- 2026/09/20 07:10 掲載
ローソン297円弁当が凄すぎる…コンビニが高くなりすぎた日本の「残酷な現実」とは
ローソン297円、「一点突破」が面白すぎる理由
ローソンは2026年9月16日、具材を1種類に絞った低価格商品「一点突破すぎ!」と、具材の品質や量にこだわった「贅沢すぎ!」の計13品を9月21日から順次発売すると発表した。ローソンによると、「一点突破すぎ!」では、同サイズの弁当と比べて価格を最大5割抑えたという。中でも目を引くのが、「一点突破すぎ!ごはんがすすむ ぼだっこ(鮭)」だ。価格は税込297円。秋田県の伝統的な保存食である塩辛い鮭「ぼだっこ」だけをごはんに載せた、文字どおり一点突破の商品である。
ほかにも、ごはんの一面をてりやきソーセージで埋めた税込397円の商品や、焼とうもろこしだけを敷き詰めた税込297円の商品を投入する。普通なら「おかずが少ない」と受け取られかねない商品を、あえて「一点突破すぎ!」と名付け、弱点ではなく面白さへ変換した格好だ。まさに“引き算”の商品設計。
価格を抑えるだけなら、量を減らしたり、目立たないところで仕様を変えたりする方法もある。しかし、ローソンは「具材が1種類しかない」こと自体を前面に出す。安さに悲壮感を持たせず、「ちょっと買ってみたい」と思わせる商品に仕立てた点は巧妙だ。
297円でここまで振り切った商品を作ったローソンの企画力は面白い。ただ、少し立ち止まって考えると、別の見方も浮かんでくる。
なぜ今、コンビニで「297円」という価格が、これほど魅力的に映るのだろうか。
しかもローソンは同じ企画で、税込797円の海鮮パスタなど高価格帯の商品も投入する。一方では297円、もう一方では797円。この500円の差を追っていくと、物価高を経た日本人の財布に起きている、笑ってばかりもいられない変化が見えてくる。
笑っていられない? 客単価755円でも客数が減るワケ
297円という価格がこれほど目を引く背景には、コンビニを取り巻く価格環境の変化がある。日本フランチャイズチェーン協会の2026年7月度調査によると、既存店売上高は前年同月比0.7%増だった。一方、既存店客数は1.5%減の13億8,808万3,000人となり、13カ月連続で前年を下回った。対照的に客単価は2.3%増の755.7円と、19カ月連続のプラスだった。
もちろん、客単価の上昇がそのまま商品の値上がり幅を意味するわけではなく、購入する商品の組み合わせや点数によっても数字は動く。また、コンビニの商品が一律に「高すぎる」と断定することもできない。
それでも、1回の買い物で支払う金額が増える一方、店を訪れる人の数が減っているという組み合わせは無視しにくい。「コンビニで何となく数品買うと、思ったより高かった」。そんな感覚を持つ消費者が増えている可能性を考えさせる数字だ。
実際、コンビニ各社の価格戦略にも変化が出ている。ローソンはコメの市場価格低下を受け、9月29日から手巻おにぎりを原則10円値下げすると発表した。原材料費や物流費の高騰が続く中でも価格を抑える取り組みを進めてきたという。
ファミリーマートも9月22日から、直巻おむすび4種類を税込11円値下げする。同社はさらに9月15日から、朝5時~11時に対象のおむすび・パンと飲料をセットで税込250円とする「朝ファミマのコンビ割」も始めている。
つまり、値上げが相次いできたコンビニ市場で、今度は「値ごろ感」が競争軸として前面に出始めている。
ただし、重要なのは、ローソン自身が客離れに追い込まれているわけではない点だ。同社の月次情報では、ローソン・ナチュラルローソンの既存店客数は7月が前年同月比1.2%増、8月も0.6%増だった。
つまり297円商品は、苦戦した企業が仕方なく始める安売りではなく、むしろ客数を伸ばしているローソンが、なお「安さ」を強烈な商品価値として打ち出していることに、このニュースの意味があると言えそうだ。 【次ページ】給料は増えたのに使えない?「家計3.6%減」の残酷な現実
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