく正しい方向です。
営業プロセスの“型”を用意する組織の“決定的盲点”
一方で、ここで忘れてはいけないことがあります。営業は、「人間関係のビジネス」だということです。こちらがどれだけ美しい型を用意しても、お客さまがその型にきれいにはまってくれるとは限りません。同じお客さまであっても、その日の体調、気分、直前の会議で受けた影響、社内で起きている出来事によって、反応は変わるのです。
昨日は前向きだった人が、今日は少し慎重になることもあります。前回会った時にはよく話してくれた人が、今回は口数少なくなることもあります。つまり営業には、型だけではなく、その場で相手を観察し、空気を読み、言葉を選び直す力が求められます。
もちろん、型は大切です。型があるからこそ、アレンジができます。基礎があるからこそ、応用ができます。自分の中に取り出せる引き出しがあるからこそ、その場に合わせて使い分けることができます。
問題は、型を持つことではありません。型通りにやればすべてうまくいく、と錯覚してしまうことです。
お客さまは、営業プロセスの中にいるのではありません。お客さまは、お客さまの事情の中にいます。だからこそ営業は、プロセスを持ちながらも、目の前の人に合わせて変化できる仕事でなければならないのです。 【次ページ】本当にスマートな人はなぜ「泥臭く」感じさせないのか
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