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  • 2018/10/24 掲載

「フィットネステック」時代到来 スマホがトレーナー代わり、VRでサイクリング

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「フィットネスクラブ」は、市場規模も収益性も右肩上がりの好調業種だ。健康づくりのために通う50歳以上の会員が増えている。しかし、人口減少に伴い、早ければ数年先にもピークアウトする可能性がある。それを回避すべく各社が競って取り組み始めているのが、ITを活用した「フィットネステック」だ。スマホアプリを通じて指導を受けたり、VR(仮想現実)を楽しみながら運動をしたりできる。「フィットネステック」は今どきの若者の“キラーツール”になるか。

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト 寺尾 淳

経済ジャーナリスト。1959年7月1日生まれ。同志社大学法学部卒。「週刊現代」「NEXT」「FORBES日本版」等の記者を経て、経済・経営に関する執筆活動を続けている。

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がぜん注目が集まっている「フィットネステック」。フィットネス事業の黒船となるか
(©PR Image Factory - Fotolia)


高年齢層会員の“卒業”が怖い

 近年、一貫して右肩上がりの成長が続いている業種がある。「フィットネス」だ。日本生産性本部余暇創研が毎年夏に発表する「レジャー白書」によると、フィットネスクラブの市場規模は、東日本大震災が起きた2011年の4090億円で底を打った後、年平均成長率2.1%で推移し、2017年には4610億円規模にまで拡大した。

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フィットネスクラブの市場規模の推移

 業界1位のコナミHD傘下のコナミスポーツクラブは単独業績を発表していないが、2位のセントラルスポーツ、3位のルネサンスは上場企業で個別業績を公開。ともに右肩上がりが続き、特に利益面の成長が著しい。直近4年間での最終利益は、セントラルスポーツが2.4倍、ルネサンスが2.3倍となった。

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フィットネスクラブ主要2社の業績推移

 売上ランキングの4位以下はティップネス、LAVA、NAS、オアシス、メガロスのような在来勢力に、RIZAP、カーブス、ホリデイのような新興勢力がからみ、順位がひんぱんに入れ替わっている。

 フィットネスクラブに通うのは、運動が大好きな若者というイメージがあるかもしれない。しかし、それは間違いだ。コアの利用者は「健康志向を強める高年齢層」である。そうした高年齢層のおかげで各社とも直近の業績を伸ばし、業界は成長が続いていると言っても過言ではない。

 過去4年間で、各年度末現在の会員数に占める50歳以上の割合は、セントラルスポーツは55.4%から58.4%に、ルネサンス(フィットネス会員)は44.7%から51.4%に拡大した。特に70歳以上の年齢層は、両社とも全年代中トップの増加ぶりをみせている。

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セントラルスポーツの会員年齢層比率の推移

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ルネサンスの会員年齢層比率の推移

 とはいえ、高年齢層の会員はどんなにがんばっていても、近い将来、フィットネスクラブを“卒業”する運命が待っている。国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(2017年推計/中央値)」によると、75歳以上の「後期高齢者」は2017年の1748万人から2030年の2288万人に向けて増え続けるものの、65~74歳の「前期高齢者」は1767万人から19.2%減の1428万人になると推測されている。

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65歳以上の高齢者数と高齢化率の将来の推計

「フィットネステック」で若い世代を取り込めるか

 フィットネスクラブの喫緊の課題は、高年齢層だけに依存しない経営にシフトしていくことだ。それには10~30代の若い年齢層を新規会員に取り込むだけでなく、この先数十年間、会員証を更新し続けてくれるだけの魅力を感じてもらえる“しかけ”が必要になる。

 では、若い年齢層を新規会員に取り込める・継続会員になりたいと思わせるような魅力的な“しかけ”とは、どんなことだろうか?

 「レジャー白書2018」によると、多様化するニーズに対応するトレンドとして「女性専用小規模サーキットジム」「24時間営業セルフ型ジム」「ホットヨガ」「ストレッチ専門店」「成果報酬型プログラム」「暗闇フィットネス」などが挙げられている。また、フィットネスクラブの有望な収益源として、サプリメントの販売を挙げている。

 そして、これらに加えて重要性を増してくるのが、「テクノロジーの活用」である。なぜなら、スマホを巧みに操って「パズドラ」「ポケモンGO」「インスタグラム」「メルカリ」などをヒット商品・サービス番付の上位に押し上げた若い世代は、高年齢層以上に新しいテクノロジーへのリテラシーが高いデジタル世代だからである。フィットネス業界がそれを狙わない手はない。

【次ページ】盛り上がる「フィットネステック市場」、スマホアプリにAIにVRに……

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