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  • 2018/06/05

SDGs(エスディージーズ)をわかりやすく解説、世界中の誰もが取り組むべき理由とは

持続可能な社会を世界レベルで実現するために、2015年9月に国連で合意された世界共通の目標「SDGs(Sustainable Development Goals:エスディージーズ)」。日本でも認知度は徐々に上がってきていますが、SDGsは一度に理解するのは難しい面があります。そこで、理念の中核である「持続可能性」が登場した時期や背景などの歴史から、MDGsからSDGsへの流れ、どう革新的なのか、17の目標(ゴール)の内容、ビジネスや投資との関係性、CSRとの違い、人材育成の観点までを俯瞰しながら、私たち1人ひとりにどんな関わりがあるのか順番にわかりやすく解き明かします。

監修:SDGs.TV/(株)TREE 宮城崇志

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17の目標から成るSDGs。その形成過程と意義をわかりやすく説明する
(出典:国連広報センター)



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持続可能な開発目標(SDGs)とは? 登場したのはいつ?

 SDGs(エス・ディー・ジーズ)は「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。2015年9月、国連サミットで採択された成果文章「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ(通称:2030アジェンダ)」の柱として、世界共通の17のゴール(目標)、目標ごとの169のターゲットから構成されています。国連に加盟している193の国・地域が2030年を期限に達成を目指すものです。

 まずは、SDGsのルーツである「持続可能性」の概念の形成から実践まで、その歴史をたどってみましょう。

「持続可能性」の概念形成の歴史:1970年代から1990年代

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「成長の限界」表紙
(出典:ローマクラブ)

 1972年のことです。ローマクラブは報告書「成長の限界」を公表しました。この報告書は「このまま人口増加や環境汚染が続けば、(中略)あと100年で地球の成長は限界に達する」と世界に警鐘を鳴らしました。

 このとき、世界は第二次世界大戦後の西洋文明社会の物質的な豊かさを求めて、成長と繁栄の道を歩んでいました。その中で、はじめて地球環境への危機に目覚めたのです。

 加えて、南北問題も深刻化していました。先進国と開発途上国の間の貧富の差はますます拡大。世界全体で貧困を解決し、食糧、教育など人間が生活するうえで最も基本的なニーズ(basic human needs)を満たすことが、まず解決すべき課題とされました。

 その一方で、「環境を多少犠牲にしても経済開発を優先すべき」という開発途上国の考え方と、「環境保全を優先すべき」とする先進国の間で対立が続きました。

 こうして1972年、世界初の環境に関する国際会議として国連人間環境会議がスウェーデンのストックホルムで開催されます。

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1972年6月5日から16日に開催された国連人間環境会議の写真
(写真:UN Photo/Yutaka Nagata)


 この会議では「かけがえのない地球(Only One Earth)」のスローガンの下、世界114の国と地域が参加し、環境問題に国際的に取り組むことの必要性を謳った「人間環境宣言」を採択します。同年、国連は「国連環境計画(UNEP)」を創設し、国際協調による取り組みがスタートしました。

 1980年には、「世界自然資源保全戦略(World Conservation Strategy)」が発表されますが、「持続可能性」という概念が初めて公式に登場した文章だといわれています。

 1984年になると、「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が設置されました。委員会は、1987年、報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」を発表。これはとりまとめを行ったノルウェーの首相の名前から「ブルントラント・レポート」とも呼ばれています。そしてこの報告書の中でSDGsのルーツといえる「持続可能な開発(Sustainable Development)」の概念が打ち出されます。

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当時のノルウェー首相で環境と開発に関する世界委員会(WCED)委員長 グロ・ハーレム・ブルントラント氏(右)
(写真:UN Photo/Saw Lwin)


 「我ら共有の未来」の中で、「持続可能な開発」は「将来世代のニーズを損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすこと」と定義されます。この2つのニーズの意味は、資源や環境などの「世代間の公平」に加え、南北問題や格差、公正など「世代内の公平」の実現が不可欠であることを説くものです。

 そして1989年、ベルリンの壁が崩壊。同年の東西冷戦の終結、ソビエト連邦崩壊(1991年)と急展開を見せながら、世界の長期的な安定と平和には、地球環境問題の解決が不可欠との認識が世界の指導者層に広がりました。

 この後、1992年に持続可能な開発における歴史的転換を生んだブラジル・リオデジャネイロで国連環境開発会議、通称「地球サミット(リオサミット)」が開催されます。この会議がSDGsの「S」に相当するサステナビリティ(Sustainability、持続可能性)の概念が世界的に普及し始めるきっかけになりました。

MDGs(エム・ディー・ジーズ)からSDGsへ

 地球サミットでは、全世界約180の国と地域が参加し、現在の持続可能な開発に関する行動の基本原則である「共通だが差異ある責任」や「予防原則」、「汚染者負担の原則」などを収めた「リオ宣言」が採択されました。

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国連環境開発会議、通称地球サミットの写真。当時のハイチ大統領ジャン=ベルトラン・アリスティド氏が話している
(UN Photo/Michos Tzovaras)


 その他にも、行動計画である「アジェンダ21」やサミット期間中に155ヶ国が署名した気候変動枠組条約、157ヵ国が署名した生物多様性条約など大きな成果を収めました。

 この背景には、1988年にIPCC(気候変動に関する政府間パネル)が設立されるなど、地球環境と人間活動の因果関係が科学的に明らかになってきたことも見逃せません。

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第3回気候変動枠組条約締約国会議の様子
(写真:UN Photo/Frank Leather)
 1997年には第3回気候変動枠組条約締約国会議(COP3)にて京都議定書が採択され、地球温暖化対策の世界的な協調取り組みが実現し、環境問題は21世紀を目前に急速に対策が進んでいきます。一方、開発分野では市場経済メカニズムを組み込んだ途上国支援が一部の地域で成果を収めていたものの、依然として人口増大が進む中で抜本的な問題解決には至っていませんでした。

 2000年、国連は1990年代に開催された主要な国際会議・サミットで採択された国際開発目標を統合したミレニアム開発目標、通称「MDGs(Millennium Development Goals)」をまとめます。

 MDGsは、2015年を年限として開発途上国の貧困・教育・健康・環境などを改善するための8つのゴールと21のターゲットを掲げるものです。ゴールは以下の通りです。

ゴール1:極度の貧困と飢餓の撲滅
ゴール2:初等教育の完全普及の達成
ゴール3:ジェンダー平等推進と女性の地位向上
ゴール4:乳幼児死亡率の削減
ゴール5:妊産婦の健康の改善
ゴール6:HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止
ゴール7:環境の持続可能性確保
ゴール8:開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

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The Millennium Development Goals Report 2015の表紙
(出典:国際連合)
 MDGsは貧困の解消に対し一定の成果を挙げたものの、課題も残りました。

 1日1.25ドル未満で生活する極度の貧困の下にいる人々の割合は、2015年には1990年に比べて8.4億人(世界人口約12%)に半減しました。また、開発途上地域における教育の男女格差を改善できました。しかし、初等教育の完全普及までは達成できませんでした。さらに、世界全体で5歳未満児死亡率は53%減少したものの、5歳未満児死亡率を3分の1にまで減らす目標は達成できませんでした。

 そして、MDGsの達成期間である21世紀に入り、社会経済のグローバリズムの進展の陰で都市の貧困や格差、人権などグローバリズムに取り残された人々の問題も明らかになってきました。持続可能な開発とは、もはや開発途上国だけの問題ではなく、先進国をも含む問題として顕在化してきたのです。

 加えて、課題解決には先進国による援助供与優先型の資金だけでは足りないことも明らかになってきました。

 「持続可能な開発のための資金に関する政府間委員会」(ICESDF)によれば、貧困根絶対策には約660億ドル、気候変動(緩和・適応)対策には約8,000億ドルがかかるとの試算もあります。

 持続可能な開発には、もはや環境と経済の両立が自明のことと考えられるようになりました。

 複雑化する世界の問題をどのように解決していけばよいか。この問いに答えるため、政府や国際機関だけでなく、市民社会や科学者などさまざまな声を集めて3年もの期間を費やし、MDGsの後継である「ポスト2015開発アジェンダ」が策定されました。

SDGsはどう革新的なのか

 2015年9月、MDGsの後継として2030年までに達成すべき持続可能な開発目標、SDGsが誕生しました。

 SDGsの理念は「誰ひとり取り残さない(No one will be left behind)」です。この理念が示すように、SDGsは世界すべての人に共通する「普遍性」が特徴です。



 その中身は、貧困の解決・飢餓の解決・教育などの社会目標、気候変動・エネルギー・生物多様性など環境目標、雇用・インフラ・生産と消費など経済目標に加え、不平等の解決・ジェンダーの平等・平和などが17の目標として体系的に整理されています。

 SDGsの革新性は、17の目標それぞれにカラフルなメッセージアイコンを作成し、誰もが使えるツールとして公開したことにあります。

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SDGsの17の目標とそのメッセージアイコン
(出典:国連広報センター)


 アイコンは、言語の壁、世代の壁、セクターの壁を超えて、あらゆる活動や行動を可視化し、目標を共有する手助けになります。こうしたアプローチは国連として初めてのことです。

 もう1つの特徴は「不可分性」です。たとえば、気候変動への対策も平和の確保も行わずに、飢餓ゼロを達成することはできません。すべての人に教育を提供しなければ、ジェンダーの平等は実現しないでしょう。つまり17の目標は、互いに関連しあいながら、総合的に取り組むことが大切であることを示しています。

SDGs17の目標

 ここで、17の目標を見てみましょう。

■ゴール1.貧困をなくそう
 あらゆる場所で、あらゆる形態の貧困に終止符を打つ

■ゴール2.飢餓をゼロに
 飢餓に終止符を打ち、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成するとともに、持続可能な農業を推進する

■ゴール3.すべての人に健康と福祉を
 あらゆる年齢のすべての人の健康的な生活を確保し、福祉を推進する

■ゴール4.質の高い教育をみんなに
 すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する

■ゴール5.ジェンダー平等を実現しよう
 ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図る

■ゴール6.安全な水とトイレを世界中に
 すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する

■ゴール7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
 すべての人に手ごろで信頼でき、持続可能かつ近代的なエネルギーへのアクセスを確保する

■ゴール8.働きがいも経済成長も
 すべての人のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する

■ゴール9.産業と技術革新の基盤をつくろう
 強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る

■ゴール10.人や国の不平等をなくそう
 国内および国家間の格差を是正する

■ゴール11.住み続けられるまちづくりを
 都市と人間の居住地を包摂的、安全、強靭かつ持続可能にする

■ゴール12.つくる責任つかう責任
 持続可能な消費と生産のパターンを確保する

■ゴール13.気候変動に具体的な対策を
 気候変動とその影響に立ち向かうため、緊急対策を取る

■ゴール14.海の豊かさを守ろう
 海洋と海洋資源を持続可能な開発に向けて保全し、持続可能な形で利用する

■ゴール15.陸の豊かさも守ろう
 陸上生態系の保護、回復および持続可能な利用の推進、森林の持続可能な管理、砂漠化への対処、土地劣化の阻止および逆転、ならびに生物多様性損失の阻止を図る

■ゴール16.平和と公正をすべての人に
 持続可能な開発に向けて平和で包摂的な社会を推進し、すべての人に司法へのアクセスを提供するとともに、あらゆるレベルにおいて効果的で責任ある包摂的な制度を構築する

■ゴール17.パートナーシップで目標を達成しよう
 持続可能な開発に向けて実施手段を強化し、グローバル・パートナーシップを活性化する

 ゴール1~6は、MDGsの諸課題を引き継ぐ開発途上国の中心的な課題です。ゴール7以降は、経済、環境の側面から先進国にも関連性の高い課題が並んでいます。

 また、17の目標には、それぞれに具体的な年限と行動目標が書かれた169のターゲットとその成果を測るための232の指標が設定されています。

 たとえば、ゴール1「貧困をなくそう」の第1ターゲット「1.1」では、「2030 年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる」と具体的な年限と行動目標を示し、国際社会の強い決意を表すものになっています。

 指標の例では、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」のターゲット「5.5」は、「政治、経済、公共分野でのあらゆるレベルの意思決定において、完全かつ効果的な女性の参画及び平等なリーダーシップの機会を確保する」です。それを測る指標として、「5.5.1国会及び地方議会において女性が占める議席の割合」「5.5.2管理職に占める女性の割合」の2つが挙げられています。

 では、この2つの世界指標に関して日本はどのような状況でしょうか。

 現在、国会の女性議員は、衆議院9.3%(44名)、参議院20.7%(50名)(2017年)、民間企業の女性管理職は13.6%(2016年)です。世界経済フォーラム(World Economic Forum)「The Global Gender Gap Report 2017」が公表した「ジェンダー・ギャップ指数」でも、日本は経済、教育、政治、保険の4分野で144か国中114位にとどまっています。

 SDGsは、一義的な拘束目標や実施手段を設けずに、目標とターゲットは各国の国情、能力、開発水準を考慮に入れ、国内の政策と優先課題を尊重しながら、普遍的に適用することを原則としています。

 しかし、世界共通のものさしで自国の状況を測ることにより他国との比較や順位が容易になり、ある部分では後進的であると捉えられてしまうことには注意が必要です。

 国際社会は、これまで地球規模の課題に対して多国間による長時間の政治的交渉の末に、実施手段を含む多様なガバナンスルールを結んできました。しかし、温暖化防止では京都議定書以降、削減義務を負う数値目標の設定がなされないなど、世界は地球システムの制約の課題に対して野心的な行動を取れずにいます。

 その間にも、二酸化炭素濃度は上昇し続け、地球温暖化の進行とともに、気候変動による自然異変が地球全体で起き始めています。地球が50年後、100年後も持続可能であり続けられるかどうか、まさにこの数十年の取り組みが分岐点といえます。

 そのために、SDGsはまず大きな理想を掲げ、その理想に向かってすべての人々が行動を起こすためのまったく新しい考え方の下につくられたものです。「目標設定」による新たなグローバルガバナンスへの挑戦の成否は、国や自治体のみならず、企業、市民、NGO、科学者、次世代の若者、すべての参加にかかっています。

【次ページ】企業がSDGsに取り組むメリットとは? ESG投資、CSRとの関係は?

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