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  • 2015/08/21 掲載

見込み客を取り逃し続けるWebサイトの作り方

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企業Webサイトの運営に当たって、大切なことは何でしょうか。それは「ユーザーを理解すること」です。当然の話のようですが、しかし、当然のことがじつはできていない、というのもビジネス現場には案外ありがちなことです。発展が急激なWebの世界ではなおさら、そうした傾向があるかもしれません。企業Webサイトの成功例と失敗例とでは、何がどう違うのか? そしてなぜ、「ユーザーを理解すること」が大切だという結論に到るのか? デジタルマーケティングの現場から得られた知見をもとに、具体的に解説します。

ビービット 武井 由紀子/三木 順哉

ビービット 武井 由紀子/三木 順哉

ビービット

徹底したユーザ心理分析により、成果創出を実現するデジタルマーケティング支援カンパニー独自の方法論「ビービットUCD(User Centered Design)」を用いて、ユーザ行動や心理を科学的アプローチで解明し、企業のデジタルマーケティングを支援している。2000年3月設立以来、サントリー、三井住友銀行、ホンダ、NTTドコモ、ベネッセなどの大手企業のほか、マネックス証券、Yahoo! JAPANなどのウェブ先進企業へコンサルティングを行い、数多くのデジタルマーケティングを成功へと導いた実績がある。また、コンサルティング経験を元に広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」を開発・提供し、すでに大手企業・ウェブ先進企業を中心に300社以上の導入実績がある。2012年7月には、台北オフィスを設立し、中国・台湾へ進出する日本企業、ならびに現地企業に対してコンサルティングを実施している。

武井 由紀子(たけい ゆきこ)

株式会社ビービット 取締役。早稲田大学政治経済学部経済学科卒業後、アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)を経てビービット設立に参加。金融機関、製造業を中心とする大手企業、およびウェブ先進企業へのコンサルティングに加え、ユーザ中心のデジタルマーケティング手法の開発に携わる。また、企業が科学的にマーケティングを行って確実に成果を創出するための広告効果測定ツール「ウェブアンテナ」の事業運営にも携わった経験を持つ。著書に『ユーザ中心ウェブビジネス戦略』『ユーザ中心ウェブサイト戦略』(SBクリエイティブ)などがある。

三木 順哉(みき じゅんや)

株式会社ビービット コンサルタント。東京大学大学院理学系研究科修了後、ビービット入社。飲料メーカー、通信事業会社、金融機関、教育サービスなど、大手企業を中心にデジタルマーケティングのコンサルティングに携わる。特に、ウェブサイトの戦略策定や、リニューアル、サイト立ち上げのプロジェクトに多数従事。それらの中で得た知見をもとに、ウェブサイトで成功するために最も重要なサイトコンセプトの立案・検証について、実践的な手法を『ユーザ中心ウェブビジネス戦略』(SBクリエイティブ)で解説している。

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ユーザー視点に基づいたWebビジネスの構築

 企業にとってWebサイトは単なる自社の告知媒体ではなく、見込み客の顧客化や顧客との関係構築、リピート化をもたらす経営の重要チャネルとして位置づけられるようになってきています。

 たとえるなら、Webサイトは"パンフレット"を脱却して"営業マン"や"支店"あるいは"本社"と同等の機能を持ちつつあると言えるではないでしょうか。

 ところが、Webサイトを活用したビジネスで成果を上げている企業はまだ一握りで、巨大資本をバックにWebの世界に参入した有名企業のサイトであっても、あっという間に閉鎖に追い込まれるケースがあります。

 では、Webビジネスの成功と失敗の分かれ道はどこにあるのでしょうか?

 その答えは「ユーザー(顧客)の理解とユーザー視点からのビジネスの組み立て」にあると私は考えます。Webビジネスではどれだけユーザー中心に戦略・戦術を立てることができたかが成否を分けるのです。

 もしあなたがWebサイトを運営しているのであれば、まずは以下の質問に答えてみてください。

□ サイトの目的は何ですか?
□ サイトのターゲットユーザーは誰ですか?
□ ユーザーのニーズは何ですか?
□ ユーザーは普段どんなときにあなたのサイトを使いますか?
□ ユーザーはどんな情報をどういう順番で求めていますか?
□ ユーザーの心理状態はどのような状態にありますか?
  (「焦っている」「不安に思っている」など)
□ 上記ユーザーの状態を受けたサイト側の対応方針は?
□ 次の発展に向けた課題は?
□ リニューアルで目に見える成果が上がりましたか?
  (サイトをリニューアルした経験がある人向け)
 どの問いも、すらすらと答えるのは難しいかもしれません。

 有名企業や有名サイトの運営者でも、「確証はないのですが......」という前提つきで回答する人が多いのではないでしょうか。

 これはある意味仕方がないことでしょう。インターネットの世界は、急激に発展を遂げてきました。特に企業のWebサイト運営者にとっては、新しい技術、アイデア、サイト、課題、そして何より業務が次々と生まれる中で、情報の流れが変わり、今まで想定もしなかったライバルが登場し、顧客との関係性が変容していく状況を追うだけでも精一杯だったのではないかと思います。

 このような状況では、基本的なことが議論されなくなります。動きの激しい業界の中で先行優位を取るべく、パンフレットの内容をそのままWebページにしたり、ソーシャル対応、SEO、CMS、レスポンシブ対応、ビッグデータ活用、第三者配信......といったあらゆるサービスや概念に手を出すことになったのかもしれません。

 しかし、ここで必要なことは、突飛なアイデアでも成功の方程式でもありません。冒頭の質問のような基本的なこと、つまりはサイトの目的やターゲットユーザーといったサイトコンセプトについて明確に理解し、実践することなのです。

サイトの顧客を徹底的に知ることが重要

 私は、これまでWebビジネスで成功している企業をいくつか見てきましたが、それらの成功事例には、4つの共通するポイントがありました。

(1)サイトの顧客=ユーザーを徹底的に知っている
(2)ユーザーを知った上でサイト上でのコミュニケーション設計をしている
(3)事前に仮説検証をしている
(4)事後に効果検証をしている
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(クリックでamazonへ)
 この中で特に重要なのは、(1)の「サイトの顧客=ユーザーを徹底的に知っている」ことです。

「ユーザーを知るなんて当たり前。もっと違う方法があるはずだ」

 と思われるかもしれませんが、特にインターネットの世界では、この当たり前のことができていないのです。

【次ページ】 高級旅館のサイトの事例から学ぶ

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