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  • 2016/05/19

小島プレス工業はなぜ、工場で産業ロボットではなくPepperを使うのか

実証実験で得られた成果とは

トヨタ系一次サプライヤーとして知られる自動車部品メーカーの小島プレス工業は、2015年に工場の生産ラインにPepperを試験的に導入すると発表し話題を集めた。なぜコミュニケーションに特化した人型ロボットのPepperを工場で使おうとしているのか。その背景には「ロボットが人の仕事を奪うのではないか」という漠然とした煽りが無意味に思えるほどに、今まさに日本が直面している問題が隠されていた。同社の工場におけるPepperの活用状況について小島プレス工業 総務部 参事 兼子 邦彦氏に話を聞いた。

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工場での人型ロボット活用は今後普及するか

地方の中小企業では、ロボットの手も借りたいほど人が足りていない

 愛知県豊田市に本社を構える自動車部品メーカーの小島プレス工業。同社は2015年11月、人型ロボットPepperを工場の生産ラインに導入すると発表し話題を集めた。「インダストリー4.0」を主導するドイツではファクトリーオートメーションの製造メーカーであるKUKAなどの産業用ロボットの実例はあるものの、Pepperのようなコミュニケーションロボットの導入事例はない。世界に先んじた試みである。

 人でも産業ロボットでもなく、なぜ人型ロボットのPepperを工場に導入したのか。同社 総務部 参事 兼子 邦彦氏はその理由のひとつを次のように語る。

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小島プレス工業 総務部 参事
IVI 幹事
兼子 邦彦氏

「人口の少ない地方を中心として労働人口が減少し、特に中小企業は人材がほとんど取れないという深刻な状況です。事実、グループ会社の丸和電子化学は2015年度の採用人数はアルバイトを含めてもゼロ。これは、私も現場に出向いてあらためて危機的状況を痛感しました。昔はロボットを入れると仕事が奪われると言われていましたが、そもそも奪われる人自体が少なくなっているのですから」

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Pepperを工場で試験導入したのは中小企業に「労働人口減」の現象が出ているため

Pepper導入の背景にある取り組みとは

 今回のPepperの導入は、小島プレス工業が単独で導入したというわけではない。同社が加盟する団体「IVI(Industrial Value Chain Initiative)」における活動の一環として取り組んでいるものだ。

 IVIは、IoT時代のモノづくりとITの融合を目指すフォーラムとして、法政大学の西岡 靖之教授を先導役とし、126社、7団体(2016年3月現在)の産学官関係者によって、2015年に設立された団体だ。この1年間で合計20のワーキンググループが、日本発の標準化と価値創造に向けて、製造業の先進的な仕組みづくりや実証実験を進めてきた。

 Pepper導入の背景には、IVIが掲げる実証テーマ「企業を超えて連携する自律型MES」がある。これは小島プレス工業がファシリテーターとなり、パナソニック、三菱電機、富士通、日本電気、日立産業制御ソリューションズなどが、ワーキンググループのメンバーとなって自律型MES(Manufacturing Execution System:製造実行システム)の実証を進めるというものだ。

 「企業を超えて連携する自律型MES」の主な取り組みは4つある。まず1つ目は、発注企業から受注企業へのタイムリーな生産指示を行うMESで、小島プレスが経済産業省の委託事業として開発した共通EDIがベースになる。2つ目は、受注企業の異常分析と発注企業へのタイムリーな通知を行う設備監視MESだ。3つ目は、情報共有により受・発注企業がWIN-WINな関係を築ける金融EDIで、これは共通EDIの発展版となるものだ。そして4つ目が、工場内の情報共有・省人化に役立つロボット活用で、Pepperの主要な活躍の場となる。

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IVIのワーキンググループ「企業を超えて連携する自律型MES」の主な取り組み。IoTを活用し、「生産指示MES」「設備監視MES」「仕入れ先との金流」「ロボット活用」という4つの視点と連携を目指す
(出典:IVI)


Pepperを改良し自動走行と巡回が可能に

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 産業用ロボットを使わず、あえて人型コミュニケーションロボットのPepperを選んだのには理由がある。産業用ロボット1台で数百万円から数千万円程度かかり、導入コストを効果を天秤にかけた時にリスクが大きい。一方で、Pepperならば、ソフトウェアは別途開発する必要はあるが、月額5万5000円で使えるのだ。

 現在小島プレス工業では、Pepperを5台ほど導入し、グループ会社の丸和電子化学で実証実験を進めている。工場におけるPepperの活用という意味ではさまざまな施策が考えられる。

 人の替わりに監視をするというならカメラでも事足りるので、Pepperならではの活用法でなければ意味がない。そこで同社は「機器とのデータ連携と解析」「目・耳・足を持った情報収集」という特性と、必要な人へ情報をタイムリーに伝達することに価値を見い出しているという。

【次ページ】Pepper活用の実証実験で得られた成果とは

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