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- 2016/04/11 掲載
岡山のWeb制作会社「CODE54」代表に聞く、チームの働き方と信頼関係構築の秘訣
起業家 後藤 誠さんインタビュー
社会人3年目で岡山で起業を決意
――まず、後藤さんのご経歴について教えてください。後藤氏:大学院修了後は新卒でSIerに就職しました。大学時代は電子工学科を専攻しており、数学的なものや回路、半導体に関する勉強がメインだったため、プログラミングについての知識はほとんどありませんでした。ですから、入社してからは業務をこなすのと並行して、毎日遅くまで勉強していました。
その会社では、主にWebブラウザ上で動く業務パッケージシステムの開発を担当していました。クライアントの業務に直結する開発でしたので、「自分の作ったものが多くの人の役に立っている!」と実感できてうれしかったですね。
また、ホームページ制作を大学時代から独学で行っていたこともあり、企業ホームページやシステムのデザインを担当することもありました。あるクライアントのホームページ制作で、提案から納品・稼働まで全てひとりでやりきることができたときは、今までにない達成感を味わいました。
――起業を決意したのはいつだったのでしょうか?
後藤氏:入社して3年経った頃です。小学校の卒業文集でも宣言していたくらい、いつかは起業したいという想いがありました。でも、「石の上にも3年」と言われるように、まずは会社に入って自分自身が技術を身に付ける必要があると思ったんですね。3年間の会社員生活を通じて少しずつ経験を積み、ようやく基盤ができたと感じました。
出身は大分ですが、大学以降は岡山に住んでいたこともあり、多くの仲間がいるこの土地で事業を行っていこうと決意し、2004年に「CODE54」を設立しました。
顧客の多くは岡山の企業
――現在はどのような事業を展開しているのでしょうか。後藤氏:地元・岡山の顧客がメインで、企業のホームページ制作、Webシステム開発などを行っています。ホームページ制作では、ベーシックなコーポレートサイトから求人検索サイトまで、企業・学校・病院など様々な業種の方から幅広く案件を受注しています。Webシステム開発においては工程管理や受発注管理などの業務システム開発をはじめ、稼働後のシステム保守まで一貫して請け負うことが可能です。
社名は「コーディング(CODING)」と「デザイン(DESIGN)」からきており、そのどちらにも妥協せず制作を行うことが弊社のコンセプトです。そのため、「プログラマーとデザイナーが同じ環境で仕事をする」ことをとても大切にしています。
また、スタッフの制作環境づくりの一環として昼食と夕食に「まかない」を提供しています。健康的な食生活とともに「同じ釜の飯を食う」という仲間意識の向上に役立っています。
弊社には私のほかに3人のプログラマーと2人のデザイナーが在籍しており、システムからデザインまで一貫して社内で手がけられることが強みです。開発会社だからシステムだけ、デザイン会社だからデザインだけ、といったように分断して仕事をするよりも、クオリティの高いプロダクト制作をすばやく行えると考えています。
例えばシステム開発で、ロゴやアイコンなどのデザインが必要になった際には、すぐにデザイナーとやりとりして実装することができます。また、ホームページ制作などのデザインが主体の案件でもプログラムが必要になれば、プログラマーに依頼してすぐに解決ができるわけです。お互いの専門分野でサポートし合うことで仕事の効率が上がり、安心して制作に集中することができます。
――今、特に力を入れている事業はどのようなものでしょうか?
後藤氏:業務基幹システムの統合化事業です。給与管理や勤怠管理、生産管理などバラバラに管理されているものをひとつのWebシステムとして統合して、業務の効率化を図ることを提案しています。まだまだ伸ばしていける事業だと思っていますので、クライアントとの信頼関係を築きながら、地道に受注件数を増やしていきたいですね。
――IT企業というと、東京の一部の地域に会社が集中している現状がありますが、岡山で起業したことによるメリット・デメリットはありますか?
後藤氏:まずはメリットから。岡山ではIT企業があまり多くないからこそ、信頼を得られたときに根強いファンになってもらえ、人が人を呼んでくれるようになるところですね。
どの地方都市にも当てはまることかもしれませんが、岡山で取引を成立させるには「信用・信頼・実績」の有無が重要になってきます。弊社の場合は、地元企業に対する実績を増やし、制作物に満足していただくことで信頼を増やしてきました。そこからクチコミや紹介をきっかけに、新たなクライアントが弊社を信用して案件を発注してくださる好循環が生まれているのです。
大事なのは、事業に一貫性を持ってコツコツと継続すること。業種を問わず、これに尽きるのではないしょうか。デメリットは、特に感じていません。
【次ページ】地方創生の一翼を担うための事業創出が目標
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