• 会員限定
  • 2014/05/01 掲載

f-Biz 小出氏が語る産業支援 “小さなイノベーション”を起こす3つの視点とは

企業支援家 小出 宗昭氏インタビュー(後編)

  • icon-mail
  • icon-print
  • icon-hatena
  • icon-line
  • icon-close-snsbtns
記事をお気に入りリストに登録することができます。
中小企業の多くは、「相談機能」欲している――。年間3000件を超える相談を受けるという富士市産業支援センター(以下、f-Biz)を立ち上げ、センター長を務めるのが小出 宗昭氏だ。小出氏を中心とするf-Bizのメンバーは、相談にきた経営者に対して、どのようなアドバイスを行っているのだろうか。また、中小企業のコンサルタントに求められる適性とは何なのか。今回は、実際に小出氏が支援した企業の具体例を挙げて、これらを紐解いていきたい。

井上健語

井上健語

フリーのテクニカルライター&編集者。1964年愛媛県生まれ。ソフトバンクのPC-98専門誌Oh! PCの編集者を経て、MS-DOS全盛時代にフリーランスとして独立。以来、Word、一太郎などのWindowsアプリ解説書、各種マニュアルの執筆、企業取材などを手がける。2008年度よりMicrosoft WordのMS MVP。個人サイトはMAKOTO3.NETジャムハウスとは紙メディア制作、ウェブデモとは動画制作で共同戦線を敷く。

中小企業の悩みはひとつ

photo
富士産業支援センター f-Biz
センター長
小出 宗昭 氏
 「大企業を顧客とする大手コンサルティング会社には、高額な報酬をとる優秀なコンサルタントが集まっています。一方で、中小企業のマーケットは市場規模が大きいにもかかわらず、結果を出せるコンサルタントは極端に少ないのです。」と語る小出氏。中小企業がもとめている相談機能を実現するためには、コンサルタントの人材不足はゆゆしき問題だ。

 小出氏は、中小企業のコンサルティングの考え方には大きな勘違いがあるという。それは「中小企業は多岐にわたるため、多様な悩みが寄せられる。したがって、多様な専門性を持つ人材を揃える必要がある」という考え方だ。

 「実際に中小企業を支援すると、この考えが間違っていることはすぐにわかります。多様な悩みなどありません。ほとんどは『売上を伸ばしたい』という悩みに尽きるのです。これは、f-Bizでも静岡でも浜松でも変わりありません」

 では、売上を伸ばしたいとやってくる中小企業経営者の相談にのり、適切にコンサルできる人材をどうやって見つけ出すのか。小出氏は、中小企業支援のコンサルタントには、3つの適性が必要だと説明する。「高いビジネスセンス」「コミュニケーション力」「情熱」だ。

 「ビジネスセンスの高い人は、共通して圧倒的な情報量を持ち、普通の人が見逃すような小さな情報もキャッチできます。たとえば、コンビニを限られた店舗面積の中で売上を最大化するする場所だと考え、そこで最先端の情報をキャッチできるような人です。あるいは、ちょっとした変化から『なぜだろう』と考えられる人です。コミュニケーション力については、話す力、伝える力も大切ですが、もっと大切なのは引き出す力です。経営者の話に耳を傾け、さまざまな情報を引き出すことが求められます。そして、3つめが情熱です」

アドバイスのポイントは3つの視点で

 では、小出氏を中心とするf-Bizのメンバーは、相談にきた経営者に対して、どのようなアドバイスを行っているのか。小出氏は、以下の3つの視点でアドバイスしていると説明する。

(1)真のセールスポイントを活かす
 「まず、前提条件として、すべての中小企業はセールスポイントを持っています。セールスポイントのない企業は存在できないからです。しかし、自社の本当のセールスポイントに気づいている企業は意外に少なんです。自社の製品やサービスを見る距離が近すぎたり、いつも同じ方向からだけ見ているからです。あるいは、業界の常識に縛られて見えなくなっている場合もあります。我々は、こうした壁を取り払い、その企業の『真のセールスポイント』を発見することにつとめます。」

(2)ターゲットを絞る
 「2つ目はターゲットを絞ることです。現在は、あらゆる業界でお客様のニーズは多様化しています。そのすべてに対応することは不可能です。」

(3)連携性
 「3つ目は連携性です。1社では成果が出なくても、2社、3社とつながることによって1+1が3になったり、4になったりするのです」と語る小出氏。この3つの視点でアドバイスし、「智恵」を生み出す。そして、その「智恵」を使って「小さなイノベーション」を起こすことが重要なのだという。

【次ページ】社長それ、すごくないですか?

関連タグ

関連コンテンツ

オンライン

~P&G・マクドナルド・レノボ出身のFP&Aアドバイザーが語る~ 自社に合ったFP&Aの始め方

明日から取り掛かる、FP&Aの始め方 このような方におすすめ ・P&G/マクドナルド/レノボ出身のFP&Aプロフェッショナルによる事例解説に興味のある方 ・明日から取りかかれるFP&Aの始め方を知りたい方 ・グローバル基準のFP&Aを自社に合った方法で取り入れたい方 ・直近5年間で、日本企業においてもFP&Aや経営管理体制の構築の重要性についての理解が深まっています。 一方でその実行となると、「全社を巻き込むのが難しい」「どこから取り組めばよいか分からない」「取り組み事例を知りたい」といったお声を多く頂戴しており、ロールモデルに対するニーズが高まってるのが現状です。 そこで、今回はP&G・マクドナルド・レノボといったFP&A先進企業で日本子会社のCFO・FP&Aをつとめ、現在はFP&Aアドバイザーとして数多くの日本企業のFP&A実装に尽力されている池側氏をお招きし、事例をベースに「明日から何に取り組めばよいか」をご理解いただけるセミナーを開催いたします。 当日のテーマは以下です。 ・P&Gなど先進欧米グローバル企業のFP&Aとは ・FP&Aを実装している日本企業の事例 ・自社に合った形でFP&Aを始めるには 他社のFP&Aのお取り組みを知りたい方、FP&Aの高度化を推進したいマネージャー・経営層の方にぜひご参加いただけますと幸いです。

あなたの投稿

    PR

    PR

    PR

処理に失敗しました

人気のタグ

投稿したコメントを
削除しますか?

あなたの投稿コメント編集

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

通報

このコメントについて、
問題の詳細をお知らせください。

ビジネス+ITルール違反についてはこちらをご覧ください。

通報

報告が完了しました

コメントを投稿することにより自身の基本情報
本メディアサイトに公開されます

必要な会員情報が不足しています。

必要な会員情報をすべてご登録いただくまでは、以下のサービスがご利用いただけません。

  • 記事閲覧数の制限なし

  • [お気に入り]ボタンでの記事取り置き

  • タグフォロー

  • おすすめコンテンツの表示

詳細情報を入力して
会員限定機能を使いこなしましょう!

詳細はこちら 詳細情報の入力へ進む
報告が完了しました

」さんのブロックを解除しますか?

ブロックを解除するとお互いにフォローすることができるようになります。

ブロック

さんはあなたをフォローしたりあなたのコメントにいいねできなくなります。また、さんからの通知は表示されなくなります。

さんをブロックしますか?

ブロック

ブロックが完了しました

ブロック解除

ブロック解除が完了しました

機能制限のお知らせ

現在、コメントの違反報告があったため一部機能が利用できなくなっています。

そのため、この機能はご利用いただけません。
詳しくはこちらにお問い合わせください。

ユーザーをフォローすることにより自身の基本情報
お相手に公開されます