- 2026/08/09 07:10 掲載
提案を断られても「終わり」ではない──元キーエンス営業が明かす“逆転”の一手
1991年、兵庫生まれ。慶應義塾大学大学院卒。大学院卒業後、キーエンスに新卒入社。研修時は部内同期でトップクラスの成績(基礎テスト1位、技術テスト3位)を収めるも、配属後は一転して成果が出ず、2年目には最低評価を受け、どん底を経験する。そこからプライドを捨て、電話や質問の1つひとつを徹底的に研究。「凡人がいかにして成果を出すか」という再現性にこだわり抜いた結果、同下期に新商品販売ランキングで全国トップ10に2度入賞。才能に頼らず、泥くさい工夫ではい上がるための営業メソッドを確立。
Xアカウント:https://x.com/asahi_sales
営業は「断られてから」が本当の勝負
「申し訳ありませんが、今回はニーズにマッチしなさそうなので結構です」どんなに優れた営業パーソンでも百発百中で契約を勝ち取れるわけではありません。むしろ、トップセールスと呼ばれる人間ほどこの丁寧ですが冷たい断りの言葉を「ゲームセットの合図」ではなく、「延長戦開始のゴング」だと捉えています。
彼らの心の中では「よし、ここからが腕の見せどころだ」という静かな闘志が燃え上がっているのです。
なぜなら、彼らは顧客から発せられる「結構です」という一言が、必ずしも製品や提案そのものへの、最終的かつ絶対的な拒絶ではないことを経験則で深く理解しているからです。
多くの場合、それは「あなたの提案が、私が今まさに認識している課題のど真ん中には合致しなかった」という、極めて限定的な意思表示に過ぎないのです。
どんなに弁が立ち、どんなに製品の品質に自信があっても私たちが準備した渾身の「ストレート」が虚むなしく空を切ることは日常茶飯事です。その最初の「空振り」の瞬間、多くの営業パーソンは落胆し、肩を落とし、「承知いたしました。また次の機会に……」と作り笑いを浮かべて、すごすごと引き下がってしまいます。
しかし、その口から出た「次の機会」は残念ながら多くの場合永遠にやってはきません。競合がその隙を突くか、あるいは顧客自身がその課題意識すら忘れてしまうからです。
顧客の「結構です」に隠された4つの心理
そもそも顧客が「結構です」と言うとき、その言葉の裏にはさまざまな心理が隠されています。それを理解せずして、次の有効な一手を打つことはできません。- 提案内容がズレている:
- 「課題はある。でも、あなたの提案は的を射ていない」
- タイミングが違う:
- 「必要性は感じる。でも、予算や計画上今ではない」
- 現状維持バイアス:
- 「新しいことを考えるのが面倒。今のままで何とかなっている」
- 本当の課題を自覚していない:
- 「そもそも何に困っているのか、自分でもよくわかっていない」
多くの凡庸な営業はこれらすべてのニュアンスを「NO」という一言で片付けてしまいます。しかし、優れた営業はこの言葉をこそ「対話の始まり」と捉えるのです。特に、1、3、4のケースにおいては、私たちが粘り強く足掻くことで、大逆転の道が開ける可能性は十分にあります。
【次ページ】キーエンス流「ワンモア」とは何か
営業戦略のおすすめコンテンツ
営業戦略の関連コンテンツ
PR
PR
PR