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  • 2014/06/04 掲載

村井 純教授、ヤンミ・ムン氏、デニス・ヤン氏、テクノロジーが起こす教育革命を語る

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インターネットの進展によって、大規模なオンライン・ラーニングが可能な技術とインフラが整備され、教育の手法も様変わりしつつある。「テクノロジーがいかに教育を変えていくか?」というテーマのもと、今最も注目される経営学者のヤンミ・ムン氏、日本のネット界を牽引してきた慶応義塾大学の村井 純教授、国境を越えたオンライン教育プラットフォームを提供するデニス・ヤン氏が一堂に会し、これから始まる新しい教育の展望について熱く語りあった。
フリーライター 井上 猛雄

フリーライター 井上 猛雄

1962年東京生まれ。東京電機大学工学部卒業。産業用ロボットメーカーの研究所にて、サーボモーターやセンサーなどの研究開発に4年ほど携わる。その後、アスキー入社。週刊アスキー編集部、副編集長などを経て、2002年にフリーランスライターとして独立。おもにロボット、ネットワーク、エンタープライズ分野を中心として、Webや雑誌で記事を執筆。主な著書に『キカイはどこまで人の代わりができるか?』など。

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「テクノロジーがいかに教育を変えていくか?」というテーマでディスカッション。左からモデレーターを務めた 南 壮一郎氏(ビズリーチ 代表取締役)、ヤンミ・ムン氏(ハーバード ビジネス スクール教授)、デニス・ヤン氏(Udemy, Inc. プレジデント兼COO)、村井純氏(慶応義塾大学教授)

オンライン・ラーニングのブレークスルーが起きようとしている

 まず、ハーバードビジネススクールの教壇に立つヤンミ・ムン氏が、現場の立場からいまの教育の在り方について述べた。彼女が子供時代、学校はあまり面白くなかったという。義務教育の学校は無理やり行かされる場所だった。

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ハーバード ビジネス スクール
経営学ドナルド・K・デイビッド寄附講座教授、上級副学部長、MBAプログラム主任
ヤンミ・ムン氏
「教育界は変化に対する動きが鈍い。テレビ、映画、ゲームが昔どうだったのか? と振り返ると、これらは現在では大変魅力的になっている。しかし教育については過去も現在もほとんど同じ状況。それはなぜか? 教育が閉じられた世界だから。面白い授業を行うインセンティブがないため、学校は退屈な情報を提供する場になったまま。やがて学生もモチベーションを失い、結局のところ落ちこぼれてしまう」(ヤンミ氏)。

 この数年間、ヤンミ氏は新しいオンライン・ラーニングに関する研究を進めてきた。オンラインでは、学生は必ずしも講義の場にいなくてもよく、どこでも授業を受けられる。とはいえ、まだ問題も多い。「たとえば昨年15万人の学生が、MIT(マサチューセッツ工科大学)が提供する電子回路の無償オンラインコースを履修したが、終了時には95%の生徒がドロップアウトしていた。落ちこぼれ率が非常に高い。この原因は、昔の内容をテキスト化し、単にオンラインで電子的に提供しているだけだからだ」とヤンミ氏は指摘する。

「まだオンライン・ラーニングのブレークスルーは起きていない。それがようやく起きようとしている。教師が互いに競争し、クリエイティブでイノベーティブな授業を行うことで、学生のイマジネーションを捉えなければならない状況が訪れている」(ヤンミ氏)。

従来の教育システムは、変化の激しい今の時代に追従できていない

 これを受け、オンライン教育のプラットフォームを提供する立場から、デニス・ヤン氏が発言した。同氏は、「Udemy」というオンライン講座サイトを運営し、経営・起業・言語・音学・ゲーム・ヨガ・写真など1万3000以上のコンテンツをオンデマンドで提供している。講師にべストセラー作家から、名門大学教授、ビジネス界の成功者など多様なエキスパートをそろえ、世界中で200万人が学んでいるという。

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1万3000以上の教育コンテンツ(有料)をオンデマンドで提供する「Udemy

「Udemyの1つのミッションは、生涯教育の中でスキルベースの教育を展開すること。スキルレベルが従来以上に早いペースで進化しているからだ。若い世代の65%は、今は存在しないような仕事に就くはず。しかし従来の教育システムは、この変化にうまく追従できていない。若年層の失業率は40%もある。新しい教育を担保できる環境を提供し、個人で生涯のスキルを習得することが重要だと思う」(デニス氏)。

 では、教育はテクノロジーによって、どう進展しているのか? 日本で「インターンネットの父」と称される慶応義塾大学の村井 純教授は、ネットの観点から説明を始めた。

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慶應義塾大学
環境情報学部長・教授
村井 純氏
「ネット後の世界は、グローバルにつながっている。忘れてはいけない点は、国家が存在することだが、ネットがグローバル化をもって教育にもたらすものは多くある。オンライン・ラーニングの重要性はもちろん、世界最高レベルの授業を英語で勉強できることだ。失業率の高い国々でどのような可能性をもたらすかという点は、各国がいかにグローバル化に適用していけるかということにかかっている」(村井氏)

 村井氏は続けて、同大学における2つの事例を紹介した。まず1つはインターンシップ制度だ。大学在籍中に、米国企業で一時的に働く本制度は、学部生が国際感覚を養えるだけでなく、企業と大学との関係も強めてくれる。一方、ASEAN諸国の大学とのネットワークづくりを目指した「EBA(EvidenceBased Approach) certificate program」にも取り組んでいる。各大学がコンソーシアムを組んで、課題先進国の日本とASEAN諸国の学生が共に学ぶプログラムだ。環境・エネルギー、健康・公衆衛生、防災・セキュリティに関して、問題分析や解決手段をエビデンスドベースで教育し、グローバルな人材を輩出する試みだ。

【次ページ】 パーソナライゼーションやインタラクティヴ機能を活かし、全体レベルを底上げ

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