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2017年10月13日

篠崎彰彦教授のインフォメーション・エコノミー(91)

不動産テックで何が変わる? 静的なビジネスから「動的ネットワーク空間」管理へ

フィンテック(Fintech:金融+IT)やアグリテック(Agritech:農業+IT)などさまざまな産業における情報技術の活用が「x-Tech」として注目されている。これらは「産業の情報化」があらゆる領域に及んでいることを示す動きといえる。不動産テック(ReTech、Real Estate Tech)もその一つだ。不動産といえばリアルで静的なビジネスを連想しがちだが、今ではデジタル・プラットフォームを駆使し、「動的ネットワーク空間」をマネジメントするビジネスへと変貌している。

執筆:九州大学大学院 経済学研究院 教授 篠ア彰彦

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リアルで静的なビジネスを連想する不動産が「動的」になりつつある

(© NOBU – Fotolia)


リアルで静的な不動産ビジネス

連載一覧
 情報技術革新の勢いは、あらゆる産業におよび、「産業の情報化」が顕著だ。不動産業界もその例外ではなく、近年は「不動産テック(ReTech)」として注目されている。

 不動産は文字通り「リアルで物的」な資産だ。一般の消費財に比べると取引頻度は少なく、まったく同一の物件は存在しないため個別性が強い。また、住居であれば生涯、本社ビルであれば永続という具合に、取引後の所有や利用で粘着性が高いという特徴がある。

 さらに、開発や建設、販売、仲介、管理、税制といった面で、複雑な規制が数多く、ローカル性も強いことから、比較駅安定した市場環境の下で「暗黙の了解」による業界秩序が形成されてきた。遊休資産の有効活用などで、他の業界からの参入はあるが、不動産業界の「既存の仕組み」は大枠として維持されてきたわけだ(図1)。

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(クリックで拡大)

図1 これまでの不動産ビジネス環境



 ところが、現在の情報技術革新は、これまでとは様相を異にする新規参入を促しているようだ。不動産業界を取り巻く「暗黙の了解」は揺らぎ、産業の景色を一変させる気配だ。アマゾンなどのIT企業が物流関連のビジネスを展開しているのはその象徴といえる。

倉庫は動的ネットワークの結び目

 不動産は、モノや人が留まる空間だ。モノであれば倉庫、人であれば住居や宿泊施設がイメージしやすい。確かに「倉庫業」といえば、動かないモノを留まった状態で保管する「静的」な空間マネジメントを連想しがちだ。

 だが、現在ではこのイメージが様変わりしている。活発化する物流が倉庫業の機能を根本的に変えているからだ。今や倉庫業は、モノを保管するのではなく、モノの動きを賢くマネジメントする物流拠点、すなわち動的ネットワークの結び目としての役割が重要になっている。

 この背景には「情報化のグローバル化」が影響している。世界中の人々が国境を越えてネットワーク化された最新技術を装備し、稼得機会を高めたことで(連載の第62回第90回参照)、購買力が高まると同時に、興味や関心も国境を越えて広がり、活発なモノの動きを生み出しているのだ。

 モノの動きが圧倒的に増す中、物流業界では「倉庫」におけるトラックの待ち時間が大きな問題となっている。この問題の解決にはデジタル・プラットフォームの活用が欠かせない。そこに登場するのがIT企業のアマゾンというわけだ。

【次ページ】アマゾンの参入はなぜ起きるのか?

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