- 2026/08/20 07:10 掲載
Claude・GPT公開に「待った」連発…米トランプ政権が目論む“中国封じ”のAI戦略(2/3)
なぜ今、米政府が「オープンAI」に接近するのか
その中で持ち上がった最新AIモデルの一時利用禁止や公開停止は、安全保障に影響を及ぼし得る企業のビジネス領域に政府が介入するパターンを、AI企業にも適用する布石であったと言えよう。
実際に、オープンAIは米政府に対し、今秋から2027年にかけて予定される新規株式公開(IPO)で発行する株式の5%を付与することを提案し、政権側も前向きに検討中であると英フィナンシャル・タイムズ紙が7月1日に報じた。米政府が主要株主となれば、敵対国を有利にするようなモデルの公開や、最先端モデルの軍事利用などについて、米政府が経営に対し発言権を持つかもしれない。
またこのスキームは、米主要AI開発企業が5%など一定の株式割合を公共の投資ビークル(ソブリンファンド)に出資し、その投資が生み出す収益が国民に分配されるという仕組みだ。米政府に対し株式が無償で割り当てられるのか(USスチール型)、あるいは米政府が購入するのか(インテル・MPマテリアルズ型)、さらに法制化に際して米議会の承認が必要になるかなど、具体的な詳細は決まっていない。
また、オープンAIの競合であるアンソロピックやグーグル、メタなどの参加が実現するかも、現時点では不明だ。
「AI規制」実は追い風?トランプ政権でAI大手が儲かるワケ
一般に、政府による資本の所有や統制、さらに経営への介入あるいは保護は、計画経済の要素と資本主義を組み合わせた「国家資本主義」と呼ばれる。だが、利益よりも安全保障を最優先する国家資本主義を志向しながらも、USスチールは黒字を確保するなどしている。過去の社会主義経済で見られた企業経営の大失敗とは異なり、きちんと儲けさせているところが「トランプ流」であろう。
こうしたトランプ流の経営介入が、「新しいマンハッタン計画」にもたとえられる米国型の最先端AI開発にも適用されている。アンソロピック2モデルの利用禁止や、オープンAIの次期モデルの公開停止は、国家資本主義下で政府がAI開発に関与する新しい姿が示されたものである。
一方で、政府の統制や介入と一見矛盾しているように見えるにもかかわらず、トランプ政権の経済政策は基本的に規制緩和を志向している。
つまり、政権が絶対に譲れない線である国家安全保障の面で協力するのであれば、AIモデル開発やデータセンター建設、子供の安全なAIの利用といった領域における規制はできる限り弱めて、自主規制に委ねるのだ。
このように、「安全保障面で厳格に規制、残りの領域で自由放任」が象徴するトランプ流の国家資本主義は、オープンAIやアンソロピック、さらに多くのAI大手も大いに儲けさせるのではないだろうか。 【次ページ】アンソロピックも逃げられない…中国を封じる「国家戦略」
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