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  • 2013/08/30 掲載

日本BPM協会 横川省三氏が語るBPM取り組みのポイント--プロセスと実態の一致がキモ

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BPM(ビジネスプロセス・マネジメント)に取り組む企業が増えてきた。BPMが必要とされる背景について、日本BPM協会 理事 横川省三氏は「BPR(ビジネスプロセス・リエンジニアリング)以降、日本企業の業務改革は悪循環に陥っている」と指摘する。それは、経営層がなかなか改革をリードできないといったことであったり、部長が組織の壁に遮られているといったこと、課長が現場のモチベーションを上げられないといったことや、情報システム部門がメンテナンスに追われて新しい取り組みができないといったことだ。こうした改革推進上の問題を解決するアプローチとして注目されるBPMへの取り組みのポイントについて、横川氏がBPM Forum 2013で語った。

BPMはビジネスとITの2つの流れが背景に

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日本BPM協会
理事
横川 省三 氏
 BPMとは、仕事のやり方(ビジネスプロセス)をいかに見える化し、それを再設計し続けることだ。こうしたビジネスプロセスを可視化する技術としてプロセスモデリングが注目を集め始めたのは2003年頃からだった。当時は、サプライチェーン策定や情報サービス分野において、リファレンスモデルとしての利用が進んだ。

 その後、2010年前後からは、全社レベルの改革の方法論としてBPMが注目され、EA(エンタープライズ・アーキテクチャ)の中にも取り込まれた。

 これと同時に、BPMを実現するための技術も進化を遂げてきた。2004年にビジネスプロセスのモデル記述言語「BPMN-1.0」が策定され、2011年には「BPMN-2.0」が策定された。これについて横川氏は「BPMN 2.0ではプロセスを表現する表現力が大幅に向上し、ITを活用してフロント系の業務プロセスを改善する段取りがようやくついてきた」と評価する。

 このようにBPMは、企業の経営改革をどう進めて行くのかという流れと、ITをどう進めていくのかという流れの二階層で進化を遂げてきたのである。

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ビジネスプロセス関連の関心事、技術の推移

日本企業の業務改革は悪循環に

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BPMはどう捉えられているか?

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今後重視する経営課題と投資効果の満足度
 では、このBPMの流れを企業やその担当者はどのように捉えているのだろうか。日本BPM協会(日本)とシーリア・ウルフ&ポール・ハーモン(欧州)の調査によれば、欧米ではどちらかというとトップダウンアプローチの比率が高い。一方で日本では、プロセス・リデザインのためのシステマチックなアプローチ、つまりPDCAサイクルをまわしながらのアプローチという認識が強い傾向が見られた。

 では日本の中でビジネスプロセスの改善はどう見られているのか。JIPDECのIT利活用の調査によると、「業務プロセスの効率」が今後重視する経営課題だとしていながら、投資効果の満足度は非常にレベルが低いという結果が明らかになった。つまり、「投資と効果について期待とギャップが大きい」(横川氏)。

 こうした背景もあってBPMに取り組む日本企業が増えたと横川氏は指摘。実際、日本BPM協会で開催している入門セミナーに複数名で参加した企業数が2010年の時点で18社だったのが、2012年には34社に増えた。

「数年前までは、1社から1名来るのが普通だった。BPMとは何かということで調査のために参加される方が多かったのだろう。しかし、2012年には、複数名で来る企業が倍増した。部門単位で、あるいは企業単位で取り組む企業が急増しているのではないか。」

 セミナーに複数名で参加した企業の具体的な業種では、システム子会社が7社で一番多かった。「10人とか20人という単位で勉強して、BPMを事業にするという姿勢を感じた」(横川氏)。ほかには人材派遣・BPO、保険、事務機、医療機器、ビルメンテなどの企業が複数名で参加したという。

 こうしたシステマチックなアプローチとしてのBPMに期待される背景は何か。横川氏は「BPR以降、日本企業の業務改革は悪循環に陥っている」と解説する。

 経営層からすればなかなか改革を進められない、部長クラスでは組織の壁に遮られている、課長クラスでは現場のモチベーションを上げられない、情報システム部門ではメンテナンスに追われて新しい取り組みが難しいといった課題を抱えている。

「見かけ上は業務改善すると言っても、実際はなかなか進まなかったり、プロセスを定義するといっても中途半端に終わっている。うまくいかないといったことがあるのではないか。成果にたどり着けていない。」

【次ページ】BPMで重要なプロセス改革推進

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