- 2026/11/01 07:10 掲載
「自分には才能ない…」は思い込み? 仕事で生かせる「5つの才能タイプ」の正体
言語学者(法言語学、心理言語学)。1999年シカゴ大学言語学部博士課程修了(Ph.D. in Linguistics)。2000年立命館大学法学部助教授、ヨーク大学オズグッドホール・ロースクール修士課程修了、同博士課程単位取得退学を経て、2008年より明治大学法学部に着任。司法分野におけるコミュニケーションに関して、言語学、心理学、脳科学、行動経済学などの知見を融合した多角的な研究を国内外で展開している。企業の顧問やワイドショーのコメンテーターとしても活躍。著書に『科学的に元気になる方法集めました』(文響社)、『最先端研究で導きだされた「考えすぎない」人の考え方』(サンクチュアリ出版)、『ハーバード、スタンフォード、オックスフォード…科学的に証明された すごい習慣大百科』(SBクリエイティブ)など多数。
150万人超のデータで見えた性格の「タイプ分け」
才能をタイプで分けるなんて、占いの世界の話でしょう。そう思う方が多いかもしれません。血液型、星座、九星気学。日本人にとってタイプ分けは、遊びとして身近なものです。でも、いざ科学の話となると、一気にうさんくささが増します。ところが最近、心理学の世界では、人の性格を大量のデータからコンピューターに分け直させるという試みが、本気で進んでいます。直感や占星術に頼るのではありません。「クラスタリング」といって、何十万人もの回答が点になって散らばる様子をコンピューターに見せ、人がぎゅっと集まっている「重心」がいくつあるかをデータの側から答えさせるといった、あっさりとして真面目なやり方です。
たとえば、ノースウェスタン大学のガーラックらは、合わせて150万名を超える回答が集まった4つの大規模データセットに、最新のクラスタリング技術を使いました。まず1つのデータで「かたまり」を探し、残りの3つで同じかたまりが再び現れるかを確かめる、という手順です。その解析から、人の性格には、大きくわけて4つのグループがあることが分かりました。それぞれを「平均型(Average)」「控えめ型(Reserved)」「自己中心型(Self-Centered)」「ロールモデル型(Role Model)」と名づけました。これらは、使うデータを変えても、同じ4つのグループが何度も現れました。性格はどこまでも段階的なグラデーションでありながら、人が大勢集まると、よく似た重心が現れるということが大きなデータで示唆されたのです。
この発見は、私たちが普段感じていることと合致します。学校でも職場でも、まわりをよく見ていると「あの人はだいたいこの種類の人だな」と感じる手応えがあります。心理学では長い間「性格はいくつかの連続した軸で測るもの」という考え方が主流でした。でも、データの密度をのぞいてみると、人が集まりやすい「タイプ」の重心がちゃんとあると分かってきました。タイプ分けと連続軸モデルは、ぶつかり合うものではありません。地形図と等高線のように、同じ風景を違う細かさで描いていただけだと考えると腑に落ちます。
ここで1つ、勘違いしないようにしてほしいことがあります。タイプは血液型のように「あなたはAだから、もう決まり」という札ではないということです。研究者たちが扱っているのは「重心」です。人は、その重心からどれくらい離れているかで、ゆるやかに配置されます。同じ重心の近くにいる人どうしでも、細かい組み合わせは1人ひとり違います。とはいえ、自分がどの重心の近くにいるかを知ることには、大きな意味があります。なぜなら、近い重心にいる人たちは、似た強みと似た苦手を持っているからです。そこから学べる作戦があるのです。先輩の失敗談が他人事ではなくなり、得意な人の働き方が、そのまままねできるお手本に変わります。
仕事の「向き・不向き」を探る、5つの才能タイプ
ここから先、筆者が国内外の研究を照らし合わせて整理した「才能の5つのプロトタイプ」を紹介していきます。プロトタイプとは、洋服をつくるときに使う「型紙」のようなものです。あなた自身をすべて言いあてる記号ではありません。占いではなく、データに支えられた補助線です。これを手にすると、自分の埋もれた才能を見つける作業が、ぐっと楽になります。プロトタイプを知っていれば、新しい仕事のオファーが来たとき、自分のどの島が育つ場面なのか、どの島がすり減る場面なのかを感情ではなく地図で見分けられるようになります。
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