- 2026/09/04 06:30 掲載
Qwen3.8にFreeToken…API料金ゼロでLLMが動く「4つの新技術」のスゴい中身を徹底解説(3/3)
「VRAM不足」は増設せず突破、FreeTokenが変えた発想
4つ目のFreeTokenは、モデルではなく実行エンジンの技術である。ローカルAIの問題はVRAM容量の少なさだ。ローカルでAIが動かせるのはGPUとVRAMが非常に高速だからだが、VRAMはとても高価でたくさん載せるのが難しい。量子化でモデルを削るのも、MoEで専門家を分割するのも、少ないVRAMに収めるためである。
FreeTokenは発想を変えた。GPUとVRAM、CPU、メインメモリ、そしてそれらを結ぶデータの通り道までを、1つの推論システムとして扱う。頻繁に呼ばれる専門家はGPUへ置いたままにする。たまに呼ばれる専門家は、メモリからVRAMに転送する場合もあるが、CPUがその場で計算することもある。GPUとCPUのどちらを使うかはケースバイケースで、そのPCのCPU性能、メモリの速度、転送路の速度を起動時に実測して自動で決める。
それでどのくらいの性能が出るのか? 開発チームの論文によれば、8GB版のRTX 4060を積んだノートPCで35BのMoEモデルが毎秒39.3トークンで動き、最上位級のRTX 5090では毎秒77~83トークンに達したという。
FreeTokenは仕組み上、MoEモデルが前提で、Qwen3.8-27BのようなDenseモデルでは恩恵が得られない。また、Qwen3.8-Flash-NextはMoEだが、高速化を支える辞書だけでもメインメモリを約48GB占有するため、VRAMは縮小できてもメインメモリは大量に載せる必要がある。ここまでの4つの技術を単純に組み合わせて利用するのは、まだ難しい状況だ。
4つの新技術に共通の「ある目的」
この4つの技術はすべてが「限られたハードウェアで、より精度を出したい」ローカルAIのニーズを満たす方向で登場してきた。Qwen3.8-27BとDynamic 3.0は、実用的なLLMを16GB級のGPUで使えるようにした。方向性が異なる技術だが今すぐ利用できるものだ。
一方で、Flash-NextとFreeTokenは、これから2~3年のローカルAIを方向づける設計思想を示したと言えるだろう。
以前のローカルAIは、VRAMがボトルネックでVRAMに収まるモデルを探す営みが中心だった。VRAM容量にとらわれないユニファイドメモリを搭載したMac StudioやDGX Sparkという選択肢もあるが、処理速度やメモリ転送速度の問題があって、万能の選択肢というわけでもない。
2026年8月に登場した4つの技術は、近い将来にこれらの問題が解決して、実用的なAIをAPI料金を払わずに自由に利用できる時代の到来を予感させる。高度な分析や設計はクラウドのフロンティアクラスのAIを使い、日常の業務処理はローカルAIを使うのが当たり前になるかもしれない。
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