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- 2009/09/04 掲載
野村総合研究所 岩垂好彦氏:インド富裕層市場開拓へ、日本企業がとるべき戦略(後編)
2015年を睨み、インフラとブランドの構築を
野村総合研究所 グローバル戦略コンサルティング二部 上級コンサルタント 岩垂好彦氏 |
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岩垂 一口に「富裕層」と言っても地域によって消費者の気質が異なります。新しい製品、外国製品について閉鎖的な地域もあり、富裕層だからといって有望な市場とは限りません。これまでのNRIの調査をまとめると図1のように3つのタイプ、図2のように4つの地域に分類することができます。
図1 富裕層の3つのタイプ |
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Source:NRI,『インド富裕層調査』,2008 |
図2 4つの地方別の特性 |
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Source:NRI,『インド富裕層調査』,2008 識字率は2001年国勢調査結果 |
結論としてインド市場は規模が大きいだけに期待も高いわけですが、誤解も多いと指摘できます。
──どのような点でしょうか。
岩垂 投資の短期的な回収が難しいことです。一番陥りやすい誤解は「人口11億人の上位3%を対象としただけでも3,300万人の市場がある」というものですが、この層の市場は極めて厳しい競争状況にあります。富裕層でも新製品に対する購買意欲が慎重な保守的な気質の地域も存在します。これを打開するには地域ごとのきめ細かいマーケティングが不可欠です。
事例を挙げますと、まず資生堂のケースがあります。同社は「アジアの他地域の中級品がインドでは高級品である」と認識しており、高級品に特化し、マス市場は狙わず、短期的な売上規模を追求していません。一方、韓国のLG電子は200以上の区域設定で販売担当者に権限を持たせ、地域ごとに細かく商品モデルを分け、一気の投資でボリュームを稼いでいます。
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