- 2026/08/25 07:10 掲載
結局、ダイソーが1番強いのか…?独自路線で絶好調「セリア」ですら勝ち目ナシの理由
【連載】流通戦国時代を読み解く
nakaja lab 代表取締役。みずほ銀行の中小企業融資担当を経て、同行産業調査部にてアナリストとして産業動向分析に長年従事。分野は食品、流通業界。執筆、講演活動中で、TV等マスコミで情報発信中、連載記事は月6本以上。主な著作物に「図解即戦力 小売業界のしくみとビジネスがこれ1冊でしっかりわかる教科書」(技術評論社)、「小売ビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)などがある。
過去最高水準、なぜ100円均一「セリア」が伸びてる?
100円ショップのセリアの業績が好調だ。2026年3月期決算は、売上2556億円(前期比8.2%増)を達成し、営業利益209億円(前期比24.5%増)も過去最高に迫る実績だった。既存店売上も右肩上がりだ。2025年度前半は101%程度だったが、徐々に上がって後半は105~110%程度で推移し、通期でも105.5%となった。2026年度に入っても伸ばし、115%に迫る月もあるなど、好調な伸びを持続している。他社と比べてもかなり高い水準で、セリアの好調ぶりは明らかだ。
会社側はこれを「残存者利益」と見ている。ダイソーをはじめとする競合が原価高騰を理由に100円以外の商品を増やす選択をしたのに対し、“100円均一”を死守したセリアが、100円商品を求める消費者の高い支持を得られている、という見立てのようだ。
ただ、コロナ後に始まった原価・コスト高騰の環境下で、100均堅持を選んだセリアは当初、収益面でかなり苦しんでいた。コロナ禍のときは巣ごもり需要の恩恵で最高益となったが、コロナ後の原材料価格高騰と円安の進行により一転、収益低下に苦しんだ。
実際に、2022年度、2023年度には原材料費高騰による原価率の上昇と、人件費などの高騰による販管費率の上昇が相まって、営業利益率を低下させた。
しかし、前々期・前期と、物価上昇のご時世にも原価率上昇に耐えて100円均一を維持したことで、消費者の支持がさらに高まった。こうして既存店売上を増やし、経費率を引き下げることに成功したセリアは、収益率も改善しつつある。
では、なぜセリアはここまで「100円」にこだわるのか。その背景には、100均という業態が抱える構造的なジレンマがある。
この計画、勝利が見えてた…?セリア「100円」死守する理由
デフレの申し子とも言われた100円均一ショップにとって、原材料や運営コストが上昇基調となるインフレ環境への転換は、大きな試練だった。普通の小売業なら、原価やコストの上昇は(全部ではないにせよ)価格転嫁するのが基本であり、その前提の下で企業努力により上げ幅を極小化する競争になる。しかし、価格が100円に決まっている100均にとって、そのルールを変えなければ、企業努力しか対応策はない。
そこで、セリア以外の100均チェーンは200円、300円、500円といった価格帯の商品を増やし、消費者に価格転嫁をお願いした。折しも消費者はインフレで生活必需品の値上げラッシュに見舞われていたため、価格帯が多様化しても、相対的に安い100均(元100均?)の新しい価格帯を容認した。
しかしセリアだけは、早くから100円均一を死守すると宣言し、その約束を守り続けてきた。この機にこそ、100円商品を求める消費者の支持を集めてシェアを上げる、という戦略を選んだのだ。
決算説明会で会社は、既存店売上が通期105.5%となったのは上場来最大の伸びだと語った。その背景として、次のように説明する。
「断片的に収集する情報によると、ほぼ100円の商品の市場としては、ほぼ横ばいの7,000億円弱ぐらいだと推計しています。その中で、当社の100円の商品をお買い求めのシフトが起きている可能性が高いかなと思っております」(会社コメント)
100円均一へのこだわりが奏功した既存店売上増だという説明だ。ただし、この100円均一が今後もずっと続けられるとは会社も考えていない。
「他社が100円の商品をどんどん減らしていく。今、おそらく推定で38%ぐらい当社のシェアがあるかなと思っています、国内の業界で。これが40%、50%と上がってくると追加的に得られる部分は減ってくると思いますし、その頃には価格を見直すことに妥当性が出てくるかなとは思っております」(会社コメント)
あくまで、最後まで100円均一を守る努力を続けることで、物価高に苦しむ消費者に寄り添うことが成長につながる、という判断なのだろう。
それでは、100円を死守したセリアの選択が正しかった、ということなのだろうか。ここからは、値上げに向かう各社の状況も見ていきたい。 【次ページ】好調セリアでも…ダイソーとの差が広がる“3つの理由”
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