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  • 2009/11/17

【連載】情報セキュリティの投資対効果を追求する(18)事業継続計画とインシデントマネジメント計画

これまで、情報セキュリティの分野において投資対効果を論じることはタブーとされてきた。その結果として管理策を導入していながら事故を起こしてしまうケースが続発しているのは、ご存じのとおりだろう。ここにきて、情報セキュリティの分野において“有効性”というキーワードが注目されるようになってきた。何のための情報セキュリティなのか、ローブライトコンサルティング 代表取締役 加藤道明氏が論じる。第18回は、事業継続計画とインシデントマネジメント計画について考察する。

加藤道明

加藤道明

○シニアセキュリティコンサルタント ○JIPDEC ISMS主任審査員(ISJ-B00023) ○財団法人日本科学技術連盟所属MS審査員(ISMS、ITSMS、BCMS) ○平成15年度保健医療福祉分野ISMS制度WGメンバー ○電気情報通信学会員  金沢工業大学大学院(情報工学専攻)卒業、1986年関西日本電気入社、日本電気、住商情報システムのセキュリティ・ソリューション課長を経て、2004年9月独立開業、現在に至る。  基幹業務システム(主に販売管理と生産管理)と情報通信およびセキュリティに精通。1997年、金沢市と米国サンフランシスコのオフィス間にVPN(仮想閉域網)を構築。以来、ネットワークセキュリティ、情報セキュリティマネジメント、個人情報保護に関して、コンサルティングや教育およびシステム設計で数多くの実績を持つ。また、行政系介護支援事業における個人情報保護コンサルティングおよび同事業情報セキュリティ委員会事務局などの経験もあり。ISMS/BS7799、プライバシーマーク認証取得および運用、また、システムセキュリティ設計の実績豊富。

事業継続計画とは?

 事業継続計画とは、あらかじめ定めた受容可能なレベルでその重要な活動を実施し続けることを可能にするために、何らかのインシデント発生時に備えてまとめられ、維持されている文書化された手順である。事業継続計画は重要な業務プロセスの復旧や事業の完全復旧の手順書である。BCP(business continuity plan)とも呼ばれる。事業継続計画では次の事項を明確にするとよい。

 a) 目的及び適用範囲
 • 復旧すべき重要な活動
 • それら重要な活動の復旧の時間軸
 • 各重要な活動に求められる復旧レベル
 • 各計画の利用が可能となる状況

 b) 役割及び責任

 c) 計画の発動
 • チームをどのように動員するか
 • 事態発生後の集合場所
 • その後の集合場所,並びにすべての代替集合場所に関する詳細

 d) 文書の責任者及び維持担当者

 e) 連絡先の詳細情報など

インシデントマネジメント計画とは?

 インシデントとは、事業中断(混乱)、損失、非常事態又は危機である可能性のある又はそれらを引き起こす可能性のある状況をいい、インシデントマネジメント計画とは、それらインシデントの発生時に使用するために明確に定義及び文書化された行動計画である。一般に、インシデントマネジメントプロセスの導入に必要とされる主要な要員、経営資源、サービス及び処置が含まれる。インシデントマネジメント計画は災害や事故が発生した直後に実施する初動対応の手順書である。IMP(incident management plan)とも呼ばれる。インシデントマネジメント計画では次の事項を明確にするとよい。

 a) 職務及び処置の一覧
 • まず人々の安全を確保すること
 • BIAの結果に基づいたものであること
 • 選択した戦略的及び戦術的選択が実施できるよう構成されていること
 • 重要な活動、重要な活動をサポートする経営資源のさらなる損失又は利用不能を防ぐうえで役に立つこと

 b) 緊急時連絡先

 c) 人々の活動
 • 避難
 • 安全、応急手当又は避難をサポートするチームの動員
 • 継続的な従業員・顧客とのコミュニケーション及び安全確認
d) メディア対応

e) ステークホルダーマネジメント

f) インシデントマネジメントの拠点など

現場から積み上げて行くアプローチ

 インシデントマネジメント計画で初動対応を行い、事業継続計画で重要な業務プロセスの復旧や事業の完全復旧を行うといった一連の流れになる。インシデントマネジメント計画と事業継続計画一つにまとめて作成しても構わない。また、事業別にまとめた方がよい場合もある。目的や体制及び組織の文化などに合わせて使いやすいものにするのが望ましい。

 まずは重要な個別サービスを選びインシデントマネジメント計画と事業継続計画を作成してみてはいかがだろうか。現場から積み上げて行くアプローチも選択枝の一つである。


《次回へつづく》

《撮影:郡川正次》

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