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  • 2009/08/28

インド富裕層市場開拓へ、日本企業がとるべき戦略(前編)

野村総合研究所 岩垂好彦氏

ITサービス業を中心に飛躍的な経済成長を続け、ブラジル、ロシア、中国とともにBRICsの一角として世界的な注目を集めているインド。日本企業も熱い視線を送っているそのインド市場の中でも、富裕層を開拓するために日本企業はどのような戦略を採ればよいのだろうか。野村総合研究所(以下、NRI)グローバル戦略コンサルティング二部 上級コンサルタントの岩垂好彦氏に伺った。

貿易赤字を海外からの資本流入で補う構造


野村総合研究所
グローバル戦略コンサルティング二部
上級コンサルタント
岩垂好彦氏
──BRICsの一角として長期的な発展が期待されるインドですが、昨年の世界的な金融危機の影響はどうでしたか。

岩垂 インドは、2005年から2007年までの過去3年間、9%を超える高いGDPの伸び率を記録してきましたが、金融危機以降、さすがにその伸びには鈍化がみられ、インド政府、インド中央銀行、世銀などが2009年の成長見込みを4~6%に下方修正しています。NRIも2009年は、6%の成長を見込んでおり、実際、第1四半期は6%の実績となりました。

──長期的な動向はいかがでしょうか。

岩垂 インドの経済収支の構造を見ると、一部サービス貿易が補っていますが、経常収支はマイナス基調です。一方、資本収支をみると、海外からの投資や対外商業借入、および印僑(在外インド人)預金のいずれも黒字で、プラス基調です。その結果、総合収支では黒字となっています(図1)。経済が成長すればするほど国内需要を国内供給で賄うことができず、貿易赤字が拡大する傾向にあり、海外からの資本流入に依存する体質は改善されていません。

インドの主要経済指標

Source:インド準備銀行資料(経済成長率:2009年6月11日発表データより、他の指標:2008年8月29日発表データ)より、NRIが作成

インフラ整備にはまだ課題が多い

──現地に進出している日本企業は最近のインド市場をどのように見ているのでしょうか。

岩垂 NRIでは、主要な日本企業各社にインド市場についてのヒアリングを行いましたが、ある大手自動車メーカーは「昨年11月が底で、既に市場回復が見えてきているので、世界の中で唯一の“光”と社内PRしている」という回答です。一方で別の大手自動車メーカーは「今後2年間の成長は横ばい。成長に転じるのは2年後」と慎重な姿勢を見せています。

 また、ある電気大手メーカーは「金融危機の影響はほとんどない。インド経済全体の回復は2年もかからない」と強気の見通しを示しており、別の電機大手メーカーでは「金融危機の影響は大きかった。今後回復のタイミングの見通しはつかない」と、各社によって金融危機の影響度や回復の見通しについてかなりバラつきがあります。総合的には、NRIでは4月以降、景気の持ち直しが著しく、見通しは明るいと見ています。

ドレーラ特別投資地域の現状

Source:2009年7月16日NRI撮影
──インフラ整備など、長期的な見通しはいかがでしょうか。

岩垂 日本の太平洋ベルト工業地帯を先進モデルとして設定された一大産業地域開発構想であるDMIC(デリー・ムンバイ産業大動脈構想)は、総投資額は900億ドルが見込まれるビッグプロジェクトです。2008年から2016年の間に、特にインドの製造業にとってボトルネックとなっている空港、道路・鉄道網、発電所などのインフラ不足を解消し、欧州、中近東、アフリカへの輸出拠点としてのポテンシャルを高める狙いがあります。ただ、実際に動き出しているのは貨物鉄道整備と、2008年10月にナート・インド商工大臣と二階経産相の共同声明で発表された5つの日本側アーリーバード・プロジェクト(注1)だけですね。

 NRIでは、DMIC関係州におけるアーリーバード・プロジェクト(注2)のうち、グジャラート州のドレーラ特別投資地域を視察しましたが、インフラが整備されるのは2012年頃の予定です。工場建設などの計画は、インフラ整備の進展を確認しながらということになりそうです。また、JETROがプロモーションを行っているラジャスタン州のニムラナ工業団地も自動車部品関係を中心に日経企業が入居し始めていますが、水、電気インフラが不十分で、現在、入居企業の出資によって整備を進めているところです。

編集注1
日本側アーリーバード・プロジェクト
プロジェクト名場所関連企業
自由貿易倉庫地区プロジェクトウッタル・プラデシュ州三井物産
生活インフラ整備のための複合都市開発NCR(デリー首都圏地域)三井物産
DMICものづくり人材育成プロジェクトインド全域(拠点:マハラシュトラ州)プロジェクト企画、提案:テクノブレーン(システム技術協力:ソニー)
プロジェクト実施予定機関:マハラシュトラ州サイエンステクノロジーパーク公社
ニムラナ工業団地共同エネルギーセンター構想ラジャスタン州日立製作所、ニムラナ工業団地進出企業
ニムラナ総合物流ハブ構築プロジェクトラジャスタン州日本郵船


編集注2
DMIC関係州におけるアーリーバード・プロジェクト
場所プロジェクト
グジャラート州1.総合巨大工業団地(ドレーラ)
2.国際空港開発(アーメダバード近郊)
3.高速道路の6 車線化(アーメダバード-バタマン-ピプリ-バブナガール間)
4.都市交通(ガンディナガール-アーメダバード-ドレーラ間)
マディヤ・プラデシュ州1.経済動脈の開発(インドール空港-ピタムプール経済特区間)
2.統合・多目的物流拠点(マクシ-デワス間)
3.工業地域における継続的給水/排水管理(ピタムプール工業地域)
4.ナレッジ・シティ(ウジャイン地区)
ハリヤナ州1.都市交通(デリー-マネサール-バワル)
2.ジャパンシティ(ダルヘラ近郊)
3.多目的物流拠点(マネサール)
4.都市交通(パルワル-レワリ-ビワディ-フルクナガール-ジャッジャル間)

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