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- 2016/09/13 掲載
日本銀行 FinTechセンター長やソラミツCEOらが語る、ブロックチェーンの可能性
「パブリック型」か「コンソーシアム型」か
パネルディスカッションに登壇したのは、日本銀行で決済機構局 審議役・FinTechセンター長を務める岩下直行氏、ブロックチェーン技術を利用した本人確認システムなどの開発を手がけるソラミツで、代表取締役・共同最高経営責任者を務める武宮誠氏、国際大学GLOCOMブロックチェーン経済研究ラボ代表の高木聡一郎氏の3名だ。モデレーターは東京大学大学院情報学環・学際情報学府の田中秀幸教授が務めた。
ブロックチェーンは日本語で「分散型台帳技術」と説明される。その仕組みはこうだ。ネットワーク(ネットワークチェン)内で発生するすべてのトランザクションを「台帳」に記録する。そして、その「台帳」をネットワークに参加しているすべてのノード(参加者)で共有する。「台帳」を参加者全員で共有するため、改ざんすることは不可能だ。さらに「いつ」「どのノードが」「どのような取引をしたのか」も記録されるため、利用状況の透明性が担保される。同技術は、現在台頭しているFinTechサービスの一翼を担っていると言っても過言ではない。
岩下氏は、「現在ビットコインの価値は一兆円規模に上り、日銀としても無視できない存在になっている。ハッキングによる『The DAO資金流出事件』などはあったものの、各国の中央銀行は、デジタル通貨(ビットコイン)に関心を寄せている」と指摘する。
岩下氏が注目しているのは、日本取引所グループの実証実験だ。同グループは法人間で行う仮想通貨のやり取りを、管理者が存在せず、ノード参加者に制限がない「パブリック型」のブロックチェーンではなく、複数のパートナーで管理し、ノードに参加するためには管理者による許可が必要な「コンソーシアム型」のブロックチェーンで行ったのである。
これら2つは同じブロックチェーンでありながらも、大きく異なる性質を持つ。コンソーシアム型の特徴は、特定の企業グループなど、信頼の置けるメンバーのみが利用可能である点だ。岩下氏は、「現在の金融業界がターゲットとしているのは、プライベート型・コンソーシアム型だ」と指摘したうえで、「ノード参加許可(の決定権)を持つのが特定の金融機関であることがはたして正しいのか。今後、(そのような運用と参加許可のあり方は)工夫が必要になる。これは技術的なチャレンジだ」と指摘する。
さらに、「銀行業界はパブリック型を嫌っているが、可能性はある。それを放棄するのはもったいない」との見解を示した。
生活保護費を仮想通貨で支払うメリットとは
武宮氏は「ブロックチェーン上で行われる経済活動は“取引グラフ”として可視化・分析が可能だ。その特性を活かせば、新たな経済政策を検討できる」と、その可能性を語る。
【次ページ】ブロックチェーンの課題と可能性
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