- 2026/11/01 07:10 掲載
「自分には才能ない…」は思い込み? 仕事で生かせる「5つの才能タイプ」の正体(2/2)
同じ「外向的」でも、力を発揮できる場面が違うワケ
人の性格を調べるとき、世界中の心理学者が共通のものさしとして使っているのが「ビッグファイブ」と呼ばれる5因子モデルです。誠実性、外向性、協調性、開放性、神経症傾向の5つで、世界中の調査でもくり返し確かめられてきた、いわば人格研究の共通言語になっています。たとえていうなら、皆が同じ辞書を引いているような状態です。ここを共有していないと、研究者どうしの話がうまく噛み合わなくなってしまうのです。ところが、このビッグファイブはざっくりした「大陸」のような大きな単位で、その下にさらに「島々」があることも分かってきました。イェール大学のディヤングらは、アメリカ・オレゴン州に住む481名を対象にビッグファイブの内側を細かく調べ、5つの因子がそれぞれ2つの側面に分かれることを示しています。たとえば誠実性は「秩序立て(Orderliness)」と「勤勉さ(Industriousness)」に分かれます。外向性は「快活さ(Enthusiasm)」と「主張性(Assertiveness)」に、協調性は「思いやり(Compassion)」と「礼節(Politeness)」に、開放性は「アイデアへの開放(Intellect、知性的探究)」と「経験への開放(Openness、感受性的探究)」に分かれ、神経症傾向は「動揺しやすさ(Volatility)」と「気落ちしやすさ(Withdrawal)」に分かれます。こうした分かれ方は、何万人分もの回答のクセをコンピューターで整理し直す中で見つかったものです。その後の研究でも、くり返し同じ形が確かめられています。この全10側面をまるごと測るために作られたのがビッグファイブアスペクト尺度(BFAS)で、100項目を使い、人の性格を厚みのある立体としてとらえます。
まとめると、5つの大陸の中にそれぞれ2つずつ島があって、人はそれぞれ強い島と弱い島を組み合わせて持っている。これが、今の人格科学が描く見取り図です。この「島」という考え方は、とても役に立ちます。たとえば誠実性が高い人の中にも、計画を整える島が強い人と、地道に汗をかく島が強い人がいて、向いている仕事もちがってきます。同じ「外向的」と言われる人の中にも、パーティーで盛り上がる社交性タイプと、会議で意見を押し通す主張性タイプがいます。見た目はよく似ていても、力を発揮できる場面は別ものなのです。
分析・実行・共感・表現・統率…5つの才能タイプの特徴
10の島をそのまま扱うと数が多すぎて、なかなか行動に移せません。そこで、似た筋肉どうしをまとめ、仕事選びや働き方を決めるときに使いやすい単位へと整えています。それでは、1つずつ順番に紹介していきましょう。
タイプAは分析探究型(Investigator)です。じっくり観察し、問いを立てて世界を解きほぐすのが得意なタイプで、ビッグファイブでいえば「知的関与(Intellect)」が高めの島に重心があります。そこに、ビッグファイブとは別の物差しである「知的好奇心(典型的知的関与)」が重なってきます。この2つは相関が高く、共有する部分が4割ほどありますが、同じものではありません。「知的好奇心」の強さとも深く重なります。
タイプBは構築実行型(Builder)です。計画を立て、やると決めたらコツコツ続けるのが得意なタイプで、誠実性の中でも「勤勉さ」「秩序立て」の島が強めに出ます。
タイプCは共感関係型(Connector)です。人の気持ちに橋をかけ、その場の空気をやわらかく整えるのが得意なタイプで、協調性の「思いやり」と外向性の「社会性」の島が前に出てきます。
タイプDは表現発信型(Expresser)です。感じたことや考えたことを形にして外へ届けるのが得意なタイプで、開放性の中でも「経験への開放」、つまり感受性側の島が強めです。
タイプEは戦略統率型(Strategist)です。全体を見わたして道筋を描き、人を引っぱっていくのが得意なタイプで、外向性の中の「主張性(Assertiveness)」と誠実性の「勤勉さ」を組み合わせた重心を持っています。
この5つのプロトタイプは、たがいを否定し合う陣営ではありません。むしろ「人格の島々」を5つの使いやすい束に整理した、地図の上の方角のようなものだと考えてください。北の方角が強い人もいれば、北と東の間に重心がある人もいます。そんなふうに、やわらかく見立てながら、5つを眺めてみてください。
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