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  • 2019/03/06

不動産ビジネスがブロックチェーンで変わる!?そのメリットと国内事例10社

今、ブロックチェーンと不動産が組み合わさり、世の中に大きな影響を及ぼし始めている。不動産ファンドが登場した当初は「不動産金融」とも呼ばれ、“怪しいもの同士”が組み合わさった「不動産×金融」、かなり危ない代物と勘違いされたが、今では不動産証券化やプロジェクトファイナンスはなくてはならない仕組みになっている。さて、今回の「不動産×ブロックチェーン」はどのような顚末になるのか。プロックチェーンという切り口から、不動産の未来を解き明かしていく。

リマールエステート 代表取締役CEO 赤木正幸

リマールエステート 代表取締役CEO 赤木正幸

森ビルJリートの投資開発部長として不動産売買とIR業務を統括するとともに、地方拠点Jリートの上場に参画。太陽光パネルメーカーCFO、三菱商事合弁の太陽光ファンド運用会社CEOを歴任。クロージング実績は不動産や太陽光等にて3,500億円以上。 2016年に不動産テックに関するシステム開発やコンサル事業等を行なうリマールエステートを起業。日本初の不動産テック業界マップを発表するとともに、不動産テックに関するセミナー等を開催するほか、不動産会社やIT企業に対してコンサルティングを実施。自社においても不動産売買支援クラウド「キマール」を展開。2018年、不動産テック協会の代表理事に就任。 早稲田大学法学部を卒業後、政治学修士、経営学修士を取得。コロンビア大学院(CIPA)、ニューヨーク大学院(NYUW)にて客員研究員を歴任。

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不動産×ブロックチェーンの可能性を探っていく
(©SasinParaksa - Fotolia)

ブロックチェーンとは何か

 まず前提として、ブロックチェーンは、ビットコインなどの仮想通貨を実現する技術として登場した。重要なデータをネットワーク上で共有しながら管理する技術であり、情報共有が簡単であるにもかかわらず、データの改ざんが困難な仕組みである。ブロックチェーンの強みは次の3つのポイントと言われ、従来の銀行システムと比べられる。

(1)中央集権化の防止
(2)取引コストの削減
(3)情報の改ざんが困難


 従来のデータ管理システムは中央集権型システムと呼ばれ、ユーザーの取引データのすべてを管理者であるサーバーが管理した。ブロックチェーンシステムでは管理者が存在せず、取引データをユーザー同士が管理することで、これらの強みを実現している。わかりやすく表現すると「ユーザー同士でお互いを監視し合う仕組み」であり、P2P(ピア・ツー・ピア)方式とも呼ばれる。

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中央集権システムとブロックチェーンシステム
(筆者作成)

 つまり、従来のように取引データを一箇所に集めるのではなく、複製を分散させお互いを監視させることでデータの整合性を保つ仕組みであるため、データをオープンに安全に運用できる。

 このブロックチェーンの応用範囲は、ブロックチェーン1.0、2.0、3.0で表現されている。「ブロックチェーン1.0」は仮想通貨への活用。「ブロックチェーン2.0」は金融分野への活用、分散型プラットフォームとして取引を自動で実行する「スマートコントラクト」や金融情報サービスに対応している。そして「ブロックチェーン3.0」では金融以外の分野への活用、文書や権利の履歴管理や製品やサービスのトレーサビリティ、IoTなどに対応が可能となっている。

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ブロックチェーンの適用範囲
(筆者作成)

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不動産ビジネス×ブロックチェーン、5つの可能性

 ブロックチェーンが不動産に活用されるのは、まさに「ブロックチェーン3.0」である。

 不動産業界は、不動産登記システムや不動産情報システムであるレインズを筆頭に、巨額のコストをかけた中央集権システムによって統制されている。また、書類利用、対面営業、仲介手数料など、非常に取引コストが大きな業界でもある。

 このような不動産業界にブロックチェーンを活用することで、いくつかの新しい可能性が生まれてくる。それは、(1)情報管理、(2)セキュリティ、(3)取引自動化、(4)P2P取引、(5)流動化である。

(1)情報管理
 ブロックチェーンの不動産業界への活用としては、不動産登記が有望事例として紹介されることが多い。現状においては政府などが管理者となり登記情報の正確性や安全性を担保しているが、ここにブロックチェーンを活用することで、管理者が不要となり登記手続きを効率化しコスト削減が実現できるのである。

 そもそも不動産に関する情報は、さまざまな関係者によってそれぞれ管理されており、情報収集に膨大なコストがかかる非常に効率の悪い業界となっている。ブロックチェーンによって不動産データを連携・共有するシステムが確立されることで、コストが削減されるだけでなく、情報が広く流通することも期待されている。

(2)セキュリティ
 ブロックチェーンに特有な非改ざん性や暗号化技術によって、不動産に関する情報を安全かつ正確に送受信できるようになる。

 たとえば、不動産に関わるIoT(Internet of Things)は、スマートロックやカメラなど、常時ネットワークに接続しているため、プライバシーとセキュリティの確保が必要だ。ここに対して、ブロックチェーンによる情報の蓄積と共有が期待されている。

(3)取引自動化
 ブロックチェーン上に契約条件を書き込み、設定された条件が満たされれば自動で契約を実行する仕組みをスマートコントラクトと呼ぶ。自動販売機にたとえるとわかりやすく、購入者がコインを投入して商品を選択するとその商品が出てくる仕組み、つまり実行する一連の行動をあらかじめプログラム化して自動で行うのがスマートコントラクトである。

 従来の契約では、契約の実行が相手方に委ねられることが多いため、相手方の信頼性や第三者による保証が不可欠だった。しかし、ブロックチェーン上で契約条件をプログラム化することができれば、相手方への信頼や第三者による保証は不要になる。

 不動産取引には多くの契約が伴い、さらに紙の契約書を用いることが一般的である。スマートコントラクトを活用すれば、契約書の電子化に加え、契約に付随した不動産登記や決済などの業務を自動化でき、業務の効率化を図ることが可能になる。

(4)P2P取引(ユーザー間取引)
 ブロックチェーンを活用すれば、第三者を通さずにユーザー同士で取引を行うP2P(Peer-to-Peer)による電子取引が可能になる。

 P2Pとスマートコントラクトが結びつくことにより、不動産の専門知識が乏しい一般人同士でも、安全に直接取引を行うことができる可能性が出てきたといえる。

(5)流動化
 ブロックチェーン上で発行された独自コインは「トークン」と呼ばれ、何かの価値と交換できる“引換券”のようなものを意味する。ビットコインなどの仮想通貨は、ブロックチェーン上で発行・流通している“引換券”としてのトークンである。

 ブロックチェーンによって不動産をトークン化することが可能になれば、これまで述べてきたように、物件の情報や権利を記載するだけにとどまらず、スマートコントラクトを用いた権利の移転や収益の配分、ユーザー間でのP2P取引の可能性が出てくる。

 日本の不動産のみならず海外の不動産でも取引コストが格段に下がるため、不動産の流動性が高まり、取引が活発化することが期待されている。

【次ページ】不動産ブロックチェーンの国内事例10社、三井住友銀行にLIFULL……

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