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  • 2014/12/15

トヨタがトヨタであるために──豊田社長が語る自動運転カー、水素自動車のこれから (2/2)

【対談】豊田 章男社長×マーク・ベニオフCEO

水素自動車はMIRAIへの第一歩

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「究極のエコカーはこのMIRAI。”楽しくなければクルマじゃない”というトヨタの思いがあらゆるパーツに込められている」
 もう1つ、トヨタの取り組みとして注目されれているのが水素自動車(燃料電池車)へのフォーカスだ。豊田社長は水素自動車を「自動車の歴史におけるターニングポイント」と表現しており、トヨタが本腰を入れて開発している姿勢を明らかにしている。

 トヨタは2013年のモーターショーで世界初の量産型燃料電池車「MIRAI」を発表し、世界中の業界関係者を驚かせた。MIRAIは2015年から販売が開始される予定だが、豊田社長はそのプロモーションビデオ(下記Youtube動画参照)を壇上で流した後、「15年前、世界で初めてハイブリッドカーを出したときは”エコカー時代の到来”と言われた。だが究極のエコカーはこのMIRAI。資源がない日本でも未来永劫たのしめるモビリティを追求し、開発したクルマ。”楽しくなければクルマじゃない”というトヨタの思いがあらゆるパーツに込められている」とMIRAIのポテンシャルを語る。



 水素自動車の最大の懸念点は水素ステーションの少なさというハードルだ。豊田社長はこの質問に対し、「水素ステーションについては”鶏と卵”ではなく”花とミツバチ”のような考え方で臨みたい」と回答している。

 水素ステーションがないから水素自動車に乗らない、ではなく、水素自動車に乗りたいから水素ステーションを作る、という方向性で「自動車会社としてできる準備を今最大限に準備しているところ」と、対策中であることを示唆している。

 また、豊田社長は続けて「水素自動車は給電設備として使うことも可能。普段は移動手段のクルマとして使い、災害時はライフラインの一部にすることができる。災害の多い日本では応用範囲が広いはず」と水素自動車ならではのアドバンテージも強調している。

 ここでベニオフCEOは「”楽しくなければクルマじゃない”という楽しさと、水素自動車や電気自動車に代表されるクリーンさ、自動車会社としてどちらかを選ばなければいけないとしたらどちらを取る? 絶対にどちらかで答えてほしい」と豊田社長に質問。これに対し豊田社長は笑いながら「二者択一はありえない」と回答、「楽しくてクリーンなクルマを作る、これが未来(MIRAI)への第一歩だと信じている」と強調している。

トヨタの応援団をつくる、より多くの人々に笑顔を届ける、これが”トヨタウェイ”

 セッションの後半、ベニオフCEOから「あなたのビジョンを提示してほしい」と言われた豊田社長は「まだ私はそんなものを提示できる段階にない。今は会社を潰さないようにするだけで精一杯」としたあと、「マークは知らないかもしれないけど、日本では”3代目(豊田社長はトヨタ創業者 故・豊田喜一郎氏の孫にあたる)が会社を潰す”とよく言われる。そうならないように、この5年間は必死でやってきた。あるべき姿のベストを求めるのではなく、常にベター、ベター、ベターを探し続けてきた。年輪を1つずつ積み重ねるように、実力にあった成長を心がけ、地道な経営に徹してきた」と振り返る豊田社長。

 そして「この5年、私はひたすらにトヨタの”応援団”を増やすことに専心してきたように思う」と述懐している。これに対し、ベニオフCEOは「Salesforceにとっても同じだが、ステークホルダーはシェアホルダー(株主)よりも大切な存在だ。カスタマー(顧客)を始めとするステークホルダーに満足してもらうこと、トヨタはこれを実践したから成功している」とトヨタの姿勢を評価する。

 豊田社長の言う”応援団”とはITの世界でよく言われる”エコシステム”と同義だといえる。顧客、従業員、地域社会、株主、そうしたすべての人々に対し、「クルマってこんなに楽しいんだよ」ということを伝えるために働いてきたという豊田社長。その考えがTOYOTA Friendのようなシステムの導入にもつながっている。「水素自動車の開発が進めば、新たな部品メーカーや開発者とのつながりが拡がる。新たな応援団が増えると思うと本当にわくわくする」(豊田社長)

「トヨタがトヨタであるためには人々の笑顔が必要。だから直接ビジネスとは関係なくても、人々が笑顔になるようなお手伝いを社会貢献という形でさせてもらっている。たとえば教育を受けていない子供たちに、言葉というツールを与え、彼らの世界を拡げるような支援や、音楽好きな子供たちを世界のトッププレイヤーとセッションさせて強い刺激を与え、新たなプロを育成するお手伝いなど。世の中にいまよりも多くの笑顔を届けること、これが私なりのトヨタウェイ」(豊田社長)

 祖父にあたる喜一郎氏は57歳で亡くなったが、豊田社長は現在58歳。「私とほぼ同じ年齢で亡くなった創業者が理想として描いていた会社がどんなものだったか、そのビジョンをもう少し経ったら天国から教えてもらえるかな」と最後に語った豊田社長に向かって、「あなたのメッセージはもうすでにすばらしい。楽しいクルマを作る、将来のクルマを描く、そして世界の誰かのために役立つ、本当にすばらしい」と賞賛を贈ったベニオフCEO。

 豊田社長も「あなた(ベニオフCEO)からは生きる指針をもらった気がする」と互いをリスペクトを惜しまない。IT業界と自動車業界の世界的トップの友情は、この2つの業界に、そして世界全体にこれからも大きなインパクトをもたらしてくれそうだ。


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