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  • 2009/08/06

消費的情報と経済発展:篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(9)

九州大学大学院教授 篠﨑彰彦氏

前回は、情報が有する「生産」と「消費」のふたつの側面のうち、情報経済学が得意とする「生産的情報」について解説した。今回は、小説、音楽、映画など、鑑賞することで人びとの満足度(=効用)を高める「消費的情報」について解説し、経済発展とのかかわりをみながら「情報化社会論」への橋わたしをしよう。

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠﨑彰彦

九州大学大学院 経済学研究院 教授
九州大学経済学部卒業。九州大学博士(経済学)
1984年日本開発銀行入行。ニューヨーク駐在員、国際部調査役等を経て、1999年九州大学助教授、2004年教授就任。この間、経済企画庁調査局、ハーバード大学イェンチン研究所にて情報経済や企業投資分析に従事。情報化に関する審議会などの委員も数多く務めている。
■研究室のホームページはこちら■

インフォメーション・エコノミー: 情報化する経済社会の全体像
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日

鑑賞で効用を高める消費的情報

 一般に、「生産」と「消費」は経済活動の二本柱といえる。身近な例でわかりやすいのは、生産財と消費財だ。生産財は、シリコンなどの材料や半導体などの部品類が代表的で、それ自体も立派な生産物だが最終形ではなく、別の財を生み出すために何らかの形で次のステップの生産活動に投入される(中間投入財とも呼ばれる)。他方、消費財は、Tシャツなどの衣類やコンビニで売られているおにぎりなどの食品が代表的で、人びとに使用されてそれ自体が最終ステップの生産物として役割を果たし終える(最終消費財とも呼ばれる)。

 面白いのは、同じ財であっても使われ方次第で生産財と消費財に分かれることだ。食材を例にとると、ファミリーレストランなど外食産業で業務用に使用される(=企業の生産活動に投入される)食材は生産財、家庭で夕食などに使われる(=家計の消費活動に供される)食材は消費財という関係になる。もうひとつ身近な例としてクルマを考えると、前者は宅配業者が業務用に使用するクルマ(正確には数年にわたって企業の生産活動に投入される「資本財」)、後者は個人がドライブを楽しむために利用するクルマ(正確には数年にわたって家計の消費活動に供される「耐久消費財」)ということだ。

 情報など形のないサービスについても同様で、前回の「不確実性と生産的情報」でみたように、不確実性を減らして意思決定や戦略に活かされる「生産的情報」のほかに、小説、音楽、映画など、鑑賞することで人びとの満足度=効用を高める「消費的情報」がある(図1)。生産的情報が、何らかの成果を得るための行動に活かされるなど、次のステップに「投入される情報」であるのに対して、鑑賞などに供される情報は、人びとがそれに接すること自体で満足感を持つ「消費される情報」だ。身近なところでは、レポートや報告書の作成などのためにパソコンでインターネットなどを検索して得られる情報は生産的情報、YouTubeやミュージシャンのサイトなどで楽しむ音楽や動画は消費的情報といえるだろう。


図1 情報のふたつの側面

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