- 2026/10/30 06:10 掲載
USJも太秦映画村も「18禁」…なぜテーマパークは「子どもお断り」で客を呼ぶのか?
連載:テーマパーク経済学
1997年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業、早稲田大学教育学術院国語教育専攻修士課程修了。テーマパークやチェーンストア、都市についての原稿を主に執筆。著書に『ニセコ化するニッポン』(KADOKAWA)『ドンキにはなぜペンギンがいるのか』(集英社)『ブックオフから考える』(青弓社)がある。
note:谷頭和希
X(旧Twitter):谷頭和希(たにがしら・かずき)
家族で楽しむ場所のはずが…? USJも太秦映画村も「18禁」
ハロウィーンが近づくと、テーマパークではさまざまなホラー企画が行われる。普段はにぎやかな通りにゾンビが現れたり、お化け屋敷に特別な演出が加わったりする。その中で注目したいのが、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)のアトラクション「残像」だ。17歳以下は体験できず、参加には誓約書への同意が必要。同園の「ハロウィーン・ホラー・ナイト」で初めてのR-18指定となる企画である。家族で楽しむイメージもあるテーマパークに、あえて子どもの入れない場所を作っているのだ。
京都の太秦映画村にも、「大人しか入れない拷問屋敷」がある。こちらは2026年春の第1期リニューアルに合わせて登場した夜の企画で、18歳未満は参加できない。撮影所の美術スタッフが再現した拷問器具を使い、江戸時代の取り調べに触れる体験を提供する。
もちろん、本当の痛みを与えるものではないが、名前からして、なかなか刺激的である。ハロウィーンに限らず、テーマパークが大人に向けた体験を打ち出しているわけだ。
しかし、なぜテーマパークは、わざわざ「子どもお断り」の企画を作るのだろうか。テーマパークといえば、子どもから大人まで楽しめる場所である。客を増やしたいなら、誰でも入れるようにしたほうが良さそうなものだ。
一見すると、商売のチャンスを狭めているようにも思えるが、実はそうとも限らない。そこには、テーマパークならではの商売の難しさと、意外な勝算があるのだ。
少子化なのに…なぜ「あのテーマパーク」は絶好調だった?
こうした大人向け施策を、経営面から後押しする1つが少子化だ。総務省が公表した2026年4月1日時点の推計では、15歳未満の子どもは1329万人で、45年連続の減少となった。子どもとその家族を主要な顧客とする施設にとって、将来の集客に関わる変化である。
その意味では、従来のファミリー・キッズ層の需要に加えて、大人が自分の楽しみのために訪れる理由を増やすことが、テーマパークにとってますます重要になっている。
こうした動きとして参考になるのが、サンリオピューロランドである。同園は大人の女性に向けた企画を展開し、来場者の裾野を広げてきた。サンリオのキャラクターとともに育った人たちに向け、歌舞伎を取り入れたショーや、閉館後のお化け屋敷、クラブイベントなどを実施。2018年度には、当時過去最高となる219万人が来場した。
子どもの付き添いとして来る大人を待つだけでなく、大人自身が行きたくなる場所に変えていったのである。
キャラクターが好きという気持ちは、成人した途端になくなるものではない。むしろ、自分でお金を使えるようになってから、存分に楽しみたい人もいるだろう。「推し活」需要との連動もあり、キャラクタービジネスは大人も巻き込んだ一大市場を形成している。
テーマパークも同じ局面にあるのではないか。好きなもののために時間とお金を使いたい大人に、どのような体験を用意するか。太秦映画村が撮影所の技術を使って大人向けの企画を作ることも、施設が持つ資源を新たな需要に結びつける試みといえる。 【次ページ】USJだけじゃない…ディズニーの「ある数字」が凄かった
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