- 2026/07/27 07:10 掲載
AWS大物幹部を獲得、メタのクラウドは3強を崩せる?「AI計算力外販」の本当の狙いとは
AWS大物幹部の移籍、「第4のクラウド」が動き出す?
米メタがクラウド事業への参入を検討していることが明らかになった。米紙ウォール・ストリート・ジャーナルは2026年7月17日、Amazon Web Services(AWS)の上級幹部デーブ・ブラウン氏がメタへ移籍する予定だと報じた。ブラウン氏はアマゾンに約20年間在籍し、AWSのコンピューティングや機械学習関連事業に携わってきた人物。メタではインフラ部門トップのサントシュ・ジャナルダン氏の下で、データセンターの整備を担うという。
さらに同紙によると、メタは生成AI「Claude」を開発する米アンソロピックに計算資源を貸し出す案について、初期段階の協議を進めている。契約条件は固まっておらず、現時点でクラウド参入が正式決定したわけではない。
それでも、マーク・ザッカーバーグCEOが5月の株主総会でクラウド事業を「definitely on the table(間違いなく選択肢に入っている)」と表現し、計算資源の提供を求める企業からほぼ毎週接触があると説明した。
背景にあるのが、AI向け設備投資の急拡大だ。メタは2026年の設備投資額を1,250億~1,450億ドルと見込む。1~3月期だけでも198億4,000万ドルを投じた。
7月にはカナダで、出力1GW、投資額130億カナダドル超となるAI向けデータセンターに着工した。世界で33カ所目の自社データセンターになるという。
ただし、メタが抱えているのは単純な「余剰設備」ではない。社内のAI開発需要は増え続けており、外部企業が社内利用を上回る価格を提示した場合に、計算資源の配分を変える構想に近い。
つまり狙いは、余ったサーバを安売りすることではなく、巨額投資で整えたAI工場を最も高く買う相手に開放すること。AWS、Azure、Google Cloudとは少し異なる出発点である。
【4社決算比較】すでに巨額利益を稼ぐクラウド3強
メタの勝算を判断するには、先行する3社がどれほど強固な収益基盤を持つのかを見る必要がある。以下は2026年7月24日時点の最新公表値で、アマゾン、マイクロソフト、メタは1~3月期、アルファベットは4~6月期。決算期や開示区分が異なるため、単純な規模比較には注意が必要だ。
まずAWS。2026年1~3月期の売上高は前年同期比28%増の376億ドル、営業利益は142億ドルだった。単純計算した営業利益率は約37.8%に達する。アマゾン全体の営業利益239億ドルのうち、約6割をAWSが生み出した計算だ。
アンディ・ジャシーCEOは、AWSの伸び率が過去15四半期で最も高く、自社半導体事業の年間売上高換算も200億ドルを超えたと説明した。
マイクロソフトはAzure単体の売上高を開示していないが、Azureおよびその他クラウドサービスの売上高は40%増となった。Microsoft Cloud全体の売上高は545億ドルで29%増、契約済みで今後売り上げになる商用残存履行義務は6,270億ドルに達した。
Microsoft 365、GitHub、Dynamics 365などからAzureへ顧客を誘導できる点が大きい。
最も勢いがあるのはGoogle Cloudだ。2026年4~6月期の売上高は82%増の248億ドル、営業利益は3倍超の88億ドルとなった。営業利益率は前年同期の20.7%から35.6%へ急上昇。受注残高も5,140億ドルに膨らんだ。
AIモデルのGemini、自社半導体TPU、データ分析、セキュリティを一体で提供する戦略が効いているという。
一方、メタの1~3月期売上高は33%増の563億1,000万ドル、営業利益率は41%だった。ただし、その中心は依然として広告事業であり、外販クラウドを独立事業として開示していない。
メタは高収益の広告事業を原資にクラウドへ参入できる半面、3強が長年積み上げた法人契約や運用ノウハウをゼロから築く必要がある。
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